「守備がタイトルを制す」という格言はサッカー界で広く知られるが、プレミアリーグの歴史においてこの言葉を体現してきたクラブはどこか。1シーズンのクリーンシート数は、守備力の高さを示す最もわかりやすい指標のひとつ。歴代記録を一覧で把握しておくことは、チームの守備哲学や時代背景を理解するうえでも欠かせない視点だ。
※本記事の情報は掲載時点のものであり、記録は更新される可能性があります。
【一覧】プレミアリーグ1シーズン最多クリーンシート記録(リーグ戦)
ソースに明記されているデータをもとに、プレミアリーグのリーグ戦における1シーズンのクリーンシート数上位をまとめた。
| 順位 | クラブ | シーズン | クリーンシート数 |
|——|——–|———-|—————–|
| 1 | チェルシー | 2004/05 | 25 |
| 2 | マンチェスター・ユナイテッド | 2008/09 | 24 |
| 2 | マンチェスター・ユナイテッド | 1994/95 | 24 |
| 4 | アーセナル | 1998/99 | 23 |
| 5 | チェルシー | 2006/07 | 22 |
| 5 | チェルシー | 2008/09 | 22 |
| 5 | リバプール | 2005/06 | 22 |
- チェルシー(2004/05):25試合・リーグ戦単独1位
ジョゼ・モウリーニョ監督就任1年目、ペトル・チェフを守護神に据え、ジョン・テリー、リカルド・カルバーリョらがCBを組んだ鉄壁のディフェンス。クロード・マケレレの守備的MFとしての貢献も大きく、リーグ戦で失点わずか15という別記録も同時達成した。
- マンチェスター・ユナイテッド(2008/09):24試合・同率2位
サー・アレックス・ファーガソン体制下で、プレミアリーグ優勝とチャンピオンズリーグ決勝進出を果たした黄金シーズン。この2008/09シーズンはリーグ戦以外を含めた全コンペティションでも66試合中36試合でクリーンシートを記録し、全大会通算でも史上最多となった。
- マンチェスター・ユナイテッド(1994/95):24試合・同率2位
プレミアリーグ黎明期、ファーガソン監督が構築した守備ブロックの強固さを示す記録。チェルシーが2004/05に25試合を達成するまで、この数字が長年リーグ戦の最高記録として君臨していた。
- アーセナル(1998/99):23試合
アーセン・ベンゲル監督が鍛え上げたディフェンスラインによる記録。失点数もリーグ戦で17点と当時のリーグ最少を誇り、その後チェルシーが2004/05に15点で更新するまで守備の基準点として語り継がれた。
- チェルシー(2006/07):22試合
モウリーニョ2期目にあたるこのシーズンも、スタンフォード・ブリッジを本拠地とするブルーズはトップクラスの守備力を維持。チェルシーはリーグ上位に複数のシーズンで名を連ね、2000年代の守備記録を独占している。
- チェルシー(2008/09):22試合
フィリップ・スコラーリ、グス・ヒディンクと監督が交代する混乱期にも守備の安定感は失われず、22クリーンシートを達成。組織的な守備の文化がいかにクラブに根付いていたかを物語る。
- リバプール(2005/06):22試合
ラファエル・ベニテス監督のもと、前年のチャンピオンズリーグ制覇の余韻が残るシーズン。22クリーンシートはリバプールのリーグ戦における歴代最高水準であり、守備組織の高さを示す。
【参考】全コンペティション通算での最多クリーンシート記録
リーグ戦に限らず、カップ戦や欧州大会も含めた全試合での記録も確認されている。
- マンチェスター・ユナイテッド(2008/09):36クリーンシート(全66試合)
プレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグなどすべての公式戦を合算した数字。66試合のうち半数以上(約54%)でゴールを許さなかった計算となり、1クラブが1シーズンで達成した全大会通算の最多記録として知られる。
- チェルシー(2004/05):34クリーンシート(全大会)
リーグ戦25は同年の全試合の一部であり、カップ戦等を加えた合計は34試合。ジョン・テリーをキャプテンに擁するバックラインは時代を超えてその名を刻んでいる。
- リバプール(2005/06):33クリーンシート(全大会)
全大会通算3位にランクイン。リバプールの守備基盤がベニテス体制下で高い水準にあったことを示す数字だ。
編集部の見解
ソースを総合すると、プレミアリーグのクリーンシート記録において「チェルシー2004/05」と「マンチェスター・ユナイテッド2008/09」という2つのシーズンが突出した存在であることがわかる。リーグ戦単体ではチェルシー(25試合)が王者であり、全大会通算ではユナイテッド(36試合)が頂点に立つ。この2クラブが同時期の2000年代後半に守備の頂を争っていたことは、プレミアリーグ史においても象徴的な時代背景だ。
また、この時期のチェルシーはリーグ戦での失点数が歴代最少の15点という別記録も同時保持しており、守備に関するあらゆる指標でトップを独占する「完全無欠の守備シーズン」を送っていた。翻って現代を見ると、2024/25シーズンにアーセナルが38試合で21クリーンシートを達成しているという記録がソースで言及されているが、それでもなお歴代1位には届かず、チェルシーの記録がいかに難攻不落であるかを改めて感じさせる。守備記録は攻撃記録と異なり、個人の天才性だけでは達成できない。組織力・選手層・戦術の三拍子が揃って初めて生まれる集団芸術であるからこそ、その価値は色あせることがない。
情報源
- Amazing Premier League records that may never be broken – Premier League 公式サイト
- Man Utd, Chelsea or Liverpool? The Premier League clean sheet record in one season – Transfermarkt
- Premier League records and statistics – Wikipedia(英語版)