マンチェスター・ユナイテッドは今夏すでに£8300万を投じて中盤を刷新した。しかし、マヌエル・ウガルテの長期離脱とカゼミーロの退団により、3枚目のボランチ補強を求める声はやまない。そんな議論の渦中で浮上した「意外な解答」が、クラブ内にすでに存在するメイソン・マウントだ。プレシーズン開幕わずか2戦でその可能性を示した27歳の軌跡と、今季にかける野望を深掘りする。
マンチェスター・ユナイテッドの中盤再建——マウントという「社内調達」解

TheSportsDB / Mason Mount
見どころ: アンドレイ・サントスとユーリ・ティーレマンスという2名の大型補強を経たユナイテッドが、3枚目の中盤候補としてクラブ外へ目を向ける中、マイケル・キャリック監督がプレシーズンで発見した答えは内部にあった。
負傷・出場停止情報: マヌエル・ウガルテが膝の負傷により数カ月の離脱を余儀なくされており、カゼミーロは6月末の契約満了をもってクラブを去った。さらにベンジャミン・セスコがすねの問題から回復中であり、フォワードの補強も急務となっている。
注目の対決: マウントとサントスの中盤コンビが、どこまで機能するかが今後の最大の焦点だ。
ユナイテッドはこの夏、チェルシーからアンドレイ・サントスを、アストン・ビラからユーリ・ティーレマンスをそれぞれ獲得し、合計£8300万を中盤改革に投じた。しかし中盤3枚目を巡っては、ボーンマスのアレックス・スコットやタイラー・アダムス、ローマのマヌ・コネの名が取り沙汰されてきた。さらにレアル・マドリードがオレリアン・チュアメニを手放す可能性も浮上しているが、彼の推定給与と移籍金はユナイテッドの予算管理方針と相容れないとされる。(BBC Sport)
プレシーズン2試合——ヘルシンキでのレクサム戦とトロンハイムでのローゼンボルク戦——でマウントが披露したパフォーマンスは、外部補強不要論を補強するに十分だった。サントスがディフェンシブな位置でボールを引き出し、パスコースを瞬時に選択する役割を担うことで、マウントはより前方のスペースを使い自由に動ける。本人も「アンドレは少し守備的なので、僕が前に出ていける。守備でも僕たちは両方アグレッシブにボールを奪いにいきたいし、本当に楽しんでいる」と語っており、コンビとしての手応えを口にしている。(BBC Sport)
また、マウントはローゼンボルク戦でキャプテンマークを巻くなど、今夏のプレシーズンでは若手選手のメンターとしてのリーダーシップも発揮。シニアプロとしての責任感が際立っている。
プレミアリーグ優勝を本気で語るマウント
前シーズン、マウントはリーグ34試合中20試合に出場したが、先発は10試合にとどまり、12月26日のニューカッスル戦を最後に先発から遠ざかった経緯がある。ルベン・アモリムのシステムではナンバー10の役割が適役と思われていたが、キャリック体制ではポジションが定まりにくい状況だった。
しかしマウントはいま、前を向いている。「プレミアリーグを優勝したい。できるか?できると思う。マン・シティ、リバプール、チェルシー、アーセナルといった強豪相手に勝てることはすでに示してきた。あとはチャンピオンズリーグでも、リーグでも、より安定してそれを続けるだけだ」と断言した。(BBC Sport)
今季の見通しについても「3年目になり、少し年も重ねた。経験も増えた。このクラブをあるべき場所に戻すための一員でいられることは特別なことだ」と語り、FAカップ制覇に続くプレミアリーグ制覇を具体的な目標として掲げている。
戦術的考察
マウントとサントスのコンビが機能する理由は、両者の役割分担の明確さにある。サントスは深い位置でボールを受け、縦パスのパスコースを常に確保しながら相手にプレッシャーをかける「アンカー的」な機能を担う。これによってマウントはより高い位置に留まり、持ち前のボール技術と動き出しでユナイテッドを前進させることができる。
注目すべきはマウントのポジション適応能力だ。本来はアタッキングミッドフィールダーとして評価されてきた選手だが、本人が「若い頃から長年プレーしてきたポジション」と語るように、セントラルミッドフィールドに対する理解は深い。さらにソースにもある通り、タックルを恐れない守備貢献もマウントの特性であり、単なる攻撃的な負担にはならない。
ティーレマンスとの3枚組を想定すれば、サントス(アンカー)+ティーレマンス(ボックス・トゥ・ボックス)+マウント(インサイドMF)という組み合わせはバランスが取れている。外部から高コストの3枚目を獲得するよりも、すでにチームに適応したマウントを起用する方が戦術的な浸透スピードの観点からも合理的だ。
数字で読む
- マウントの今季出場数:34試合中20試合、先発はわずか10試合
- 通算出場数:ユナイテッドで72試合出場、7ゴール(2023年に£5500万でチェルシーから加入)
- ユナイテッドの今夏中盤補強費:アンドレイ・サントス+ユーリ・ティーレマンスで合計£8300万
- マウントのイングランド代表キャップ:36(最後のキャップは4年前)
- プレシーズン直近2試合でのキャリック体制における中盤コンビ試行回数:2(対レクサム、対ローゼンボルク)
これらの数字が示すのは、すでに£5500万を投じた選手を「活用」することで、追加の大型投資なしに中盤の課題を解決できる可能性だ。チュアメニ獲得のような高コスト外部補強と比べれば、財務的インパクトは雲泥の差となる。
編集部の見解
マウントは今夏のユナイテッドにとって、最もコストパフォーマンスの高い「補強」だ。3年目を迎えた今、怪我に苦しんだ1年目・2年目を経てようやく本来の実力を示しつつある。サントスとのコンビはプレシーズン段階とはいえ明確な機能美を見せており、これをレギュラーシーズンで継続できれば、外部から別の中盤を獲得する必要性は大幅に下がる。
キャリック監督がマウントの先発起用を増やすべきだ。前指揮官体制で先発がわずか10試合にとどまった選手を、今度こそ中心に据える決断をするべき時が来た。優勝を目標として口にする選手を、ベンチに眠らせておく余裕はユナイテッドにはない。プレミアリーグ制覇という野心と、マウントをスタメンで起用するという実用性は、まったく矛盾しない。
今後の注目点
まず直近の注目はプレシーズンの残り試合だ。マウントとサントスのコンビがさらに連携を深めるかどうか、そしてティーレマンスを加えた中盤3枚の組み合わせをキャリック監督がどう調整するかが鍵となる。移籍市場については、アレックス・スコット、タイラー・アダムス、マヌ・コネ、そしてチュアメニの動向が引き続き焦点となるが、マウントの好調次第では3枚目補強の優先度が下がる可能性がある。セスコの復帰時期も重要で、フォワード補強と並行してどの選手が優先されるかは夏のウィンドウが閉まる前に結論が出るはずだ。リーグ開幕後の最初の数試合でマウントが先発出場するか否かが、キャリック監督の「内部解決」判断を示す最初のシグナルとなる。
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