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オリバー・グラスナーがノッティンガム・フォレスト新監督に就任——クリスタル・パレスとの因縁も背景に

2026.07.20

2026年7月初旬、プレミアリーグに大きな話題をもたらしたのが、オリバー・グラスナーのノッティンガム・フォレスト監督就任だ。クリスタル・パレスでのFA杯制覇・カンファレンスリーグ優勝という輝かしいレガシーを残したオーストリア人指揮官が、パレスのサポーターにとって因縁深きフォレストへと移った。プレシーズンを前に動いたこの監督交代劇は、単なる人事ニュースにとどまらず、プレミアリーグ全体の勢力図にも影響を及ぼす可能性を秘めている。

ノッティンガム・フォレスト監督交代劇

Glasner
Glasner
TheSportsDB / Oliver Glasner

経緯: ヴィトール・ペレイラが2026年7月1日に電撃解任され、オリバー・グラスナーの就任がほぼ確定した

フォレストはペレイラとの契約にあったブレーク条項を行使し、同監督との契約を解消した。BBCスポーツによれば、ペレイラは火曜日の深夜に解任通告を受け、本人は「完全な驚き」と述べた。フィリペ・アルメイダ、ルイス・ミゲルら5名のスタッフも同時に退団となった(BBC Sport)。

ペレイラは今年2月にショーン・ダイシュの後任としてフォレストの4人目の監督に就任。プレミアリーグ16位でチームを残留させ、ヨーロッパリーグのベスト4まで導くという実績を残した。しかし、その功績もクラブ首脳陣の決断を覆すには至らなかった。

後任として指名されたグラスナー(51歳)は、クリスタル・パレスでの契約満了後フリーの状態にあり、BBCスポーツは「契約締結は事実上確定しており、残るは手続きのみ」と報じた。フォレストはグラスナーへの接触を今夏早々から開始していたとされ、移行はスムーズに進んでいる(BBC Sport)。

クリスタル・パレスとの因縁

グラスナーの就任が単なる監督交代を超えた意味を持つのは、フォレストとパレスの間に深い軋轢があるためだ。

事の発端は2025年5月、パレスがマンチェスター・シティを破ってFA杯を制覇したことに遡る。初めての主要タイトルを手にし、ユーロッパリーグ出場権も獲得した喜びも束の間、UEFAはパレスの当時の共同オーナー、ジョン・テクスターが同じくヨーロッパリーグ出場権を持つフランスのリヨンにも資本参加していたことを問題視。マルチクラブ所有規定への抵触を認定し、パレスをヨーロッパリーグからカンファレンスリーグへ格下げした(BBC Sport)。

このプロセスでフォレストはUEFAに対し、テクスターの所有構造について「懸念を示し、明確化を求める文書」を送付。パレスが降格すれば自クラブがヨーロッパリーグ出場枠を得られる状況だったため、パレスのサポーターにとってフォレストは「告発者」に映った。パレスのスティーブ・パリッシュ会長は「欧州サッカー史上最大の不正の一つ」と断言するほどの怒りを示した。

テクスターが株式を売却し、パレスはCASに提訴したが、最終的にカンファレンスリーグへの降格は覆らなかった。グラスナーはそのカンファレンスリーグでパレスを優勝に導いたが、今度はヨーロッパリーグ出場権を手にしたフォレストの指揮官となったのだ(BBC Sport)。

グラスナーのパレスでの功績

グラスナーのパレスでの2年半は、クラブ史上最も輝かしい時代として語り継がれる。FA杯制覇、クラブ史上初の欧州舞台進出、コミュニティ・シールド制覇、そしてカンファレンスリーグ優勝と、3つのタイトルを手土産にセルハースト・パークを去った。最終節にはサポーターから盛大なセレモニーで送り出されたが、フォレスト行きが明らかになると「レガシー崩壊」「信じられない」「ソープオペラ」といった言葉がソーシャルメディアを埋め尽くした(BBC Sport)。

戦術的考察

グラスナーが率いるフォレストで注目すべきは、彼の戦術的アプローチがフォレストの既存スカッドにどう嚙み合うかという点だ。パレスでグラスナーは強度の高いプレッシングと縦に速い攻撃を基本軸とし、守備ブロックの整備と素早いトランジションを組み合わせた柔軟なシステムを採用した。特にFA杯制覇やカンファレンスリーグ制覇では、守備の安定と攻撃のダイナミズムを高いレベルで両立させた。

フォレストはペレイラ体制でヨーロッパリーグのベスト4という結果を出しており、選手個々の能力は高い。しかし5番目の監督を迎えることになる点は看過できない。12ヵ月以内に監督が5人交代するという状況は、選手のメンタルとチームとしての戦術的熟成に大きな影響を及ぼす。グラスナーには短期間で自分の哲学をチームに浸透させる手腕が求められる。パレスでも混乱した状況から出発し、結果を出した実績があるだけに、その適応力は評価されるべきだが、毎回リセットが許されるわけではない。プレシーズンの活用が例年以上に重要になる。

数字で読む

フォレストの今季の監督交代ペースを数字で整理すると、グラスナーは12ヵ月以内での5人目の監督となる。ペレイラ政権ではプレミアリーグ16位での残留とヨーロッパリーグ準決勝進出という二つの成果を残した。一方グラスナーのパレスでの実績は3タイトルという明確な数字で示されており、この実績がフォレストのフロントの決断を後押しした。

またパレスとの因縁においては、クラブがUEFA提訴過程でパレスに取って代わりヨーロッパリーグ出場権を得るという「漁夫の利」を得た構図もあり、フォレストが今季どのような立ち位置でプレミアリーグに臨むかは注目される。なおフォレストはプレシーズンにブラックバーン、ビトーリア・ギマランイス、スポルティング・リスボン、バイエル・レバークーゼン、バルセロナ、ウディネーゼとの対戦を予定していた(BBC Sport)。グラスナー体制でこれらの強豪相手にどんなサッカーを見せるかが、プレシーズンの最大の注目点となる。

編集部の見解

グラスナーのフォレスト就任は、クリスタル・パレスファンにとって感情的な痛みを伴う決断であることは間違いない。しかし経営判断として見れば、グラスナーは現在のフリー市場において最高水準の実績を持つ監督の一人であり、フォレストが彼を引き抜いたのは当然の帰結だ。パレスとの因縁を理由に就任を断ることは、サッカーの現実においてありえない。

問題はむしろフォレストの組織的な継続性にある。短期間で監督を次々と交代させるクラブ文化は、選手の安心感や戦術的成熟を根本から妨げる。グラスナーがいくら優秀な指揮官であっても、毎シーズン違う哲学を押しつけられてきた選手たちが即座に対応できるとは限らない。フォレストのオーナーシップは、今度こそ指揮官に長期的信頼を与えるべきだ。グラスナーが結果を出すには最低でも2シーズンの猶予が必要であり、それを保証できなければ同じ失敗を繰り返すことになる。

今後の注目点

最大の焦点はプレシーズンでのグラスナー流サッカーの浸透度だ。バルセロナやバイエル・レバークーゼンという強豪との対戦は、戦術的な試金石となる。特にフォレストのプレッシング強度と守備組織がどう変わるかを見極めたい。

移籍市場においても動きが予想される。グラスナーはパレスで自分の戦術に合った選手を積極的に活用する手腕を発揮しており、フォレストでも新たな補強要求を出す可能性が高い。クラブが監督の意向に沿った補強を迅速に行えるかどうかが、今後の成否を左右する。

さらにパレスとの直接対決となるリーグ戦での一戦は、シーズン最大の注目マッチの一つとなるだろう。グラスナーがかつて率いたクラブと、因縁深き相手として相まみえるその日に向け、両クラブのファンの感情は今から高ぶっている。2026-27シーズンのフォレストが欧州の舞台でどこまで戦えるか——その答えが出るのはまだ先だが、プレシーズンの動向から目を離せない。


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編集部 Editorial

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編集長 · 戦術担当