プレミアリーグ今節、エバートン対マンチェスター・ユナイテッドは劇的なドローで幕を閉じた。後半途中まで試合を支配していたように見えたユナイテッドだったが、ロスタイムに同点ゴールを許し勝ち点2を失う痛恨の結末となった。試合後は審判の判定をめぐる議論が白熱しており、元プレミアリーグ主審の見解も含めて4つの判定場面に注目が集まっている。マイケル・キャリック率いるユナイテッドにとって、取りこぼしの重みは計り知れない。
エバートン vs マンチェスター・ユナイテッド 劇的ドローの全容
試合の流れ: 試合はブライアン・ムベウモの先制点でユナイテッドが優位に立つ展開となったが、エバートンのタイリク・ジョージが83分に豪快なシュートで同点に追いつく。しかし直後、ユナイテッドが後半に投入したベンジャミン・セスコのヘッドで勝ち越しに成功。誰もがユナイテッドの勝利を確信した終盤、エバートンのエインズリー・メイトランド=ナイルズがロスタイムに鮮烈な一撃を叩き込み、試合は2-2のドローで終幕した。
最大の議論となった判定: 後半、マーカス・ラッシュフォードの突破からマテウス・クーニャへのボールにジェームズ・ターコウスキーが対応した場面でペナルティエリア内での接触があった。主審のジョン・ブルックスはファウルなしとしたが、この判定がPKを与えるべきだったかどうかが最大の議論の的になった。スカイ・スポーツのリー・ヘンドリーは「ターコウスキーがボールに完全に触れている。これは素晴らしいタックルだ」と語り、主審の判断を支持した。
元主審の見解が示す2つの誤り: 元プレミアリーグ主審のキース・ハケットは、ブルックスが今回2つの判定を誤ったと主張している。1つ目はエバートンのシエルノ・バリーがペナルティを主張して倒れた場面で、ハケットは「バリーは明らかに接触なしに倒れており、イエローカードを受けるべきだった」と断言。2つ目はユナイテッドのディオゴ・ダロトがジョージのシャツを引っ張った場面で、「ダロトはその時点でイエローカードを受けるべきだった」と指摘した。ダロトは結局、ジャック・グリーリッシュへの同様の反則で後から警告を受けている。(Manchester Evening News)
アレハンドロ・ガルナチョ:ユナイテッドを去った男の不振
今節の話題と並行して注目されているのが、かつてユナイテッドで活躍し現在はアストン・ビラに在籍するアレハンドロ・ガルナチョの不振だ。22歳のアルゼンチン人ウィンガーは、ビラのハル・シティ戦(0-0)で後半途中から出場したが、15分以上のプレータイムでシュート・チャンス創出・クロス完成がいずれもゼロ。パス数はわずか9本にとどまった。
元ビラ・リバプールのサイドバック、スティーブン・ウォーノックは「ガルナチョとタミー・アブラハムは出てきてから何もしていない。ガルナチョは完全にやる気がないように見える。ウナイ・エメリは交代策に激怒するだろう」と厳しく批判した。ガルナチョのビラでのスタメン争いでは、10代のジョージ・ヘミングスが3試合でスタンドアウトなパフォーマンスを見せており、エメリ監督も「ヘミングスはすでにプレミアリーグレベルにある」と認めている。(Manchester Evening News)
戦術的考察
今節のエバートン対ユナイテッドの試合で戦術的に注目すべきは、ユナイテッドの交代策の機能と、終盤の試合管理の失敗だ。セスコの投入が実を結び一時勝ち越したことは、マイケル・キャリックのベンチワークが局面打開の手段として有効であったことを示している。しかし直後に失点を許したという事実は、リードを守る段階での守備的なオーガナイズに課題が残ることを明確に示した。
ラッシュフォードが「これがラッシュフォードの最高の姿だ」とリー・ヘンドリーが形容するような突破でクーニャを活かす形を作れていたことは、今季のユナイテッドの攻撃的な可能性を示す一方、ゲームを締める術が整備されていない現状も浮き彫りになった。また、ダロトが複数回のシャツ引きで本来は早期に警告を受けるべき状況を作っていたことは、選手個人の規律面でも課題があることを示す。終盤の修羅場で守備的なメンタリティと組織的な安定感を両立させることが、キャリック体制における急務の課題だ。
数字で読む
ソースから確認できる範囲で今節を数字で整理する。
- 得点の流れ:ムベウモ先制→83分ジョージ同点→セスコ勝ち越し→ロスタイムにメイトランド=ナイルズが同点
- 問題の判定:ダロトが少なくとも2回のシャツ引き(1回目は警告なし、2回目は警告)
- ガルナチョのデータ(ハル戦の約15分):シュート0、チャンス創出0、クロス完成0、パス9本
これらの数字が示すのは、試合展開のドラマ性と同時に、ユナイテッドの守備的な脆弱性と判定の難しさだ。ロスタイムの失点というのは、精神的なダメージが通常の失点以上に大きい。1ゴール差を守り切れなかった事実は、今後の試合でのクローズの質に対して改善が求められることを数字が裏付けている。
編集部の見解
今節のドローは、マンチェスター・ユナイテッドにとって単なる勝ち点2のロスではなく、チームの成熟度に対する大きな疑問符を突きつけるものだ。ロスタイムに失点するというのは、守備ブロックの組織と選手のメンタル強度、両方の問題を同時に映し出す。キャリック監督は攻撃的な駒を持ちながら、試合を終わらせる力がまだ不足している。これは戦術の問題でもあるが、選手個人のプレー判断の問題でもある。
判定論争についても明確に言えることがある。ダロトの警告問題は主審の初期対応の甘さが招いたものであり、ハケットの指摘は妥当だ。一方、クーニャへのタックル問題は映像からターコウスキーがボールに触れたと複数の専門家が認めており、PKなしの判断は支持できる。レフェリーへの批判が多くなるのは敗戦・勝ち点喪失の後であることを差し引いて考えれば、今節の最大の問題は判定ではなく試合終盤のユナイテッドの締め方だ。これは判定で誤魔化せる問題ではない。
今後の注目点
最も重要な注目点は、マンチェスター・ユナイテッドが次の試合でロスタイム失点という悪夢をどう乗り越えるかだ。勝ち点を落とし続ければ、上位争いから早々に脱落するリスクがある。特に終盤の守備管理については、次節での改善が不可欠だ。
また、ガルナチョの問題は元ユナイテッドファンにとっても無関係ではない。アストン・ビラで存在感を示せていない現状が続けば、今後のキャリアに大きな影を落とす。ビラがローン条件付き義務的買取を含む契約を結んでいるとされるだけに、シーズン序盤のパフォーマンス低迷はクラブ側にとっても頭痛の種だ。今後、エメリがガルナチョをスタメンに抜擢するかどうかが一つの試金石になるだろう。
さらに、今節の審判論争がPGMOL(プレミアリーグ審判組織)の公式な見解としてどのように整理されるかも注目だ。ダロトの初期警告見送り問題は、主審の基準の一貫性に対するリーグ全体の信頼にも関わる話であり、シーズンを通じて審判批判の火種となり得る。
情報源
- Four Everton vs Man United incidents reviewed as Premier League told of two mistakes – Manchester Evening News
- Alejandro Garnacho ‘completely disinterested’ as Man United flop sets alarm bells ringing – Manchester Evening News