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控えのシェルキーが試合を変えた——シティ新戦術、パレスに勝機はあったか

2026.08.30

試合の流れ

前半

セルハースト・パークに乗り込んだマンチェスター・シティは、エンツォ・マレスカ新体制のもと開幕戦のボーンマス戦からほぼ同じメンバーで臨んだ。唯一の変更点はライアン・シェルキー(Rayan Cherki)をスタメンに抜擢した点で、これが試合の行方を決定づける采配となった。

開始早々、クリスタル・パレスがリズムをつかもうと試みた。エディ・ンクティア(Eddie Nketiah)やダイチ・カマダ(Daichi Kamada)が立て続けにシュートを放ったが、組織的なシティの守備に阻まれた。

主導権を握り返したシティは、コーナーキックから得たチャンスで一気にポゼッションを確立。7分には連続してシュートを放つなど圧力をかけ、最初の試金石を迎えた。そして17分、アントワーヌ・セメニョ(Antoine Semenyo)のクロスをエルリング・ハーランドが頭でループヘッダーを決め、先制点を奪取した。

前半終了直前には、タイリック・ミッチェル(Tyrick Mitchell)が同点のヘディングチャンスを迎えたが、痛恨のワイドシュート。ハーフタイムはシティが1点のリードを保ったまま折り返した。スタッツを見ればシティのポゼッションは72%、シュート数でも圧倒しており、前半だけで試合の構図は明確だった。

後半

後半開始直後、ンクティアが惜しいシュートを放つも、54分にシティが勝負を決定づける。ディフェンスラインの乱れを突いたシェルキーが巧みなフットワークでデイン・ヘンダーソン(Dean Henderson)を左足でかわして2点目を奪取。

しかしパレスも即座に反撃。56分、イェレミー・ピーノ(Yeremy Pino)が放ったフリーキックがポストを叩き、ゴールキーパーのジャンルイジ・ドンナルンマ(Gianluigi Donnarumma)の背中に当たってオウンゴールとなり1-2と1点差に迫った。

だが、セルハーストに詰めかけたパレスサポーターが歓喜する間もなく、59分にシェルキーが再び左隅にシュートを決めて追加点。フィル・フォーデンとヨシップ・グバルディオル(Joško Gvardiol)のアシストを生かし、わずか6分間で試合はほぼ決した。84分にはハーランドがフォーデンのアシストからダメ押しの4点目を記録し、最終スコア1-4でシティが完勝した。

戦術分析

マンチェスター・シティの狙いと実行

マレスカ監督はポゼッションを軸にした支配型サッカーを徹底した。チームのパス成功率93%、ポゼッション72%というスタッツが雄弁に物語る通り、シティはビルドアップを丁寧につなぎ、相手を引き出してからスペースを使う戦術を実行した。

特筆すべきはシェルキーの起用だ。ウイングとインサイドMFの中間に位置し、スペース探知能力と両足の精度を武器に相手守備をかき乱した。ガーディアン紙が「毎タッチが計算されていて、どちらの足を使うかを知っている」と評した通り、彼の技術的成熟度は際立っていた。ハーランドには常にフォーデンやセメニョから質の高いクロスが供給され、前線のターゲットとして機能した。

守備面では、ルーベン・ディアスを中心としたラインを高い位置に保ちながら、パレスのカウンターを抑制。ビッグチャンス創出数4対2というスタッツが示す通り、質でも量でも上回った。

クリスタル・パレスの狙いと実行

ピエール・サージュ(Pierre Sage)新監督体制で臨んだパレスは、序盤こそエネルギーを持ってシティのビルドアップを圧迫し、開始数分で3本のシュートを放つ積極性を見せた。ポゼッションを放棄してコンパクトな4-4-2ブロックを形成し、ロングカウンターでハーランドやディアスの背後を狙う方針だったが、ボールを奪えないままシティにパスを回され続けた。

56分のドンナルンマのオウンゴールで1-2に詰め寄った直後が最大のチャンスだったが、守備組織の立て直しが間に合わず、わずか3分でシェルキーに追加点を許した。サージュ監督は試合後に「交代選手がエネルギーを持ってこられなかった」と自省し、チームの試合体力不足と移籍市場の不安定さを課題として挙げた。

ターニングポイント

54〜59分の6分間が試合の命運を決めた。2-1となってから「盛り返せるか」という緊張感がセルハーストを包んだ瞬間、シェルキーが即座に3点目を奪ったことで、パレスの反撃の芽は完全に摘み取られた。ドンナルンマのオウンゴールで生まれた流れをシティが一瞬で断ち切ったこの6分間は、両チームの現在地の差を如実に示した。

また、前半26分のフォーデンの決定機逸も見逃せない。シェルキーがトミヤス(Takehiro Tomiyasu)をかわしてゴール前に折り返し、フォーデンが5ヤード地点でフリーになりながら合わせきれず、ヘンダーソンの正面に収まった。このチャンスをシティが決めていれば、より早い段階で試合は終わっていた。

選手評価

ライアン・シェルキー(マンチェスター・シティ)

前節ベンチスタートから先発昇格し、鮮烈な2ゴール。54分のゴールは守備混乱を見逃さない判断力と精密なフィニッシュが光り、59分はグバルディオルのアシストを冷静に沈めた。マレスカが「コンプリートな選手」と称賛したのも頷ける。

エルリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)

ノルウェー国王ハーラル5世の訃報を受け、喪章を巻いて出場した。17分の先制ヘッド、84分のダメ押しと2ゴールをマーク。前半だけで5本のシュートを放ち、ポストやGKに阻まれる場面もあったが、最終的にはゴールで結果を残した。

フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)

2つのアシスト(54分・84分)に加え、シェルキーとのコンビネーションで多くのチャンスを演出。前半に外した決定機は惜しかったが、全体的なゲームへの関与度は高く、攻撃のテンポを握った。

ジャンルイジ・ドンナルンマ(クリスタル・パレス)

この試合から移籍してきたとみられる同選手だが、56分にピーノのフリーキックを体に受けてオウンゴール。本人にとっては不運な形での失点だったが、試合の流れ自体を逆転するには至らなかった。

エディ・ンクティア(クリスタル・パレス)

開始2分に放ったシュートはルーベン・ディアスに阻まれ、後半にも惜しいシュートを放つなど気概は見せた。しかしシティの堅固なディフェンスを崩すには至らず、孤立する場面も多かった。

この結果が意味するもの

マンチェスター・シティは開幕2連勝で暫定首位に立ち、エンツォ・マレスカ新体制が順調な滑り出しを見せた。シェルキーの加入以来のプレミアリーグ通算ゴール関与数が20に達したことも示す通り、昨季からの上積みが着実に機能している。一方のクリスタル・パレスは2戦2敗の勝ち点ゼロ。移籍ウィンドウが翌火曜日に閉まる中、サージュ監督は限られた時間でスカッドを補強し、早急に立て直しを図らなければならない厳しい状況に置かれている。


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編集部 Editorial

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編集長 · 戦術担当