試合の流れ
前半
スタンフォード・ブリッジに集まったサポーターは開始早々に歓喜した。わずか4分、ロメオ・ラビアがタップインでチェルシーに先制点をもたらす。BBCの報道によれば、ラビアは今週半ばのミッドウィーク戦でも同様の形からゴールを脅かしていたといい、待望のチェルシー初ゴールを記録した。
14分にはモーガン・ロジャーズの力強い左サイドの突破がペドロ・ネトのゴールをお膳立て。さらに32分、ジョアン・ペドロが巧みなフリックで3点目を奪い、スタンフォード・ブリッジの雰囲気は最高潮に達した。前半30分強で3-0という一方的な展開。シャビ・アロンソ体制のチェルシーは攻撃の鮮やかさを存分に示した。
ところが35分、このまま前半を終えるかと思われたタイミングでブライトンが一矢報いる。デビュー戦のマリク・ヤルコウィエが鋭いボレーでエミリアーノ・マルティネスを破り、3-1として折り返した。守備の緩みを突かれた形で、前半の終わりにチェルシーに不安の影が差し込んだ。
後半
後半に入ってもチェルシーはリードを保っていたが、試合のギアは一変する。63分、ジョアン・ペドロがオウンゴールを献上。ペドロ・ネトが前がかりになる場面でのカウンター対応が不十分となり、ブライトンとの点差は1に縮まった。
リードをわずか1点まで詰め寄られたチェルシーベンチでは、ザビ・アロンソ監督が声を荒らげる場面も。68分に3枚替えを断行し(ジョシュ・アチャンポン、リース・ジェームズ、モイセス・カイセドを投入)試合を引き締めにかかった。
そして74分、コール・パーマーが値千金の4点目を右足のカーリングシュートでねじ込み、スタンフォード・ブリッジに安堵の息が広がった。しかしこれで終わらないのがこの試合の恐ろしさ。アディショナルタイム96分、ブライトンのパスカル・グロスがロングスローからのセットプレーを頭で沈め、最終スコアは4-3となった。
戦術分析
チェルシーの狙いと実行
シャビ・アロンソが構築しようとしている攻撃の設計図は前半の30分間に凝縮されていた。ジョルレル・ハトをウイングバックとして起用し、縦への推進力を確保。サイドバックのマロ・グストをミッドフィールドへ配置転換することで、中盤のスペースを管理しながら攻撃枚数を増やす工夫が見られた。ビルドアップは後方から丁寧につなぐスタイルで、マクサンス・ラクロワやリーバイ・コルウィルもボール保持に参加した。
「JPモルガン・フロントスリー」と英メディアが呼ぶジョアン・ペドロ、コール・パーマー、ペドロ・ネトの攻撃トリオは互いの動き出しで連動し、特に前半は前線のスペース活用が効果的だった。
ただし課題は明白だ。リードを広げた後に守備の集中力が途切れ、特にサイドの裏への対応とセットプレーの守備で脆弱性を露呈。ブライトンに3得点を許した点はアロンソ監督にとって今後の最優先修正事項となるだろう。
ブライトンの狙いと実行
今夏の移籍ウィンドウで主力を失い、負傷者も抱えた状態での敵地遠征となったブライトン。序盤は前線からのプレスを試みたものの、チェルシーの速いトランジションに追いつけず前半は完全に封じられた印象だった。
しかし35分のヤルコウィエのボレーは、デビュー戦とは思えない質の高さ。後半はGKバルト・フェルブリュッフェンが好セーブを連発し、ブライトンが無秩序に崩れた訳ではなかった。前線のカラランポス・コストゥラスも幾度かゴールを脅かし、徐々に修正力を発揮。終了間際のグロスのヘッドは、チームの最後まで諦めない姿勢を象徴していた。
ターニングポイント
①前半35分・ヤルコウィエのボレー
3-0の完全優位の状況でこの失点を喫したことが、後半の主導権争いに影響した。チェルシーの集中力が緩んだタイミングとも重なり、試合の様相を変える引き金となった。
②63分・ジョアン・ペドロのオウンゴール
ペドロ・ネトが前がかりになった際の守備的なリスク管理が甘く、カウンターから失点。3-2となりスタジアム全体に緊張が走った。この場面を受けてアロンソ監督がベンチに向けて指示を叫ぶシーンがカメラに捉えられており、試合の空気が一変した瞬間だった。
選手評価
コール・パーマー(チェルシー)
前半は守備のプレッシングにも献身的に参加。後半早々に決定機を外す場面もあったが、74分に右足でカーリングシュートを決め試合を決定づけた。チームのエースとしての存在感を示した。評価:8/10
ジョアン・ペドロ(チェルシー)
前半に巧みなフリックで3点目を決めるなど攻撃面で輝いたが、63分のオウンゴールが痛恨。明と暗が交錯した試合となった。評価:8/10(攻撃面)
ペドロ・ネト(チェルシー)
14分に2点目をタップインし先制ムードを加速。ロジャーズとの左サイドの連係も良好だったが、ブライトン1点目のきっかけとなった前がかりの対応で守備面に課題を残した。評価:7/10
マリク・ヤルコウィエ(ブライトン)
デビュー戦にもかかわらず鋭いボレーを決め、チームに希望を与えた。エミリアーノ・マルティネスを正面から打ち破ったシュートの質は際立っていた。評価:7/10(デビュー戦採点)
エミリアーノ・マルティネス(チェルシー)
新加入のGKは早い時間から存在感を発揮。クロスへの対応で2度安定したキャッチングを見せ、後半のブライトンの猛攻も概ね食い止めた。ヤルコウィエのボレーは止めきれなかったが、全体的には合格点の滑り出し。評価:8/10
この結果が意味するもの
2試合で7得点5失点という数字は、シャビ・アロンソ体制のチェルシーが持つ二面性を象徴している。攻撃陣の破壊力は本物だが、リード時の守備管理は明らかに改善を要する。開幕2連勝で白星を積み重ねた点は好材料だが、優勝争いを見据えた場合、強豪相手にこれほどの失点を繰り返せばいずれ足をすくわれる危険がある。一方のブライトンは怪我人を抱えながらも3得点と粘りを見せており、今後戦力が整えば上位を脅かす存在となり得る。
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