女子チャンピオンズリーグ(UWCL)リーグフェーズ第2節、OLリヨネス対チェルシー女子の一戦はグルパマ・スタジアムで0-0のドローに終わった。チェルシーにとってはVARに2度ペナルティを覆され、ローレン・ジェームズが決定機を外すなど、悔しさの残る引き分けだ。一方のリヨネスも今季リーグフェーズ初の無得点という屈辱を喫した。特に注目を集めたのは、チェルシーを率いるソニア・ボンパストールがかつて監督として欧州タイトルを掲げた古巣に凱旋したという舞台設定である。
OLリヨネス 0-0 チェルシー(UWCL リーグフェーズ第2節)

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見どころ:8度の欧州女王リヨネスの本拠地で、元監督ボンパストールが率いるチェルシーがどこまで戦えるか。古巣との対決という特別な文脈が加わった一戦。
注目の対決:チェルシーのダブルピボット、キーラ・ウォルシュとレクシー・ポッターがリヨネスの流動的な攻撃陣を制御できるか。最終盤に投入されたローレン・ジェームズとアダ・エルゴルベルグが勝負を決められるかも焦点となった。
試合の流れ
立ち上がりはリヨネスがペースを握った。ジョナタン・ヒラルデス監督のチームは開幕節でセルヴェットを8-0と大量得点で粉砕した勢いそのままに前線から圧力をかけたが、チェルシーは最終ラインを整えてこれに耐えた。前半20分、サルマ・パラジュエロがフリーで抜け出したが、GKハナ・ハンプトンが好セーブで阻止。その後もメルシー・ドゥモルネがポスト際を狙う強烈なシュートを放ったが、わずかに外れた。
後半に入ってチェルシーがペースを取り戻した矢先、事件が起きた。タルシアーニとシュエケ・ヌスケンの接触プレーでチェルシーが獲得した(と思われた)ペナルティ。しかし主審マルタ・ウエルタ・デ・アサはVARモニターを確認し、ルーシー・ブロンズのオフサイドポジションを理由に判定を覆した(ESPN)。さらに72分、パラジュエロの一撃がゴールに吸い込まれたが、オフサイドで取り消し。これはリヨネスにとって今季リーグフェーズ開幕から数えて20試合ぶりの無得点となった(ESPN)。
終盤、ボンパストールはローレン・ジェームズを投入し攻勢を強めた。ジェームズはアリッサ・トンプソンの折り返しを受けて決定機を迎えたが、GKマラ・グローシュを直撃する惜しいシュートに終わった。次の瞬間、ジェームズが今度こそペナルティを獲得かと思われた場面でも、再びVARが介入。ダマリス・エグロラとの接触を審判がモニターで確認し、ペナルティは認められなかった(Sky Sports)。
最後はリヨネスのエルゴルベルグがアディショナルタイムにヘディングシュート。これをハンプトンが全身を伸ばして弾き出す「ヒロイックな」セーブで試合終了。アウェーでのスコアレスドローという結果が確定した(The Guardian)。
監督・選手コメント
ボンパストールはParamount Plusのインタビューで「ゲームプランを実行できたことは満足しているが、勝てた試合だった。ローレンの決定機は決めるべきだった」と語った。3日前のアーセナル戦の疲労が残るなか、チームは戦術的な準備を十分にできなかったことも認めた(Sky Sports)。
MVPを受賞したルーシー・ブロンズはDisney+に「チーム全員を誇りに思う。3日前に激しい試合をしてからリヨンに飛んできて、今日これだけのパフォーマンスを見せた。シーズン序盤の引き分けとしては悪くない」と振り返った(ESPN)。
戦術的考察

LHC88 / Wikimedia Commons (CC BY 4.0)
チェルシーはウォルシュとポッター(後者は今節前日にイングランド代表初招集を受けたばかり)のダブルピボットが機能した。この2人が縦パスのコースを消しながら中盤で網を張ることで、リヨネスの素早いパスワークを遅らせることに成功した。The Guardianが指摘するように、チェルシーは前半を通じてポゼッションで優位に立ち、リヨネスのプレッシャーを丁寧に剥がし続けた。
問題は後半の運動量の低下だ。アーセナル戦から中3日でアウェー遠征という過密日程のなか、チェルシーが終盤に押し込まれたのは体力的な問題が大きい。ボンパストールが後半途中でジェームズを投入した判断は、直線的なスピードでリヨネスの最終ラインの裏を狙うための合理的な策だったが、そのジェームズが2つの決定的チャンスを生かせなかったことで「勝てる試合を引き分けた」という印象が残った。
一方リヨネスは、前節8-0大勝のメンバーをほぼ維持した布陣で臨んだが、チェルシーの守備ブロックに対して昨季ファイナリストの真の実力を見せられなかった。エルゴルベルグとパラジュエロという世界クラスのFWを擁しながら、チェルシーのGKハンプトンに脅威を与えたシーンは数えるほどにとどまった。リヨネスが依存するカウンタープレス戦術は、チェルシーのようにボールを保持しながら中盤でタスクをこなせる相手に対しては機能しにくいことが改めて浮き彫りになった。
数字で読む
- 両チームの現在地:チェルシー・リヨネス共にリーグフェーズ2試合を終えて1勝1分(勝ち点4)で並んでいる(ESPN)。
- リヨネスの無得点記録:今節のスコアレスは、リヨネスにとってホームでのUWCLグループ/リーグフェーズで16試合ぶり2度目の無得点。前回はユベントスとの0-0(2022年12月)。チームとしても今季全競技を通じて初めて得点なしで終えた試合となった。
- スタジアムの観客数:グルパマ・スタジアムに7,324人が来場。
- VAR介入:チェルシーはこの試合で2度ペナルティを取り消された。いずれも当初の判定が覆る異例の展開だった。
- イングランド勢のUWCL成績:チェルシーと同じく勝ち点4のアーセナルは、同日パリFCとの試合でリア・ウィリアムソンのミスから痛恨の失点を喫し引き分け。英国勢2クラブが明暗を分けるような展開となった。
編集部の見解
今夜のチェルシーは「よく凌いだ」のではなく、「勝てる試合を物にできなかった」と評価すべきだ。VARによる2度のペナルティ取り消しは確かに痛いが、ジェームズのシュートがグローシュを直撃した場面はミス以外の何物でもない。世界最高レベルで戦うチームが、これだけの決定機を無駄にしたら勝ち点1が上限になるのは必然だ。
それでも今節のポジティブな側面は明確だ。ポッターがUWCLのステージで物怖じせず機能したことは大きい。そしてハンプトンが最後の最後でエルゴルベルグのヘディングを止めた場面は、チェルシーがこのステージで本物の守備力を持っていることを示した。ボンパストールが就任後にチームに植え付けつつある「ボールを持ちながらリスクを管理する」スタイルは、この困難なアウェー戦でも機能した。
しかし課題は正直に言う。フィニッシュの精度は今後のラウンドで致命傷になりかねない。この試合で外した決定機がもしバルセロナ戦に訪れたら、同じミスは許されない。ジェームズのUWCLにおける存在感と決定力は、チェルシーが頂点を狙うための絶対条件だ。
今後の注目点
UWCLの次節:まずBBCが報じた情報によると、翌日にマンチェスター・シティ女子がリアル・マドリード女子をホームに迎えるUWCL第2節が行われる(BBC Sport)。
WSL週末の2試合:チェルシーは今週末にウェスト・ハム戦(アウェー)に臨む。3日前のアーセナル戦に続く過密日程が続くが、リヨン遠征から帰国直後の状態でどこまで戦えるかが注目点だ。さらに同日マンチェスター・シティ対アーセナルという英国女子サッカーの最重要カードも行われる予定で、UWCLのポイント争いとWSLの順位表、両方の動向を同時に追いかける必要がある。
チェルシーのUWCLリーグフェーズ残り試合:現在2試合消化して勝ち点4。上位4クラブが準々決勝へ自動進出、5〜8位がプレーオフに回る仕組みの中で、チェルシーは現在4位タイにつける。残り試合でバルセロナやバイエルン・ミュンヘンといった強豪との直接対決が待ち受ける可能性があるだけに、ジェームズの決定力回復と、ポッターら中盤の成長が自動進出を左右する鍵となる。
情報源
- 0-0: Combate nulo entre Lyonnes y Chelsea – Mundo Deportivo
- Lyonnes 0-0 Chelsea (Sep 30, 2026) Game Analysis – ESPN
- OL Lyonnes accrochée à domicile par Chelsea en Ligue des champions – L’Équipe
- Lucy Bronze ‘proud’ of Chelsea effort in OL Lyonnes draw – ESPN
- Lyon 0-0 Chelsea: Lauren James sees penalty overturned by VAR – Sky Sports
- Hampton’s heroics preserve WCL point for Chelsea on Bompastor’s OL Lyonnes return – The Guardian
- OL Lyonnes 0-0 Chelsea: Blues hold off eight-time Champions League winners – BBC Sport