試合の流れ
前半
46,781人を収容したスタジアム・オブ・ライトで行われたプレミアリーグ第2節。サンダーランドは前節イプスウィッチ戦での土壇場逆転負けからの立て直しを図り、フルハムはチェルシー戦(1-3敗戦)からの連敗回避を狙ってホームに乗り込んだ。
前半は拮抗した内容で、サンダーランドが積極的にゲームを支配しようとしたものの、決定機は限られた。試合最初のチャンスはサンダーランドに訪れた。グラニート・ジャカのサイドチェンジのパスをトーマス・ムニエがカットバックし、トライ・ヒュームへ繋いだが、シュートには至れず。
逆にフルハムが前半を通じて最も惜しい場面を作った。アレックス・イウォビのロングボールに抜け出したジョシュ・キング(19歳)が、エリア内でのファーストタッチがわずかにずれ、急角度から左足でシュートを打つも枠を外れた。同選手は前半終了直前にも突破を図ったが、ノルディ・ムキエレに後ろから押し出される形で好機を逸した。0-0で折り返し。
後半
ルジャン・ル・ブリ監督率いるサンダーランドは後半に入り攻勢を強めたが、ニルソン・アングロのクロスがブライアン・ブロッベイに合わないなど、フィニッシュの精度を欠く場面が続いた。フルハムもカウンターから脅威を見せ、ムキエレが再び身を挺いてガルシアのシュートをブロックする場面もあった。
試合が動いたのは70分を過ぎてから。ル・ブリ監督がハビブ・ジャラとウィルソン・イシドールを同時投入すると、流れは劇的に変わった。71分、ジャカのスルーパスからエンツォ・ル・フェーが一発のクロスを送り、フリーのイシドールがシュートを放ったが、惜しくもポストを直撃。しかし75分、今度はジャラが右サイドの長いボールに追いつき、グラウンダーのクロスを折り返すと、飛び出してきたGKベルント・レノをかわしてイシドールが流し込み、均衡を破った。
その後、途中出場のロメイン・マンドルがジャカのボールからシュートを打つもレノの正面を突き、追加点はならなかったが、1-0のまま逃げ切りに成功。サンダーランドは悲願のプレミアリーグ今季初勝利を挙げた。
戦術分析
サンダーランドの狙いと実行
ル・ブリ監督のサンダーランドはエネルギッシュなプレッシングと縦への速さで試合の主導権を握る姿勢を見せた。グラニート・ジャカをゲームメーカーとしてビルドアップの核に据え、サイドにボールを展開してクロスからゴールに迫るパターンを繰り返したが、前半は最後のクオリティが伴わず得点には至らなかった。
最大の「一手」は後半の交代策だった。イシドールとジャラをほぼ同時に送り込み、その二人が直接組み合ってわずか数分で得点を生み出した。フルハムが前節コンシードした「開始31秒失点」のようなリスクこそなかったが、バックラインが自陣に押し込まれた際のカウンター耐性に課題を露呈した点は今後の修正点となろう。
フルハムの狙いと実行
前節チェルシー戦で序盤の守備崩壊が響いたフルハムは、この試合では後方の組織を整えてよりコンパクトな守備から入った。前半はむしろイウォビを起点とした縦に速い攻撃でサンダーランドのDFラインを脅かす場面を作り、特にキングが個人技で2度の決定機に絡むなど、カウンターから好機を創出した。
しかし後半、サンダーランドが深さを加えたことで守備ラインが間延びし、大きなサイドチェンジへの対応が後手に回った。イシドールの決勝点の場面ではレノが前に飛び出す判断も裏目に出ており、ペナルティエリア周辺でのポジション管理とGKとの連携に改善の余地を残した。また2試合連続で勝ち点を取れなかったことは、攻撃の決定力不足より守備の連続失点を許すパターンが問題として浮き彫りになっている。
ターニングポイント
① 71分・イシドールのポスト直撃
エンツォ・ル・フェーのダイレクトクロスに合わせたイシドールの初シュートはポストに弾かれた。しかしこの場面でフルハム守備陣の集中力を削ぎ、わずか数分後の決勝点への心理的布石となった。「同じような場面を確実に仕留めた」という点で、ポスト直撃→即得点という連鎖が試合を決定づけた。
② 75分・ジャラとイシドールの交代コンビによる決勝点
途中出場したジャラが右サイドの裏のスペースに侵入してグラウンダーで折り返し、飛び出したレノの前に入ったイシドールが冷静に流し込んだ。フルハムにとってはGKの飛び出しのタイミングと守備ラインの対応が噛み合わなかった瞬間で、ル・ブリ監督の交代策が完全にはまったターニングポイントとなった。
選手評価
ウィルソン・イシドール(サンダーランド)★★★★☆
契約延長(2030年まで)直後の一撃。71分にポストを叩いた後も動じずに75分の決勝点を沈める精神的強さを見せた。同週に新契約を締結した男がそのまま価値を証明したインパクトは大きい。
グラニート・ジャカ(サンダーランド)★★★★☆
サイドチェンジ、スルーパス、ラストパスと攻撃の組み立てで一貫してリズムを作り続けた。71分・75分いずれの決定機もジャカが起点となっており、ゲームメーカーとして攻撃を牽引。
ノルディ・ムキエレ(サンダーランド)★★★☆☆
前半はジョシュ・キングの侵入を体を張って止め、後半もカウンター対応でガルシアのシュートをブロック。守備面での貢献度は高く、ル・ブリ監督がルーク・オニエンに代えてスタートから起用した采配が機能した。
ジョシュ・キング(フルハム)★★☆☆☆
前半に2度の好機を迎えたが、いずれも活かせず。ファーストタッチのミスと不十分な角度からのシュート選択が勝ち点獲得の機会を逃した。攻撃の素材としての可能性は示したが、決定力の欠如が課題として残った。
ベルント・レノ(フルハム)★★☆☆☆
決勝点の場面では飛び出しのタイミングが裏目に出た。前節の早い失点に続き、フルハムのGKとバックラインの連携における課題を改めて露呈した試合となった。
この結果が意味するもの
サンダーランドにとって2017年12月以来となるフルハム戦の勝利は、トップフライトに戻ったクラブが生き残れる実力を持つことを示した。開幕節の土壇場逆転負けで0勝1敗スタートとなりながらも3ポイントを積み上げ、心理的な安定感をもたらしている。フルハムは2試合連続で勝ち点を手にできず勝ち点ゼロのまま。チェルシー戦での開始31秒失点に続き、交代選手に終盤を打開されるパターンが続いており、マルコ・シルバ監督は守備組織の立て直しと前線の決定力向上を急務として次節を迎えることになる。
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