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マンチェスター・ユナイテッドの移籍金歴代最高額ランキングと「超高額選手」の実像

2026.08.04

マンチェスター・ユナイテッドは2013年のサー・アレックス・ファーガソン監督退任以降、プレミアリーグ優勝ゼロにもかかわらず約20億ポンドを費やしてきた。2024/25シーズンには現代史上最悪のシーズンを経験し、ルベン・アモリムが解任。マイケル・キャリック新監督のもとで再出発を期す今夏、クラブの移籍金支出の歴史を改めて振り返ることは、なぜユナイテッドが迷走を続けてきたかを読み解く鍵となる。過去20年間で最も高額の移籍金を支払った売却クラブのデータと、クラブ史上最高額の個人単位移籍費から見えてくる、赤い悪魔の投資判断の本質に迫る。

ユナイテッドが最も費やした売却クラブ 歴代トップ10

概要: 過去20年間(2004/05シーズン以降)でユナイテッドが移籍金を最多支払った相手クラブのランキング

Transfermarktのデータによれば、ユナイテッドが最も多額の移籍金を支払ったクラブの1位はオランダの名門アヤックスで、累計2億890万ユーロに達する。アントニーの9500万ユーロ(2022年)、リサンドロ・マルティネスの5737万ユーロ(同年)、ドニー・ファン・デ・ベークの3900万ユーロ(2020年)、デイリー・ブリントの1750万ユーロ(2014年)という4件の取引が積み上がった結果だ。(Transfermarkt)

2位はレアル・マドリードで、3選手から1億8570万ユーロを得ている。最大の案件はアンヘル・ディ・マリアの7500万ユーロで、カゼミーロの7065万ユーロがこれに続く。3位には初のイングランドのクラブとしてエバートンが1億5410万ユーロで入り、チェルシーが3選手合計1億5360万ユーロで4位、ボルシア・ドルトムントが3選手合計1億4300万ユーロで5位に続く。

6位はユベントスで、累計1億2200万ユーロのほとんどをポール・ポグバの1億500万ユーロ(2016年)が占める——これは今もユナイテッド史上の移籍金レコードだ。7位はアタランタで9520万ユーロ、ラスムス・ラスムス・ホイルンドドの7390万ユーロを含む2件の取引が背景にある。8位には詳細が記載されていないが、レスターが9位に入り2選手合計8700万ユーロ。10位はフランスのモナコで7560万ユーロとなっている。

マテウス・クーニャの加入と「累積移籍金トップ10」

概要: 2025年6月に完了したマテウス・クーニャのユナイテッド移籍が生んだ歴史的記録

2025年6月2日、ユナイテッドはウォルバーハンプトン・ワンダラーズからマテウス・クーニャをリリース条項行使により7420万ユーロで獲得した。クーニャは5年契約(さらに最大1年間の延長オプション付き)に署名。ウォルバーズでは76試合で31ゴールを記録していた。(Transfermarkt)

この移籍によりクーニャはユナイテッド史上8番目に高額な選手となったと同時に、キャリア通算累積移籍金の世界トップ10にも名を連ねる珍しい存在となった。RBライプツィヒ→ヘルタ・ベルリン→アトレティコ・マドリード(3500万ユーロ)→ウォルバーズ(5000万ユーロ、後に完全移籍)→ユナイテッドという渡り歩きの結果、累積額は1億9200万ユーロに達し、世界8位に浮上した。

世界的な累積移籍金トップ10は以下の通り:1位ネイマール(4億ユーロ)、2位ロメル・ルカク(3億6900万ユーロ)、3位クリスティアーノ・ロナウド(2億4700万ユーロ)、4位ウスマン・デンベレ(2億2000万ユーロ)、5位アルバロ・モラタ(2億800万ユーロ)、6位マタイス・デ・リフト(1億9800万ユーロ)、7位ジョアン・フェリックス(1億9600万ユーロ)、8位クーニャ(1億9200万ユーロ)、9位アントワーヌ・グリーズマン(1億8200万ユーロ)、10位フィリペ・コウチーニョ(1億8000万ユーロ)。

ファーガソン退任後75選手の評価

概要: 2013年以降の全75選手に対するFOOTBALL365の総合評価

FOOTBALL365によれば、ユナイテッドはサー・アレックス・ファーガソン退任後75選手に約20億ポンドを費やしたにもかかわらず、プレミアリーグ優勝を一度も果たしていない。2024/25シーズンはルベン・アモリム指揮下でリーグ戦15位に終わり、現代史上最悪の成績を記録。ルベン・アモリムは解任となった。同記事では、オナナ、アントニー、サンチョらがワースト5に入ると評価されている。(Football365)

戦術的考察

ユナイテッドの移籍金歴代データが示す最大の構造的問題は、「単一クラブへの過度な依存」と「プロフィールの偏り」だ。アヤックスから4選手・累計2億890万ユーロという数字は、スカウティングがアムステルダムの一点集中になっていたことを意味する。アントニーとリサンドロ・マルティネスが同じ夏(2022年)に同一クラブから加入するという事象は、交渉力の分散という観点からも問題だ——売却クラブ側が価格を高く設定できるポジションに置かれてしまう。

一方、レアル・マドリードからの3選手(ディ・マリア、カゼミーロ、そして詳細不明の1名)計1億8570万ユーロというデータは、マドリードが「売りたい選手を高値でユナイテッドに売る」という構造が繰り返されてきたことを示唆している。

マテウス・クーニャの加入はマイケル・キャリック体制下での2025年夏の最初の補強だが、7420万ユーロという額と5年契約の内容は、ウォルバーズ在籍時の実績(76試合31ゴール)に対する適正評価の範囲内とみられる。ただし前線に攻撃的なプロフィールを持つ選手を高額で獲得し続けてきた歴史は、守備組織の構築への投資不足というトレードオフを生んできた。15位という前シーズンの結果は、この偏りの必然的な結果だ。

数字で読む

  • 過去10シーズンのネット支出:1億2700万ユーロ(世界最高)— これは単純な浪費ではなく、売却で回収できていないことを意味する
  • ユナイテッド史上最高額の移籍金:ポール・ポグバ(ユベントスから1億500万ユーロ、2016年)
  • 2位:アントニー(アヤックスから9500万ユーロ、2022年)
  • クーニャの移籍金:7420万ユーロ(ユナイテッド史上8位)
  • アヤックスへの累計支出:2億890万ユーロ(過去20年の売却クラブ1位)
  • FA Cup連続未勝利:2016年以降タイトルなし(プレミアリーグは2013年が最後)— 約20億ポンドを費やして無冠が続いている

累積移籍金ランキングで見ると、ルカクの3億6900万ユーロは9度の移籍によるもので、クーニャの1億9200万ユーロは26歳でのキャリア途中段階の数字。年齢を考慮すれば、クーニャが将来さらにランクを上げる可能性は十分にある。

編集部の見解

ユナイテッドの移籍失敗の本質は「金額の多寡」ではなく「意思決定プロセスの欠如」にある。アヤックス2億890万ユーロという数字が象徴するように、特定クラブへの依存、同一夏での複数獲得、そして売却時の交渉力不足が重なることで市場価格が適正水準を大幅に超えてしまう。ポグバの1億500万ユーロは今も記録だが、彼のユナイテッドでの成果が記録に見合ったものだったかは誰もが知っている。

マイケル・キャリック体制はマテウス・クーニャ獲得を迅速に完了させたが、これ一件で「改善」とは言えない。真の改革とは、スカウティングルートの多様化、適切な売却価格の設定、そして不要選手の迅速な放出だ。過去10シーズンで世界最高水準のネット支出を誇りながらリーグ15位に沈んだという事実は、経営構造そのものの問題であり、新監督の手腕だけで解決できる話ではない。INEOSによる新体制がこの問題を根本から変えられるかどうか、今夏の移籍窓はそのリトマス試験となる。

今後の注目点

2025年夏の移籍窓でクーニャ獲得を皮切りにスタートを切ったユナイテッドだが、過去の失敗パターンを繰り返さないためには以下の点が重要になる。

守備への投資優先度:15位という順位は攻撃力だけでは語れない問題だ。センターバックやボランチといる守備的ポジションへの投資が次に来るかどうかが、キャリック体制の真剣度を示す指標となる。

売却の実現:アントニー(アヤックスから9500万ユーロ)をはじめとする高額購入後に期待を裏切った選手たちの放出・売却が進むかどうか。ネット支出を抑えながら陣容を整えられるか。

アヤックス依存の脱却:スカウティングの多様化が実際の補強で体現されるかどうか——クーニャの獲得がプレミアリーグ内クラブ(ウォルバーズ)からだったことは一つのシグナルだが、今後の追加補強でどのクラブから誰を獲得するかに注目が集まる。2026/27シーズンに向けたスクワッドの完成度が問われる夏は、まだ続いている。


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編集部 Editorial

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編集長 · 戦術担当