マンチェスター・ユナイテッドのオランダ人センターバック、マタイス・デ・リフトが長引く腰部(背中)の問題を解決するために手術を受け、2026年W杯への出場が絶望的となった。昨年11月を最後にピッチから遠ざかり続けた26歳にとって、手術は「残された唯一の選択肢」だった。来たる2026-27シーズンの序盤も欠場が見込まれる中、マイケル・キャリック監督率いるユナイテッドにとってセンターバックの戦力は看過できない課題となっている。
マタイス・デ・リフト:手術の経緯とW杯断念
状況の概要: 昨年11月30日のクリスタル・パレス戦(2-1勝利)を最後にプレーできていないデ・リフトは、約6か月間に及ぶ保存療法が実を結ばなかった末に手術を選択した。
長期離脱の経緯: 当初、前任監督のルベン・アモリムは「軽微な問題」と語り、ウェストハム戦(4日後)への復帰を示唆していた。しかし実際には復帰には至らず、クラブは手術回避の方針を繰り返し表明しながらも、カリントンのトレーニンングピッチでの単独ランニング再開(4月下旬)という一時の明るい兆しも好結果にはつながらなかった。(BBC Sport)
クラブの公式発表: ユナイテッドは「マタイス・デ・リフトは腰部の問題に対処するための手術を成功裏に終えた。リハビリ過程を懸命に続けた末、矯正的な処置が最善の行動であるという判断に至った」と声明を発表した。
本人のコメント: デ・リフトはInstagramで病院のベッドから親指を立てた写真を投稿し、「6か月間のすべての治療とハードワークの末、手術が残された唯一の選択肢だった。チームを助けられなかったことは残念だし、W杯を逃すことも明らかに悲しい。でも、ファンの前でプレーできる日に向け全力を尽くすことを楽しみにしている」と心境を語った。(Evening Standard)
W杯への影響: オランダは6月14日に日本と対戦してW杯を開幕させる予定だ。オランダ代表のロナルド・クーマン監督は5月25日にW杯スクワッドを発表する予定であり、デ・リフトの選出は不可能な状況だ。
復帰時期の見通し: クラブは「2026-27シーズンの初期段階」に復帰を見込むと発表しているが、これにはプレシーズン(7月18日のヘルシンキでのレクサム戦から開始)は含まれない。具体的な復帰時期は不明であり、8月か9月、あるいはそれ以降になる可能性もある。(BBC Sport)
プレシーズン最新情報:セスコとダーロウの状態も注視
ヘルシンキ遠征の状況: キャリック監督が率いるユナイテッドは7月18日のレクサム戦(ヘルシンキ)でプレシーズンを開幕させるが、デ・リフトはもちろん、ストライカーのベンジャミン・セスコと新加入GKのカール・ダーロウも25人の遠征メンバーには含まれていない。(BBC Sport)
セスコの状況: セスコは5月3日のリバプール戦での勝利を最後に欠場が続いており、シーズン終盤に脛の問題が再発した。マイケル・キャリック監督は「ベンはまだ100%ではない」と語っていた。ただし、クラブは「両選手とも2026-27シーズン開幕には完全にフィットした状態での参加を見込んでいる」と説明している。(The Evening Standard)
プレシーズン日程: ヘルシンキでのレクサム戦(7月18日)を皮切りに、トロンハイム(ローセンボルグ、7月24日)、ストックホルム(アトレティコ・マドリード、8月1日)、ヨーテボリ(パリ・サンジェルマン、8月8日)、ダブリン(リーズ、8月12日)、ヴロツワフ(ACミラン、8月15日)という6試合が組まれている。
戦術的考察
デ・リフトの長期離脱がマンチェスター・ユナイテッドの守備に与える影響は、単純な「センターバック1枚の欠如」では語り切れない深刻さがある。
キャリック監督が採用するシステムにおいて、デ・リフトのような左利きで高い空中戦能力と対人守備の強さを兼ね備えたセンターバックは、4バックでも3バックでも機能する汎用性の高いプロフィールを持つ。昨年11月までの今シーズン前半、彼はトップフライトで1分も欠場していなかった——それがいかに監督の信頼を得ていたかを物語る。
その穴を埋めるべく、プレシーズンの遠征メンバーにはミー、マグワイア、ヨロ、ショーといった選手が名を連ねている。しかし中でも懸念されるのは、マグワイアとヨロが共にセンターバックとして安定したパフォーマンスを維持できるかという点だ。さらにセスコも不在のため、守備だけでなく前線の構成もプレシーズン中は試行錯誤が続く。
デ・リフトが8月か9月に復帰できたとしても、6か月以上の実戦不足から本来のパフォーマンスに戻るまでには時間がかかる。背中の手術後のリハビリは特に慎重な段階的負荷管理が求められる。新シーズン開幕直後の数試合において、最終ラインの安定性をどう担保するかがキャリック監督の最優先課題だ。
数字で読む
- 離脱期間: 昨年11月30日のクリスタル・パレス戦を最後に欠場。2026年8月現在で8か月以上の長期離脱となっている
- 今シーズンの出場実績: 今シーズン前半は負傷前にトップフライトで1分も欠場せず(ソース記載通り)
- 年齢: 現在26歳。背中の手術後に完全復帰を果たした場合、今後何年もキャリアを維持できるポテンシャルは十分にある
- プレシーズン開幕: 7月18日、ユナイテッドはヘルシンキでレクサムと対戦。デ・リフトは不参加
- 新加入のアンドレイ・サントス: チェルシーから4,800万ポンドで加入したミッドフィルダーがプレシーズン遠征メンバーに名を連ねており、夏の補強の一端が見えてくる(BBC Sport)
- W杯スクワッド発表: オランダのクーマン監督は5月25日にW杯メンバーを発表予定であり、デ・リフトは選外確定となっている
編集部の見解
この件が示すのは、マンチェスター・ユナイテッドの医療・強化体制における構造的な問題だ。昨年11月に「軽微な問題」と診断された負傷が6か月以上の離脱と手術に至ったことは、初期評価の精度か、あるいはリハビリ管理のどこかに問題があったと見るべきだ。クラブが繰り返し「手術は考えていない」と表明し続けたことは、選手とサポーターに対して不必要に楽観的なメッセージを発し続けた結果になってしまった。
キャリック監督にとって、デ・リフトのシーズン開幕不参加は戦力面でのハンデであることは間違いない。しかし同時に、これはプレシーズンで若手や控え選手に出場機会を与え、センターバックのデプスを試す貴重な機会でもある。6試合のプレシーズンで複数の組み合わせを試し、最適な最終ラインのパートナーシップを構築することがキャリックの急務だ。
デ・リフト自身の立場から言えば、26歳という年齢は手術と適切なリハビリを経て完全復活できる十分な若さだ。しかしW杯という選手としてのキャリアにおいて最大級の舞台を失ったことは、計り知れない痛手である。クラブはその苦境に置かれた選手を全力でサポートすると約束したが、本当に問われるのはリハビリ中のケアの質と、復帰後に段階的に試合感覚を取り戻す環境を整えられるかどうかだ。
今後の注目点
直近のW杯への影響(6〜7月): オランダのW杯スクワッドはすでに発表されており、デ・リフトなしでオランダが6月14日の日本戦に臨む。守備の要を欠く中で、クーマン監督がどのセンターバックの組み合わせを選択するかは注目だ。
プレシーズンでの守備陣の布陣(7〜8月): 7月18日のレクサム戦から始まる6試合のプレシーズンで、マグワイア、ヨロを中心にどの組み合わせが安定感を示すかを見届けるべきだ。デ・リフトが「リハビリ継続のために遠征に帯同する可能性がある」とも報じられており(BBC Sport)、その状況も追いたい。
デ・リフトの復帰タイミング(8〜9月以降): クラブは「2026-27シーズンの初期段階」としているが、その具体的な時期は未定だ。8月のリーグ開幕戦に間に合うかどうかが最初の分岐点になる。背中の手術後のリカバリー状況次第では、9月以降にずれ込む可能性も十分ある。
補強動向(夏の移籍ウィンドウ): デ・リフト不在が長引くことを想定したセンターバックの補強交渉が加速するかどうかも重要なポイントだ。プレシーズンの結果とデ・リフトの回復状況によって、クラブの補強優先順位が変化する可能性がある。
情報源
- Matthijs de Ligt: Man Utd’s Netherlands defender to miss World Cup after back surgery – BBC Sport
- Netherlands’ Matthijs De Ligt ruled out of World Cup after back surgery – ESPN
- Manchester United star posts picture from hospital bed as World Cup hopes dashed – Evening Standard
- Santos travelling but Man Utd play down Sesko and Darlow fitness concerns – BBC Sport
- Manchester United injury update: Benjamin Sesko and Matthijs de Ligt latest news and return dates – Evening Standard
