マイケル・キャリック監督率いるマンチェスター・ユナイテッドが、今季のプレミアリーグで厳しい滑り出しを強いられている。10人のマンチェスター・シティに敗北し、続くブライトンとのカラバオカップ戦では2-0のリードを守り切れず3-2で逆転負け——オールド・トラッフォードで2点リードから逆転されたのは実に50年以上ぶりという屈辱的な記録も生まれた。今節後に訪れる3週間の国際Aマッチ期間は、ユナイテッドにとってリセットの機会であると同時に、個々の選手が自らに問い直す時間でもある。
ブライトン戦の衝撃的敗戦——50年超の記録崩壊
見どころ: 2-0から逆転されるという歴史的な失態
試合状況: 今季のホーム2連敗
注目の対決: キャリック采配と選手個々のパフォーマンスの乖離
カラバオカップ3回戦のブライトン戦では、ユナイテッドが前半に2点を先行しながら最終的に2-3で敗れた。オールド・トラッフォードで2点リードを奪いながら敗戦したのは、サー・アレックス・ファーガソンがセント・ミレンの監督だった時代以来のことで、その歴史的文脈がいかにこの敗戦の重みを物語るかが分かる (BBC Sport)。
試合後、キャリック監督は「プレッシャーは感じていない。どちらでも気にしない。私が気にするのは試合に勝つことだ」と強気なコメントを残した。しかしサポーターの反応は厳しく、試合後のラップ・オブ・アプリシエーションの最中、多くのファンがスタンドを後にした。
唯一の明るい材料は、シェイ・レイシーが今季初の先発出場で8分に得点したことだ。ユナイテッドで10代の選手が初先発でゴールを記録したのはマーカス・ラッシュフォード以来という快挙だが、周囲の8人が変更されたこの試合で守備は機能せず、チームとしての課題を覆い隠すには至らなかった (BBC Sport)。
チャンピオンズリーグ復帰戦——サバフFK戦で見えたものとは
見どころ: 1003日ぶりのチャンピオンズリーグ舞台への帰還
得点者: マテウス・クーニャ、ブルーノ・フェルナンデス、ベンヤミン・セシュコ、リサンドロ・マルティネス
注目の対決: ルーク・ショー不在時の左サイドバック問題
ユナイテッドは1003日ぶりとなるチャンピオンズリーグで、アゼルバイジャン王者のサバフFKを4-0で下した。クーニャが先制点を挙げ、フェルナンデスとセシュコが前半のうちに追加点、後半にはリサンドロ・マルティネスが仕上げた (ESPN)。
しかし内容的には、ヨーロッパの強豪との対戦を想定するには不十分な内容だった。注目すべきは左サイドバックの問題だ。ルーク・ショーが欠場する中、パトリック・ドルグが左サイドバックとして先発し、クーニャの先制点のアシストとなるクロスを供給した。国際Aマッチ期間中にショーが復帰できるかが、チームの左側の安定に直結する (ESPN)。
フラム戦前に突きつけられた課題——キャリックが責任を受け入れる
見どころ: 国際Aマッチ期間前の最後のリーグ戦となるフラム戦(クレイブン・コテージ)
負傷・欠場情報: ルーク・ショーが3試合欠場中。カルロス・バレバは国際Aマッチ期間明けまで復帰困難
注目の対決: ユナイテッドの今季の行方を占う一戦
BBCスポーツのシモン・ストーンの分析によれば、ユナイテッドの上層部はキャリック監督への信頼を失っていない。今季5月に2年契約を与えた直後であり、クラブとして方針を急転換することは考えにくい (BBC Sport)。
問題はむしろ選手サイドにある。マテウス・クーニャやディオゴ・ダロットを含む複数の選手が、昨季の水準を大幅に下回るパフォーマンスにとどまっている。今夏加入したアンドレイ・サントスは£4800万の移籍金にもかかわらず、いまだクラブへの適応途上にある。ユーリ・ティーレマンスも加入後まだ本来の形を見せられていない (BBC Sport)。
マーカス・ラッシュフォードは18カ月ぶりの復帰後に躍動感を見せているが、まだリーグ戦でのゴールはない。フラム戦は、国際Aマッチ期間前の最後のプレミアリーグで、ユナイテッドはクレイブン・コテージでの好成績という実績を持っている。勝利すれば空気は一変し、「困難だが致命的ではない」滑り出しとして再評価される余地がある (BBC Sport)。
戦術的考察
現在のユナイテッドが抱える最大の戦術的問題は「左サイドバック不在」と「新戦力の不統合」という二重苦だ。ルーク・ショーの負傷は左サイドのバランスを根本から崩しており、パトリック・ドルグとヌサイル・マズラウィという二人の選手はどちらも本職ではないポジションをカバーしている状態にある。サバフFK戦でドルグが左サイドバックとして機能したのは相手のレベルが低かったからであり、プレミアリーグの強度でこの問題が表面化するのは時間の問題だ。
また、今夏加入したサントスとティーレマンスの組み合わせは中盤の「コンビネーション不足」を露呈している。二人がそれぞれ前任のクラブで発揮していた役割は、ユナイテッドの現在のシステムで同時に生かされていない。特にサントスはボールを前へ運ぶ縦への推進力が持ち味だが、周囲との関係性がまだ構築されていない段階では効果が半減する。バレバが復帰した暁には中盤の骨格が安定するはずだが、それまでの期間をどう乗り切るかがキャリック采配の真価を問う試練となる。
数字で読む
ソースから確認できる今季ユナイテッドの主な成績:
- プレミアリーグ: 2勝3敗(今季ホームで2連敗)
- チャンピオンズリーグ: 1勝(サバフFK戦 4-0)
- チャンピオンズリーグ復帰: 前回出場から1003日ぶり
- ブライトン戦の歴史的記録: 2点リードから逆転負けはオールド・トラッフォードで50年超ぶり
- レイシーの記録: 今季初先発で得点した10代選手はマーカス・ラッシュフォード以来
- バレバの移籍金: £7000万(今季最高額の補強)
- サントスの移籍金: £4800万
キャリック就任後(暫定時代含む)の17試合では達成できていた「負け越し回避」が、今季だけですでに崩れているのが現状の重さを示している。£7000万の大型補強バレバが不在という事情を差し引いても、主力選手が軒並み昨季水準を下回っているという事実は数字ではなく試合内容として明確に表れている。
編集部の見解
キャリック監督の「プレッシャーは感じていない」という発言は、自分自身に言い聞かせているように聞こえる。3年契約でなく2年契約という点も、クラブが完全な信頼を与えているとは言い切れない証左だ。クラブの上層部が現時点で監督交代を考えていないのは事実だとしても、それは「信頼」よりも「選択肢の少なさ」に起因している部分が大きい。
問題の本質は監督ではなく選手にある。これはキャリック自身も認めており、BBCも同様の見立てをしている。しかし、選手のパフォーマンスを引き出すのが監督の仕事であり、「選手が悪い」で責任を転嫁するだけでは解決にならない。フラム戦の結果が今季の行方を占う分岐点になる。勝てば国際Aマッチ期間を前向きに過ごせるが、敗れた場合、元チームメイトである元選手たちからの批判が噴出し、外部の圧力は格段に増す。キャリックがその圧力に「気にしない」と言い切れる状況は長くは続かない。今が最も重要な局面だ。
今後の注目点
最も直近の注目点はフラム戦だ。クレイブン・コテージでの勝利という実績がユナイテッドにはあるが、今季のチーム状態を考えると楽観はできない。この試合の結果次第で、3週間の国際Aマッチ期間がポジティブなリセットになるか、それとも外部からの批判が高まる「停滞期」になるかが分かれる。
国際Aマッチ期間中には、ルーク・ショーの負傷回復状況が最大の焦点になる。彼が戻れば左サイドバックの穴が埋まり、ドルグを本来のウイングに戻すことができる。また、£7000万で加入したカルロス・バレバの復帰時期も同期間中に見通しが立つかもしれない。バレバが加わることで中盤のクオリティは一段階上がるはずで、今の閉塞感を打破する可能性を秘めている。さらに、サントスとティーレマンスがこの期間中に自国代表で自信を取り戻し、クラブに戻った時に本来のパフォーマンスを発揮できるかも重要な観点だ。国際Aマッチ明けの一発目の試合で誰を、どの配置で使うか——そこにキャリック采配の本音が透けて見えるだろう。
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