ラ・リーガに激震が走った。アトレティコ・マドリーとレアル・マドリーのマドリーダービーで、ジョナサン・ダビドの決勝ゴールによりアトレティコが2-1で勝利。敗れたレアルのジョゼ・モウリーニョ監督は試合後の記者会見に、審判の判定ミスを示す”証拠”をプリントアウトして持参するという前代未聞の行動に出た。今季すでに2敗目を喫したマドリーにとって、深刻なシーズンスタートが続いている。
アトレティコ・マドリー vs レアル・マドリー:マドリーダービー

TheSportsDB / Jay Rodriguez
見どころ: アトレティコのジョナサン・ダビドがダービーを決する決勝ゴールを決め、ホームチームが2-1で勝利。今節で最も注目を集めたスペインの一戦となった。
試合の経過: レアル・マドリーは前半、モウリーニョが「絶好の状態だった」と称える内容を見せたが、審判の判定をめぐって試合の流れが大きく変わる場面があった。37分には、ジュード・ベリンガムとクリスティアン・ロメロが競り合い、ベリンガムにイエローカードが提示されたが、VARレビューの結果、ベリンガムへのカードは撤回されロメロへのイエローに修正。しかしモウリーニョは、ロメロのスタッドがベリンガムの膝に当たっていたとして、本来は退場処分に値すると主張した。
もうひとつの問題シーンは、アトレティコのイ・ガンイン(Lee Kang-in)がフェデリコ・バルベルデに加えたタックルで、モウリーニョはこちらも即退場相当だと訴えた。
試合はアトレティコがダビドのゴールで2-1と逆転し、そのまま逃げ切った。これでレアルは今季リーグ2敗目。先に9月上旬にはレアル・ベティスにも1-0で敗れており、序盤戦での躓きが続いている。(BBC Sport)
モウリーニョの記者会見劇場: 試合後、モウリーニョはA4用紙に2つの問題場面のスクリーンショットを印刷して記者会見に持ち込み、カメラの前に掲げてみせた。「この試合の話はこの紙が全て物語っている」と言い放ち、本来なら10対9での後半50分間を戦えたはずだと強調した。ただし、審判の意図的なものではなく「単純なミスだと信じたい」とも述べ、選手たちの献身的なプレーへの称賛も忘れなかった。(BBC Sport)
シメオネのコメント: 一方、勝利したアトレティコのディエゴ・シメオネ監督は結果に歓喜しつつも、モウリーニョの審判批判には冷静に応じた。「監督という立場は公の目にさらされる特権的なポジションだ。モウリーニョであれ、ハンジ・フリックであれ、私であれ、誰もが発言に慎重でなければならない。一線を越えてはいけない」と述べ、暗に相手の言動を諌めた。(BBC Sport)
戦術的考察

Ank Kumar / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
今節のマドリーダービーで浮かび上がった最大の戦術的テーマは、レアル・マドリーの前半と後半のパフォーマンスの落差だ。モウリーニョ自身が「前半は本当に良かった」と認めた通り、前半のレアルは組織的かつ高いクオリティを見せた。しかし後半はアトレティコにボールを支配され、まともに攻撃を展開できなかった。
ここで注目すべきは、審判判定の影響だけでなく、アトレティコの後半のプレッシング強度とダビドの動き出しにレアルが対応しきれなかった点だ。シメオネが率いるアトレティコは終盤になればなるほど強度を増す戦い方を今季も継続しており、ダビドという高水準の決定力を持つストライカーの加入がそのスタイルに凄みを加えている。
レアルにとっては、ベリンガムとバルベルデという中盤の核が相手のファウルの対象となり、フィジカル的な消耗を強いられたこともゲームプランの崩壊に繋がった。モウリーニョが審判批判に終始するほど判定に傷ついたのは、それだけ試合の流れが紙一重だったことを示す。とはいえ、敗戦の原因を外部要因のみに求める姿勢は、チームの課題を内省する機会を損なう危険性もある。
数字で読む
レアル・マドリーは今季リーグ戦でここまで2敗を喫している。1敗目がレアル・ベティス戦(1-0)、2敗目が今節のアトレティコ戦(1-2)だ。モウリーニョ体制のレアルとして、シーズン序盤にこれだけ躓くのは近年では珍しい事態といえる。
アトレティコのジョナサン・ダビドはダービーという舞台で決勝ゴールを決めたことで、今季のアトレティコにとって最重要の一戦に名前を刻んだ。ダビドは今季アトレティコで存在感を示しており、大舞台での勝負強さが改めて証明された形だ。
また、37分のVAR介入によってベリンガムへのイエローが取り消され、ロメロへのイエローに変更された。しかしモウリーニョはロメロのスタッドがベリンガムの膝を直撃した場面を「退場相当」と主張しており、もし退場が認められていれば試合展開は大きく変わっていた可能性がある。10人対11人の状況で後半50分近くを戦うのと、11人対11人では全く異なるゲームになることは言うまでもない。
編集部の見解
モウリーニョがプリントアウトを記者会見に持ち込んだ行為は、彼の独特なメディア戦略の一環として世界中で注目を集めた。だが、問題の本質はそこではない。レアル・マドリーは今季早くも2敗を喫しており、クラブの期待水準に対して明らかに出遅れている。モウリーニョが審判批判に力点を置けば置くほど、チームの構造的な課題から目が逸れてしまう。
確かに今節の2つの判定が議論を呼ぶものだったのは事実だ。しかし、シメオネのコメントが示す通り、監督が公に審判を激しく批判する行為はスポーツ全体の信頼を損なう側面がある。モウリーニョはこの教訓を心に留め、次節以降は外部批判よりも内部の戦術整備に集中するべきだ。今のレアルには、論争ではなく勝ち点が必要である。
シメオネのアトレティコはダビドという新たな武器を得て、今季のラ・リーガ優勝争いに本格的に加わってくることは間違いない。一方のレアルは、モウリーニョが選手たちのメンタルと戦術的な立て直しを急ぐ必要がある。国際Aマッチ期間を挟んでリセットできるかどうかが、今後の浮沈を左右する。
今後の注目点
まず最大の焦点は、国際Aマッチ期間終了後にレアル・マドリーがどう立て直すかだ。現在の3週間に及ぶ長い代表ウィークは、チームにとって戦術的な修正と選手のコンディション回復に充てる絶好の機会となる。モウリーニョが今節の敗戦を糧にして守備組織と中盤のバランスを見直せるかが問われる。
次に、ベリンガムの膝への接触プレーが後に問題となった場合、コンディションへの影響にも注意が必要だ。バルベルデも含め、代表期間中の主力選手の状態はクラブにとって不安材料となる。
また、アトレティコのダビドはこのダービーゴールで自信と勢いを手に入れた。シメオネ体制のアトレティコが今季どこまでレアルやバルセロナと優勝争いを繰り広げられるか、ラ・リーガ全体の行方を占う重要な一戦がこれから続いていく。国際Aマッチ期間明けのレアルの最初の試合は、チームの真の状態を測る試金石となるだろう。
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