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ブレントフォード vs トッテナム 戦術分析|開幕節、大型補強のスパーズに衝撃の洗礼

2026.08.28

試合の流れ

前半

2026-27シーズン開幕の舞台、Gtechコミュニティ・スタジアム。夏の移籍市場で総額約2億3700万ポンドを投じ「新時代」を標榜したトッテナムは、ブレントフォードの猛烈なプレッシングの前に開始直後から主導権を握られた。

12分、ブレントフォードのクラブ記録移籍金(3900万ポンド)で加入したばかりのマドゥ・サンガレ(Mamadou Sangaré)がボックス内への鋭いパスを通し、フリーで走り込んだキーン・ルイス=ポッターが冷静に流し込んで先制。トッテナムのディフェンスはサイドのマークを完全に外しており、守備組織の機能不全を早々に露呈した。

その後もスパーズはボール保持率こそ高かったものの(前後半合計58%)、前線への有効な手立てを欠いた。リシャルリソンはボールロストを繰り返し、サンドロ・トナーリは「100mポンド」の看板に似合わぬ低調なパフォーマンスで観客から皮肉な歓声を浴びた。

33分、ブレントフォードが追い打ち。マティアス・イェンセンのシュートがゴールキーパー、アントニン・キンスキーに弾かれたこぼれ球を、ビタリー・ヤネルトが無人のゴールに押し込んで2-0。前半のトッテナムはシュート0本という完封ぶりで、ビッグスペンダーがまさかの折り返しを迎えた。

後半

後半頭からロベルト・デ・ゼルビ監督は痛手のコナー・ギャラガー(前半34分に警告)とルーカス・ベルグバルを退け、マテウス・フェルナンデスとロドリゴ・ベンタンクールを同時投入。しかしこの交代策も流れを変えるには至らなかった。

49分、ミカエル・カヨデがサンガレのシュートのこぼれ球を押し込み3-0。直後の55分にはケビン・シャーデに倒されたベンタンクールのファウルでPKが与えられるという、スパーズにとっての追い討ちとも言える場面も。イゴール・チアゴがキッカーを務めたが、キンスキーとは逆のポストに当てて失敗し、傷口を広げる機会を逸した。

その後ブレントフォードは選手を入れ替えつつも危なげなく試合を締め、90分間で25本のシュートを放った圧倒的な内容で開幕戦を飾った。


戦術分析

ブレントフォードの狙いと実行

キース・アンドリュース監督のブレントフォードは4-4-2(ないし4-2-4気味の可変フォーメーション)を採用。最大の武器は相手陣地での連続的な高強度プレスだった。サンガレがアンカー前のスペースを支配し、ボール奪取後は素早い縦展開で相手の守備陣形が整う前にフィニッシュへ持ち込む設計が徹底されていた。

チアゴとシャーデの2トップが最終ラインにプレスをかけ、スパーズのビルドアップを高い位置で詰まらせる狙いが功を奏した。両サイドのルイス=ポッターとダンゴ・ウアタラが幅を取ることでスパーズのSBを押し込み、中央にスペースを創出。ヤネルトとイェンセンのダブルボランチは攻守の切り替えをコントロールし、試合全体のテンポを握り続けた。

トッテナムの狙いと実行

デ・ゼルビ監督が目指したであろうポゼッション主体のビルドアップは、開幕節からほとんど機能しなかった。アーチー・グレイが「緊急右SB」として起用されるなど布陣のバランスは脆弱で、センターバックのマルコス・セネシとヤン・パウル・ファン・ヘッケはチアゴの身体的圧力に終始圧倒された。

夏の目玉補強であるトナーリは中盤で存在感を示せず、ベルグバルは不用意なボールロストで2失点目を招いた。攻撃ではミキー・ムーアが孤立し、リシャルリソンも前半で意気消沈。ソン・フンミンが不在の中、前線で違いを作れる選手がおらず、守備時の陣形の乱れを自らが修正する力もチームに備わっていなかった。


ターニングポイント

① 12分のマーキングミスによる失点

キーン・ルイス=ポッターへのマークが完全に外れ、サンガレのラストパスを無人の状態で受けさせた場面は、トッテナムの守備組織の崩壊を象徴するシーンだった。最終ラインのコンパクトさの欠如と、サイドの対応を担うSBのポジショニングのズレが重なり、格安の移籍金で加入した選手に開幕弾を許した。

② ハーフタイムの二重交代も逆効果に

85mポンドのマテウス・フェルナンデスとベンタンクールを同時投入したにもかかわらず、後半開始わずか4分でカヨデに3点目を奪われた。むしろ交代直後の守備の乱れがブレントフォードに付け入る隙を与えた格好となり、高額補強の効果を開幕節で問われる皮肉な結果となった。


選手評価

マドゥ・サンガレ(ブレントフォード) ★★★★★

デビュー戦でボール奪取・組み立て・アシストをすべてこなした。3900万ポンドの移籍金を軽々と正当化する圧倒的な存在感で、BBCは評価8を与えた最高点の選手。

キーン・ルイス=ポッター(ブレントフォード)

12分の先制点を含め、左サイドで常にスパーズの右サイドを脅かした。決定力とポジショニングの両面で高い水準を発揮した。

ビタリー・ヤネルト(ブレントフォード)

2点目を押し込むゴール以外にも、守備時のカバーリングとトランジションの速さでチームを支えた。「ブレントフォードが頼り続けてきた安定したパフォーマンス」(BBC評)を開幕節から発揮。

サンドロ・トナーリ(トッテナム) ★★

1億ポンドの看板を背負いながら、試合を通じてほぼ無害。BBCの評価は4(最低クラス)で「深刻なデビュー」と酷評された。チームのプレス耐性の低さも相まって、単独でゲームを変えられなかった。

アントニン・キンスキー(トッテナム)

33分のイェンセンのシュートを正面で弾いてこぼれ球を与え、2失点目に直結した。配球にも不安定さが見え、開幕戦から正GKとして批判を浴びた。


この結果が意味するもの

約3億ポンドに迫る投資を続けながら、前節最終日に残留を確定させた昨季の悪夢が開幕節から甦った形のトッテナム。デ・ゼルビ監督は試合後「(チームとして)まだチームではない」と自ら認め、守備強化の緊急性を示唆した。一方のブレントフォードは昨季からの継続性と新戦力の融合が結実し、ヨーロッパフット争いへの本気度を示す圧勝スタートを切った。スパーズにとっては次節以降の立て直しが急務となるが、組織的な欠陥が残存する限り、高額補強の成果を論じる段階には至っていない。


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編集長 · 戦術担当