チェルシーからマンチェスター・シティへと移籍したエンツォ・フェルナンデスが、今季のプレミアリーグで急速に存在感を高めている。サンダーランド戦での初ゴールで文字通りファンの心をつかみ、スタジアムには「エンツォ、エンツォ」のチャントが響き渡った。移籍当初こそ「チェルシー騒動」の後遺症が懸念されたが、今や彼はエティハドの新たな中心として機能しつつある。この一戦が示すのは、単なる個の輝きではなく、シティの中盤再建における戦略的な選択の正しさだ。
マンチェスター・シティ vs サンダーランド――8ゴールの乱打戦

Oscar0123 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
見どころ: 首位を走るシティがホームでサンダーランドと激突。エンツォ・フェルナンデスの初ゴールを含む5得点で、プレミアリーグ首位をさらに固めた試合。
試合経過: マンチェスター・シティがサンダーランドを5-3で下し、プレミアリーグ首位を3ポイント差に広げた。前半だけでシティが3度先行する展開となったが、サンダーランドも粘り強く追いすがり、ブライアン・ブロッベイが個人でハットトリックを達成するという大仕事をやってのけた。しかし、最終的にエルリング・ハーランドが終盤に決定的な5点目を挙げ、シティが逃げ切った。(BBC Sport)
エンツォの初ゴール: エンツォ・フェルナンデスが直接フリーキックを鮮やかにカール。サンダーランドのGKロビン・ロエフスがニアポストを破られ、先制のきっかけとなった。スタジアムに「エンツォ、エンツォ」のチャントが生まれるほど、ファンの心をわしづかみにした一発だった。(BBC Sport)
その他の得点者: アントワーヌ・セメニョが今季初ゴールを含む2得点を挙げ、BBC評価で9点という驚異的な採点を受けた。ライアン・シェルキも前半に技ありのゴールを決め、ハーランドは今節まで唯一ゴールを決めていなかったサンダーランド戦で”記録更新”を果たした。(Manchester Evening News)
防御面の課題: シティのディフェンス陣は攻撃陣の輝きとは対照的に苦戦。ルーベン・ディアスはブロッベイとのデュエルでほぼ毎回後手を踏み、MENの採点で4点という厳しい評価を受けた。ジャンルイジ・ドンナルンマは高いボールへの対応で不安定さを露呈。後半にサンダーランドが猛攻を仕掛けた場面では、ゴールポストにも助けられた。(Manchester Evening News)
エンツォ・フェルナンデスのマンシティでの役割
エスピーエヌ(ESPN)が伝えたところによれば、チェルシーのエンツォ・マレスカ前監督はエンツォ・フェルナンデスについて「彼が持つウィニング・メンタリティこそマンシティに必要なものだ」と評していた。この発言は移籍後も広く引用され、フェルナンデスという選手が個の技術だけでなく、精神的な強さをもたらす存在として期待されていることを示している。(ESPN)
スカイスポーツは、ロドリの退団後に空いたシティの中盤深いポジションを埋める候補として、エンツォ・フェルナンデス、エリオット・アンダーソン、アユーブ・ブアディを挙げ、「ロドリ後」の中盤再建における重要ピースと位置づけている。(Sky Sports)
戦術的考察
エンツォ・フェルナンデスがシティの中盤でどう機能しているかは、この試合でよく分かった。彼がピッチ上で担うのは、ボックス外のポケットスペースに常駐し、フリーキックや配給で局面を打開するロールだ。ロドリが担っていた「純粋なアンカー」ではなく、より高い位置でのボール関与とゲームメイクを担う”8番的な役割”をエンツォは体現している。
サンダーランド戦では「ピッチ上で最も多くのパスをこなした選手」としてエリオット・アンダーソンが高評価を受けたが、エンツォはそのアンダーソンを前方でサポートしながら、決定的な場面では自らフィニッシュに絡む。ロドリのような縦の制圧力とは異なるが、「前向きな推進力と技術的な得点力」という観点では、ロドリ後のシティに足りなかったものを補える資質を持つ選手だ。
また、フリーキックからの直接ゴールは戦術的にも重要な意味を持つ。相手チームはエンツォの直接シュートを警戒しなければならず、人数配置の計算が変わる。チェルシー時代からセットプレーの精度には定評があったが、新天地でもその特性が即座に活きていることは、ペップ・グアルディオラ体制下からの方針継続性とも言える。
数字で読む
- シティの今節結果: 5-3 勝利(プレミアリーグ首位、3ポイント差)
- エンツォ・フェルナンデスの評価: BBC Sport採点 7点(チーム最高クラス)
- アントワーヌ・セメニョ: BBC Sport採点 9点(今季初複数得点)
- ルーベン・ディアス: MEN採点 4点(チーム最低評価)
- ブライアン・ブロッベイ(サンダーランド): ハットトリック達成も敗戦
- エリオット・アンダーソン: BBC評価6点、チーム最多パス数を記録
- エンツォが担う「フリーキック直接ゴール」というオプションは、試合の流れを変えうるセットプレーの威力として今後より重要になる
編集部の見解
エンツォ・フェルナンデスのマンシティでの適応は、予想以上のスピードで進んでいる。チェルシーでは移籍騒動の余波もあってパフォーマンスに波があったが、今のエティハドでは初ゴールと「エンツォ、エンツォ」のチャントが示すように、心理的な解放感をまとって輝いている。
ただし、この試合の最大の懸念はシティの守備だ。5得点で勝利しているにもかかわらず、昇格組のサンダーランドに3失点を喫し、後半は相当に押し込まれた。ルーベン・ディアスが4点という低評価を受け、ドンナルンマもポジショニングに不安を残したことは、今後のビッグマッチで致命的な問題になりかねない。
フェルナンデスがどれだけ輝こうとも、守備が脆いままでは優勝争いを最後まで続けることはできない。シティがリーグ制覇を現実的な目標とするなら、前線の爆発力を活かしつつ、中盤から後方の組織的な修正を急ぐ必要がある。エンツォのパフォーマンスを称えることと、守備の問題を直視することは、両立させなければならない。
今後の注目点
まず直近の焦点は、マンチェスター・ユナイテッドとのマンチェスターダービーだ。スカイスポーツが「ロドリ後の中盤」として三者を特集した流れで言えば、エンツォ・フェルナンデス、エリオット・アンダーソン、ブアディの3人がダービーでどう役割分担するかは最注目の戦術ポイントになる。守備の弱さが見えたシティに対し、マンUがどう攻略を試みるかも見ものだ。
また、エルリング・ハーランドがゴールを重ねることで得点ランキングにどう絡むかも引き続き追いたい。そして守備面では、ルーベン・ディアスが立て直しを見せられるかどうかが、シティの今季の命運を左右する可能性がある。エンツォの「ウィニング・メンタリティ」が中盤だけでなくチーム全体に波及するかどうか――それが今季シティの評価軸となるだろう。
情報源
- Enzo Fernández’s ‘winning mentality’ is what Man City need – Enzo Maresca – ESPN
- Brobbey hits hat-trick on losing side – player ratings for Man City v Sunderland – BBC Sport
- Man City player ratings vs Sunderland with one 4/10 as Antoine Semenyo good – Manchester Evening News
- Man Utd vs Man City: Ayyoub Bouaddi, Elliot Anderson and Enzo Fernandez are the perfect answer to Rodri’s summer exit – Sky Sports