プレミアリーグ王者アーセナルが、2026年8月5日にダブリンのアビバ・スタジアムで行われたプレシーズン親善試合においてリアル・ベティスに1-3で敗れた。前半だけで3失点を喫するという「らしくない」守備崩壊が際立ち、ミケル・アルテタ監督にとってシーズン開幕前の深刻な警鐘となった。特にGKケパ・アリサバラガのミスが得点に絡んだことで、ゴールキーパー問題にも注目が集まっている。
アーセナル 1-3 リアル・ベティス(ダブリン、アビバ・スタジアム)

El Pantera / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
試合概要:プレシーズン親善試合、2026年8月5日、アビバ・スタジアム(観客数5万人)
得点者:
- リアル・ベティス:ロドリゴ・リケルメ(9分)、ネルソン・デオッサ(26分)、パブロ・フォルナルス(43分)
- アーセナル:ピエロ・インカピエ(32分)
試合はいきなりのハプニングから始まった。リアル・ベティスがバスの渋滞に巻き込まれてスタジアム到着が遅れ、キックオフは15分遅延。その立ち上がりはアーセナルが主導権を握り、ビクトル・ジョーキェレスが至近距離から相手GKを直接狙うなど好機を作ったが、得点には至らなかかった(Evening Standard)。
その後、ペースを落ち着かせたベティスが9分に先制。コーナーキックからケパがボールをファンブルしたところをロドリゴ・リケルメがバックポストで無人の状態でタップインするという、典型的なGKミス絡みの失点だった。26分にはネルソン・デオッサがペナルティエリア外でフリーな状態を許され、トップコーナーへの強烈なシュートで2点目。この場面もアーセナルの守備が組織的に間延びしていたことが原因だ。
32分、アーセナルはクリストス・ツォリスのアシストからインカピエがコーナーキックで1点を返した。しかし43分、カイ・ハフェルツが安易にボールを失うと、パブロ・フォルナルス(元ウェストハム)が落ち着いてネットに流し込み、前半終了時点でリアル・ベティスがリードを2点に広げた(Evening Standard)。
後半はアーセナルが14枚もの交代カードを切り、ガブリエウ・マガリャンエスやガブリエル・マルティネッリ(ともに後半30分出場)らを投入したが、反撃の糸口はほとんどつかめなかった。BBCスポーツは「選手たちは敗戦後に激怒していた」と伝えており、内部からも相当な不満が噴出していることがうかがえる(BBC Sport)。また若手のルーイ・コプリーが足のスタッドが芝に引っかかるアクシデントで重傷を負ったとみられることも懸念材料だ。
アルテタ監督は前節のヘローナ戦の勝利からスタメンを変えず、カイ・ハフェルツ、エサン・ヌワネリ、そして夏の新加入選手クリストス・ツォリスを先発起用した。
戦術的考察

TheSportsDB / Dion Dublin
今回の敗戦が示す最大の問題は、守備ブロックの整備不足と個人ミスの連鎖だ。1失点目はGKケパのコーナー処理ミス、2失点目はプレスラインが崩れてデオッサをフリーにした組織的ミス、3失点目はハフェルツの不用意なロストからのカウンター。3つの失点がそれぞれ異なる原因を持っており、問題が守備の特定箇所だけでなく、チーム全体のコンパクトさと集中力の欠如にあることを示している。
プレシーズンという特性上、アルテタ監督が実験的な組み合わせを試みていることは差し引いて考える必要があるが、ベティスのパブロ・フォルナルスとロドリゴ・リケルメに何度も攻め込まれた事実は軽視できない。特に第3失点のハフェルツのボールロストは、インサイドハーフがボールを持ちすぎて囲まれるリスクという、アルテタのシステムが長年抱える弱点でもある。
夏の補強として新加入のツォリスや新シーズンに向けて試す選手たちとの連携がまだ構築途上にあることも、組織力の低下につながっている。アーセナルが志向するハイラインとハイプレスは、選手間の距離感と意思疎通が完璧でないと一気に崩壊する諸刃の剣だ。プレシーズン中にこの危うさを修正できるかどうかが、新シーズンの成否を左右する。
数字で読む
- スコア:アーセナル 1-3 リアル・ベティス(前半1-3、後半0-0)
- 会場・観客数:アビバ・スタジアム(ダブリン)、50,000人
- 前半の失点数:3(全失点が前半に集中)
- 後半の失点数:0(守備の修正は見られたが、攻撃もほぼ機能せず)
- アーセナルの交代数:14枚(ターンオーバーを積極活用)
- ベティスの交代数:4枚(アーセナルと対照的に少数)
前半の3失点という数字が際立つ。プレシーズンとはいえ、プレミアリーグ王者のチームが45分でこれほど崩れるのは異例だ。また後半にアーセナルが14枚の交代を行いながらベティスが4枚に抑えた点は、両チームのコンディション管理における方針の違いを如実に示している。連動性とフィジカルの充実度が高いベティスが後半も引き続き得点機会を多く生み出したことは、現時点のアーセナルのチーム完成度への問いかけと言えるだろう。
編集部の見解
この試合の結果そのものよりも、失点の質と内容がアルテタ監督に突きつける課題は深刻だ。3失点のうち、ケパのファンブルから生まれたコーナー処理ミス、プレスを外されての個人技による失点、そしてMFのボールロストからのカウンター——これらは「運が悪かった」では片付けられない構造的問題である。
特にケパ・アリサバラガのGKとしての安定性については、開幕前から懸念の声が出て当然だ。昨季から継続して使われているとはいえ、今回のようなコーナーキックでのファンブルは、エリート水準のGKには許容されないミスだ。アーセナルがタイトルを再び手にするためには、GK問題の解決が不可欠だと断言する。
また若手のルーイ・コプリーの怪我の重さも気になる。育成型選手の長期離脱はスカッドの厚みに影響する。次戦のボルシア・ドルトムント戦(エミレーツカップ)で守備陣がどれだけ立て直しを見せられるかが、開幕に向けた信頼回復の試金石となる。
今後の注目点
アーセナルの次戦は日曜日のエミレーツカップ、ボルシア・ドルトムント戦(Evening Standard)。ホームのエミレーツ・スタジアムで行われるこの一戦では、今回露呈した守備の弱点を修正できているかどうかが最大の焦点となる。
ケパの起用継続を巡る判断も注目点だ。親善試合とはいえ、GKのコーナー処理ミスが試合の流れを決定づけた以上、アルテタ監督がチーム内での競争に何らかのシグナルを出すかどうかに注目が集まる。
また移籍市場については、イブニング・スタンダードがブルーノ・ギマランイスの健康診断予約とビニシウス・ジュニオール・ジュニオールへの入札準備を報じており(Evening Standard)、スカッド強化に向けた動きがどこまで加速するかも8月前半の大きなテーマだ。プレミアリーグ開幕まで残り時間は多くない。チームの完成度を高めるための補強と戦術的修正が、今まさに急務となっている。
情報源
- Arsenal 1-3 Real Betis: Premier League champions suffer first defeat of pre-season after Kepa Arrizabalaga error – Sky Sports
- Arsenal suffer disappointing defeat to Real Betis in preseason friendly – ESPN
- Arsenal 1-3 Real Betis: Defensive concerns on show for Gunners in pre-season defeat – Evening Standard
- Arsenal 1-3 Real Betis: Gunners uncharacteristically sloppy in friendly defeat – BBC Sport
