ジョゼ・モウリーニョ監督が13年ぶりにレアル・マドリードの指揮を執り、今季のラ・リーガが開幕した。ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムという世界最高クラスの三銃士を擁しながら、クラブ史上最高額で獲得したヤン・ディオマンデの起用法をめぐり、開幕2試合ですでに様々な議論が巻き起こっている。圧倒的な個の質を結果に結びつける作業が始まったばかりのモウリーニョ。その再挑戦の行方を、最新2試合の内容から読み解く。
モウリーニョ体制初戦 — エスパニョール戦(アウェー)

Adam Jones, Ph.D. / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)
見どころ: 13年ぶりの現場復帰となる一戦。注目はムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムの三角形がいかに機能するか、そしてクラブ史上最高額で加入したディオマンデをいつ・どう使うかだった。
試合展開: モウリーニョの「第二の在任期間」は、ドラマチックな逆転劇で幕を開けた。マドリードはエスパニョールに苦しめられ、終始スムーズに試合を進めることができなかった。しかし90分、21歳のカルロス・エスピが決勝点を押し込み、2-1の勝利をもぎ取った。エスピはレバンテで残留に貢献したゴールで注目された若手FWで、現在はマドリードのバルデベバス練習施設でモウリーニョ監督と生活を共にしているという。
ディオマンデの位置付け: ガーディアン紙によれば、この試合でモウリーニョはディオマンデ(クラブ史上最高額での獲得)を途中から起用した。勝負を決めたのは大型新戦力ではなく、無名に近いエスピだったことが皮肉を際立たせた。(The Guardian)
ホーム初戦 — レアル・ソシエダ戦(ベルナベウ)
試合結果: キリアン・ムバッペのハットトリックにより、マドリードはレアル・ソシエダを4-1で下した。得点はムバッペが40分・60分・80分、ビニシウス・ジュニオールが68分。ソシエダはルカ・スチッチが44分に同点弾を決めたが、後半のマドリードの猛攻を止めることはできなかった。
波乱の前半: 試合前半、マドリードはサンティアゴ・ベルナベウの自軍サポーターからブーイングを浴びた。リズムに欠け、ボール保持でのミスが目立ち、カウンターに対して脆さを露呈。ソシエダは10分にクボ・タケフサがパスをインターセプトしてオヤルサバルをスルーパスで抜け出させ、決定機を演出したが、ティボー・クルトワが阻止した。
モウリーニョの言葉: 「ブーイングや拍手には常に正当性がある。ときに受けるブーイングは成長を促してくれる」とモウリーニョは試合後に語り、後半の選手の反応を称えた。「ベルナベウの要求の高さは誰もが知っている。圧力に屈せず素晴らしい後半を見せてくれた選手たちを誇りに思う。もっと点を取れた場面もあった」(The Guardian)
ヤン・ディオマンデ問題——125億円の大型補強に疑問
クラブ史上最高額の新戦力: ガーディアン紙の報道によれば、ヤン・ディオマンデはクラブ史上最高額となる移籍金でマドリードに加入している。原題タイトルにある「125 ‘kilos’(1億2500万ユーロ)」という数字はスペイン語圏メディアが使用している表現であり、この選手にかかる期待とプレッシャーの大きさを象徴している。
「ベンチを温め続けることになる」: 開幕2試合を見た識者たちは、ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムが最前線から攻撃を主導するシステムにおいて、ディオマンデが定期的に先発機会を確保するのは容易ではないと指摘する。エスパニョール戦で途中出場に留まったこと、ソシエダ戦でも前線はムバッペとビニシウス・ジュニオールが支配したことは、すでにその難しさを示している。
モウリーニョ自身は楽観的: モウリーニョはESPNの取材に対し、ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムは「共存不可能ではない」と明言している。ただし、そこにさらにディオマンデをどう組み込むかについての具体的な言及は、ソースからは確認できない。(ESPN)
戦術的考察
モウリーニョがエスパニョール戦で直面した最大の課題は、「個の質が高すぎるがゆえのバランス問題」だった。ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムの3人はそれぞれがボールを要求し、スペースを作り、攻撃の中心になりたい選手である。モウリーニョはフェデリコ・バルベルデをキャプテンとして要所に配置し、中盤での秩序維持を重視しようとしている意図が見える。
しかし最大の謎はディオマンデの扱いだ。ガーディアン紙が「オールドスクールな9番タイプ、エリア内でのプレゼンス」と表現するカルロス・エスピのような選手が決勝点を決めてしまったことは、「大型ストライカーが本当に必要なのか」という根本的な問いを突きつける。モウリーニョはかつて複数の大型FWを抱えながら一方をサブに甘んじさせた経験を持つ監督だが、1億2500万ユーロ規模の投資をベンチで腐らせることへのクラブ内プレッシャーは計り知れない。
ソシエダ戦の前半に露呈したカウンターへの脆弱性も重要な課題だ。三銃士が高い位置を取れば取るほど、守備のバランスが崩れる。モウリーニョが得意とする守備ブロックの構築と、このロスター全体の攻撃的なキャラクターをいかに融合させるかが今後の鍵になる。
数字で読む
- 4-1:ソシエダ戦のスコア。前半はブーイングを浴びながら1-1で折り返したが、後半に3点を追加
- 3:ソシエダ戦でムバッペが記録したハットトリック。40分・60分・80分と間隔を空けて積み上げた
- 4,380日:モウリーニョがレアル・マドリードで指揮を執るまでの空白期間(ガーディアン紙より)
- 1億2500万ユーロ(推定):ディオマンデの移籍金。クラブ史上最高額とされる
- 2試合2勝:今季のモウリーニョ体制の現時点での成績。内容への疑問はあるが結果は出している
- 1:エスパニョール戦での決勝点を決めたエスピの加入コスト——「ほぼタダ同然」(ガーディアン紙の表現より要約)。1億2500万ユーロのディオマンデとの対比が印象的
編集部の見解
ディオマンデへの懐疑論は正当だが、現時点で「失敗」と断じるのは早計だ。しかし問題の本質は選手のクオリティではなく、起用法の難しさにある。モウリーニョ体制のマドリードは今、世界で最も贅沢な「過剰戦力」を抱えている。ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムの3人だけで、すでに欧州トップクラスの攻撃ユニットが完成している。そこに1億2500万ユーロのFWを加えることは、戦術的には「5人で4つの椅子を奪い合う」状態を生む。
モウリーニョがこの問題を解決する方法は一つだ——ディオマンデに「別の役割」を与えること。従来の9番ではなく、ハイプレスの起点役や、特定の相手に対するプランBとして明確に位置づけるべきだ。ソシエダ戦の前半のような停滞局面でこそ、異なるプロフィールを持つ選手の価値は発揮される。ただし、それが「ベンチを温める」ことへの合理化として機能するかどうかは、クラブ幹部と選手本人の忍耐力にかかっている。今季の序盤こそが、ディオマンデのマドリードでのキャリアの方向性を決める正念場だ。
今後の注目点
ディオマンデの先発機会:ラ・リーガは今後も週2試合ペースが続く時期がある。過密日程の中でモウリーニョがローテーションを組む際、ディオマンデをどのタイミングで先発起用するかが最初の重要な指標になる。初先発でゴールを決められるかどうかで、クラブ内外の評価が大きく変わる。
三銃士の連携熟成:ソシエダ戦の前半に見られた「リズムの欠如」と「ボール保持でのミス」は、まだシステムが固まっていないサインだ。ムバッペ・ビニシウス・ジュニオール・ベリンガムの3人が、モウリーニョの戦術的枠組みの中でどこまで連携を深められるかを、特にアウェー戦で注目したい。
ベルナベウの審判:ホーム初戦で前半にブーイングを受けたことは、サポーターとの関係構築がまだ道半ばであることを示す。モウリーニョの「特別な者」としての復権を認めるかどうかは、今後の数試合の内容次第だ。勝ち続けることが唯一の答えであり、もし結果が途切れた際にどんな反応が出るかを注視する必要がある。
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