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マンチェスター・ユナイテッド vs イプスウィッチ・タウン 戦術分析|第2節 ブルーノ・フェルナンデスが牽引した劇的大逆転劇

2026.09.01

試合の流れ

前半

開幕節でハル・シティに屈辱的な敗北(0-2)を喫したマンチェスター・ユナイテッドは、ホームのオールド・トラッフォードに7万4,148人の観衆を集めてイプスウィッチ・タウンと対戦した。マイケル・キャリック監督はラインナップを4枚替えし、今季初スタートとなるマーカス・ラッシュフォードをピッチに送り込んだ。

ユナイテッドは立ち上がりから積極性を見せ、ラッシュフォードの突破からマテウス・クーニャがシュートを試みるなど、前週のハル戦とは対照的なアグレッシブな入りを見せた。ディオゴ・ダロットのカーリングシュートもGKシェルペンに阻まれ、序盤は主導権を握る。

しかし29分、守備の脆弱性が露呈する。左サイドバックのルーク・ショーがアブドゥル・ファタウに連続して振り切られ、そのクロスからレイフ・デイビスにきれいに決められ0-1と先制を許してしまう。さらにデイビスの追加シュートもファタウにショーが裏を取られた直後に生まれたもので、左サイドの穴はより深刻なものとして印象付けられた。

しかしここから試合の流れを変えたのが、相手のミスだった。40分、マルセリーノ・ヌニェスのスリップを見逃さなかったクーニャが前進し、完璧なスルーパスでブルーノ・フェルナンデスを抜け出させる。フェルナンデスは右足の強烈なシュートでシェルペンの逆をついて同点に追いつき、1-1で前半を終えた。

後半

後半に入るとユナイテッドは別チームのように変貌した。56分、ラッシュフォードの折り返しがマグワイアに渡り、マグワイアのシュートがジェイコブ・グリーブスに当たってオウンゴールに。VARによるハンドのチェックがあったものの、偶発的と判定されてゴールは認められ2-1と逆転に成功する。

2分後の61分、今度はグリーブスが今度はクーニャを倒してPKを献上。フェルナンデスはシェルペンのプレッシャーをものともせずに冷静に決め3-1。68分にはブライアン・ムベウモのシュートが偶発的にこぼれたところをフェルナンデスが押し込み4-1、ハットトリックを完成させた。

その後ラッシュフォードのシュートが止められるシーンはあったものの、ユナイテッドの勢いは止まらず。82分にフェルナンデスが今度はアシスト役に回り、ムベウモのループシュートがバーの内側に当たりゴールイン。5-1とリードを広げた。試合終盤には守備の緩みからリサンドロ・マルティネスのミスでエンシーソにボールを渡してしまい、チュバ・アクポムに90+1分に押し込まれ5-2で試合終了。

戦術分析

マンチェスター・ユナイテッドの狙いと実行

キャリック監督が採用したのは4-2-3-1。ダブルボランチにはコビー・メイヌーとユーリ・ティーレマンスを配し、2列目にラッシュフォード・フェルナンデス(トップ下)・ムベウモを並べ、1トップにクーニャを据えた。

前半はラッシュフォードの縦への推進力とクーニャのポストプレーを起点に縦に速い攻撃を志向。前週のハル戦で批判された「強度の欠如」を意識したかのようなアグレッシブなプレッシングで、相手のビルドアップに圧をかけた。

後半は攻撃の精度がより高まり、ラッシュフォードのサイドアタック→折り返しのパターンで右サイドを崩す場面が増えた。また、フェルナンデスがバイタルエリアに顔を出す回数が増え、相手の守備陣を引きつけてスペースを生み出した。スタッツを見ると、フェルナンデスは90分で3ゴール1アシスト、xG 1.95を記録しており、その支配力が数字にもはっきり表れた。

一方、守備面では左サイドバックのショーがファタウに2度振り切られた課題が継続。73分にはノウサイル・マズラウィとの交代で修正を試みたが、後半アディショナルタイムのマルティネスのミスに象徴されるように、守備のリスク管理は依然として改善余地がある。

イプスウィッチ・タウンの狙いと実行

ゲイリー・オニール監督(※ソースの記述による)が採用したのも同じく4-2-3-1。攻撃の設計は明快で、エンシーソ・ファタウ・前田大然(マエダ)という俊足アタッカートリオを前線に配し、サイドのスピードでユナイテッドの最終ラインの背後を突く狙いが色濃かった。

前半はこの狙いが機能し、特に左ウイングのファタウがショーを繰り返し攻略。デイビスの先制点はまさにこの設計通りの形で生まれた。エンシーソも前半の早い段階で決定的なチャンスを得るなど、前半の戦いは昇格クラブとは思えぬ整備された攻撃を披露した。

しかし後半はビルドアップでのミス(ヌニェスのスリップ)が命取りとなり、流れを失った。高い位置でプレスをかけるユナイテッドに対してグリーブスがクーニャを倒したPK献上も痛恨で、12分間で3失点という短期間の崩壊を招いた。数字上もGKシェルペンは11本のシュートオンゴールを浴び、5失点(xGC 4.56)と守備が瓦解した実態を示している。

ターニングポイント

①40分:ヌニェスのスリップからフェルナンデスの同点弾

前半をリードして折り返しそうだったイプスウィッチにとって、マルセリーノ・ヌニェスの痛恨のスリップは試合を分けた最大の分岐点となった。クーニャが即座に反応してフェルナンデスへの完璧なスルーパスを通し、フェルナンデスが勝負強い一撃で同点に。このゴールがユナイテッドに心理的な息吹を与え、後半の怒涛の攻勢への布石となった。

②56〜68分:後半開始12分で3得点・グリーブスの不運

後半開始直後からユナイテッドが圧力を強め、56分のグリーブスオウンゴール、61分のPK、68分のフェルナンデスハットトリック弾と、わずか12分で3点を奪って勝負を決定づけた。グリーブスが2度の痛恨プレー(オウンゴール・PK献上)に関わったことで、イプスウィッチは精神的にも立て直す時間を与えられなかった。

選手評価

ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)

90分でハットトリック+1アシスト(3ゴール・xG 1.95・8シュート)。PFAとFWAのダブル年間最優秀選手に輝いた直後の試合でも圧倒的な個の力を発揮。特に40分の強烈な左足シュートと61分のPKは、ビッグゲームでの確実性を体現した。試合後、BBC Sportに「スコアをもっと増やすことに貪欲でいなければならない」と語り、さらなる高みへの意識を示した。

マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)

オールド・トラッフォードで90週ぶりのスタート出場となった復帰戦。4タッチ・2シュートオンゴールとスタッツこそ控えめながら、ラッシュフォード特有の縦への推進力と積極的な仕掛けはチームに活力を与えた。56分の折り返しがオウンゴールを誘発するなど、ゴールへの直接関与もあった。

マテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)

1ゴール1アシスト(xG 0.11・xA 0.15)。スタッツのxG以上に試合に影響を与えた選手。ヌニェスのスリップへの即応でフェルナンデスをお膳立てした精巧なスルーパス、そしてグリーブスからのPK奪取と、試合の流れを変えるプレーを連発した。

コビー・メイヌー(マンチェスター・ユナイテッド)

68分のプレーで相手のPKを誘発するなど守備でも存在感を発揮(DINT 7・DUELW 9)。中盤での汗かき役としてチームのバランスを支え、試合後のファンからは「あれができる英国人MFは他にいない」との声も上がった。

レイフ・デイビス(イプスウィッチ・タウン)

攻撃参加から先制点を決めた左サイドバック。29分の得点は、ファタウのドリブル突破からの折り返しをパンチングで決める技術の高さを見せた。しかし後半はユナイテッドの猛攻の前に攻撃参加も限定的となり、存在感は薄れた。

この結果が意味するもの

両クラブはここまで1勝1敗(勝ち点3)で並んでおり、今節の勝利でユナイテッドは3勝1分の幸先良いペースでシーズン序盤を乗り切る形に見えるが、実態はより複雑だ。開幕節のハル戦での完敗が示すように、守備の不安定さ(特に左サイドの脆弱性)とビルドアップのリスクは解消されておらず、今節もイプスウィッチ相手に2失点している。フェルナンデスというワールドクラスの個人能力への依存度も依然として高く、彼が沈黙した試合でチームがどう機能するかは今後の大きな問いとなる。一方、ラッシュフォードの復帰は明らかなプラス材料であり、アタッカー陣の層の厚みが増したことで、今後の上位争いへの参戦には希望の光が差し込んでいる。


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編集長 · 戦術担当