2026年FIFAワールドカップ(アメリカ・カナダ・メキシコ共催)が6月11日に開幕し、大会は7月19日まで続く。史上初めて48カ国が参加するこの大会では、全チームのスカッドがFIFAに公式登録済みだ。各国から計1,248名の選手が選出され、グループリーグから熾烈な戦いが展開されている。プレミアリーグファンにとっては、主要クラブの選手たちがどの国旗を背負ってピッチに立つのかが最大の注目点となる。本稿では、特にプレミアリーグに縁のある国々のスカッドを中心に、2026年W杯の主要情報を整理する。(BBC Sport)
イングランド代表(グループL):主力3名の欠場が招いた試練

Ronnie Macdonald from Chelmsford and Largs, United Kingdom / Wikimedia Commons (CC BY 2.0)
見どころ: 優勝候補の一角として臨む今大会だが、スカッドには衝撃的な欠場者が並ぶ。
欠場情報: フィル・フォーデン、コール・パーマー、トレント・アレクサンダー=アーノルドの3名がスカッドから外れた。(BBC Sport)
グループの対戦相手: クロアチア、ガーナ、パナマ(グループL)
フォーデン、パーマー、トレント・アレクサンダー=アーノルドという、プレミアリーグで圧倒的な存在感を放った3名が揃ってW杯を欠場するという事態は、イングランドにとって痛恨の極みだ。一方でグループL所属のクロアチアは、40歳のルカ・モドリッチをスカッドに招集している。(BBC Sport)
ブラジル代表(グループC):ネイマール復帰で注目集まる
見どころ: 長期離脱を経て、ネイマールがブラジル代表の26名に名を連ねた。
スカッド注目選手: ビニシウス・ジュニオール・ジュニオール、ラファエル・レアン(マテウス・クーニャも選出)、カゼミーロ、アリソン・ベッカーなど豪華なメンバーが揃う。
ブラジルのスカッドは、GKアリソン、DFマルキーニョス、ガブリエウ・マガリャンエス、MFカゼミーロ、ブルーノ・ギマランイス、ファビーニョ、ルーカス・パケタ、FWビニシウス・ジュニオール・ジュニオール、エンドリック、マテウス・クーニャ、ネイマール、ガブリエウ・マルティネッリ、ラヤン、イゴール・チアゴらで構成されている。(The Standard)
プレミアリーグとの接点が色濃いスカッドだ。アリソン(リバプール)、ガブリエウ・マガリャンエス(アーセナル)、カゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)、ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル)、マテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)と、英国在籍選手が多数含まれる。ネイマールの復帰はチームの話題性を一段と高めるが、実際のパフォーマンスへの影響については今後の試合が証明することになる。
スペイン代表(グループH):ラミン・ヤマル負傷もスカッドに帯同、レアル選手は不在
見どころ: 現王者スペインにおいて、負傷を抱えたラミン・ヤマルがスカッドに含まれた一方で、レアル・マドリードの選手が一人も選ばれていないという異例の事態が生じている。(BBC Sport)
グループの対戦相手: ウルグアイ、ケープヴェルデ、サウジアラビア(グループH)
フランス代表(グループI):ムバッペ&デンベレが牽引
スカッド: キリアン・ムバッペとウスマン・デンベレがフランス代表を牽引する。(BBC Sport)
Transfermarktのデータによれば、フランス代表の総市場価値は約15億2000万ユーロ(平均約5858万ユーロ/選手)でW杯参加国中トップ。イングランドが約13億6000万ユーロ(平均約5224万ユーロ)で2位、スペインが約12億2000万ユーロ(平均約4703万ユーロ)で3位と続く。(Transfermarkt)
その他プレミアリーグ関連の注目スカッド
ノルウェー代表(グループI): エルリング・ハーランドとマルティン・マルティン・ウーデゴールがチームを牽引。(BBC Sport)
スウェーデン代表(グループF): アレクサンダー・イサクとビクトル・ジロウ(ジルケス)がスカッドに選出された。(BBC Sport)
韓国代表(グループA): トッテナムのソン・フンミンが4度目のW杯に挑む。(The Standard)
コンゴ民主共和国(グループK): プレミアリーグ勢ではアーロン・ワン=ビサカとヨアン・ウィサが選出。(BBC Sport)
エジプト代表(グループG): モハメド・モハメド・サラーとオマル・マルムーシュがスカッドに入った。(BBC Sport)
アルゼンチン代表(グループJ): リオネル・メッシが6度目のW杯出場。40歳のロドリゴ・デ・パウルと共に世代の幅を感じさせるスカッドとなった。(BBC Sport)
ポルトガル代表(グループK): クリスティアーノ・ロナウドが史上最多となる6度目のW杯出場を果たす。(BBC Sport)
アルジェリア代表(グループJ): ジネディーヌ・ジダンの名が召集リストに登場し話題を集めた。(BBC Sport)
戦術的考察
今大会で最も戦術的に興味深い側面の一つが、イングランドのスカッド構成だ。フォーデン(マンチェスター・シティ)、コール・パーマー(チェルシー)、トレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)という「現代型サッカー」を象徴する選手3名が揃って不在となったことで、イングランドは攻撃の創造性と中盤の流動性において相当な制約を受けることになる。フォーデンとパーマーはポジション間を自由に行き来しながら局面を打開するタイプであり、この2枚がいないことで「8番」「10番」的役割を担える選手が限られる。
一方ブラジルは、ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)が守備的MFの核として機能することが予想される。ニューカッスルで見せた強度の高い守備と縦への推進力は、ビニシウス・ジュニオール・ジュニオールやネイマールといった前線の才能を活かすための「土台」として不可欠だ。ただしネイマールの復帰はコンディション面での不確実性を伴っており、どこまでプレー時間が与えられるかは監督の判断次第となる。
スペインに関しては、レアル・マドリード選手全員の不在という異例の状況が戦術的布陣にも影響する。ラミン・ヤマルが負傷を抱えながら帯同していることも含め、スカッドの最適ローテーションをどう組むかがスペインの試練となっている。
数字で読む
Transfermarktが公表した参加48カ国の市場価値データは、大会の勢力図を数字で如実に示している。
| 国 | 総市場価値 | 平均市場価値 |
|—|—|—|
| フランス | 約15億2000万ユーロ | 約5858万ユーロ |
| イングランド | 約13億6000万ユーロ | 約5224万ユーロ |
| スペイン | 約12億2000万ユーロ | 約4703万ユーロ |
| ポルトガル | 約10億1000万ユーロ | 約3867万ユーロ |
| ドイツ | 約9億4700万ユーロ | 約3642万ユーロ |
| ブラジル | 約9億2820万ユーロ | 約3570万ユーロ |
特筆すべきは、イングランドが市場価値ランキング2位であるにもかかわらず、主力3名を欠く状態で大会に臨んでいることだ。数字上の「戦力」と実際に使える「スカッドの深さ」が必ずしも一致しないという現実が浮き彫りになっている。またアルゼンチン(約8億750万ユーロ)がブラジルより下位に位置していることも印象的で、メッシ依存から脱却できるかが問われている。
編集部の見解
今大会を通じて最も重要なプレミアリーグへの視点は、イングランド代表の「不在者リスト」が来シーズンのプレミアリーグ補強に与える影響だ。フォーデン、パーマー、トレント・アレクサンダー=アーノルドという3名は、プレミアリーグにおけるそれぞれのクラブの中核選手であり、W杯による消耗がない分、来シーズン序盤の状態が非常に気になる。W杯に参加した選手たちが7月中旬まで消耗戦を続ける中、この3名はリフレッシュした状態でプレシーズンに臨める可能性がある——これは皮肉にも「欠場」がもたらすメリットとなりうる。
ブラジル代表においては、ガブリエウ・マガリャンエス、カゼミーロ、ブルーノ・ギマランイス、マテウス・クーニャ、ガブリエウ・マルティネッリといったプレミアリーグ組の活躍が、それぞれのクラブの来季補強判断にも直結する。ブラジルが深いラウンドに進めば進むほど、これらの選手が「ワールドクラス」として改めて証明する機会となり、移籍市場での評価額上昇につながるだろう。
また48カ国体制となった今大会は、スコットランド(グループC)のような中堅国も参加できるフォーマットへの変化を象徴する。このことは長期的に見てW杯の競争価値を薄める懸念もあるが、短期的にはサッカーが世界的に普及する好機でもある。プレミアリーグとしては、より多くの国からトップ選手が発掘されてくることで、将来的な補強源が広がるという恩恵もある。今後のW杯における中小国の躍進に注目したい。
今後の注目点
進行中の試合日程: 大会は6月11日に開幕し、7月19日の決勝まで続く。今まさにグループリーグが進行中だ。ESPNのスコアボードによれば、カナダが南アフリカを1-0で下し、日本対ブラジル、ドイツ対パラグアイ、オランダ対モロッコなどが続く。(ESPN)
プレミアリーグ選手の動向: 各グループの最終節までに、ブルーノ・ギマランイス(ブラジル)、ソン・フンミン(韓国)、エルリング・ハーランド(ノルウェー)、マルティン・マルティン・ウーデゴール(ノルウェー)、モハメド・モハメド・サラー(エジプト)といったプレミアリーグの顔役たちが決勝トーナメント進出をかけた戦いを繰り広げる。ここでの活躍が、各クラブの2026-27シーズンに向けた交渉力にも影響する。
来シーズンのプレミアリーグへの影響: 決勝トーナメントに勝ち進む国が増えるほど、所属クラブへの選手の合流が遅れる。過去のW杯同様、大会終了後すぐのプレシーズンでは、W杯参加選手とそうでない選手の間で「準備度」に大きな差が生じることになる。マイケル・キャリック率いるマンチェスター・ユナイテッドやロベルト・デ・ゼルビ率いるトッテナムなど、各クラブがいかに選手を管理しプレシーズンに臨むかが、2026-27シーズン序盤の成績を左右する重要な鍵となる。
情報源
- World Cup 2026: Squad lists for all 48 teams – ESPN
- World Cup 2026 Power Rankings after two games – ESPN
- World Cup 2026: Every confirmed squad for summer tournament – The Standard
- 2026 World Cup: final confirmed squad lists and squad numbers for all 48 nations – Football365
- World Cup 2026: guide to all 1,248 players – The Guardian
- World Cup 2026: All 48 squads confirmed – BBC Sport
- World Cup 2026 – Participating teams – Transfermarkt