試合の流れ
前半
ヴィタリティ・スタジアムに戻ったアンドニ・イラオラにとって、古巣との再会は決して楽なものではなかった。リバプールはボール保持を試みるも、ボーンマスの組織的なブロックの前に前半はほとんど有効な攻撃を作り出せなかった。
ボーンマス側はエバニルソンが前線で積極的にチャレンジし、ハーフタイムまでにアリソンのセービングを引き出す場面も作った。BBCのレーティング記事によれば、エバニルソンは「前半にフリックシュートをアリソンに止められた」と評されており、ホームチームにも得点の機会があったことを示している。ドミニク・ソボスライが前半にフリーキックを放ったものの枠をわずかに外れるなど、リバプールも散発的にチャンスを作るにとどまり、スコアレスで折り返した。
後半
後半に入るとリバプールは攻撃の強度を高め、コーディ・ガクポが右サイドから積極的に仕掛け始めた。ガクポが右サイドを切り裂いて放り込んだボールをアレクサンダー・イサクが冷静に決め、リバプールが均衡を破った。
BBCによれば、ボーンマスのアドリアン・トリュフェールは「ガクポとの競り合いで後手を踏み、リバプールのゴール直前に突破を許した」と評されており、右サイドの攻防がゴールを生む直接の起点となった。一方のボーンマスは75分に3枚替えを敢行し反撃を試みたが、アリソンが後半のエバニルソンの追加シュートも阻止。そのままリバプールが1点を守り切り試合を終えた。
戦術分析
リバプールの狙いと実行
イラオラ体制のリバプールは、前節フラムとの0-0の引き分けからスタメンを3名変更してこの試合に臨んだ。4-3-3(または可変式の4-2-3-1)を基本とし、アレクシス・マック・アリスターとドミニク・ソボスライの中盤コンビがボールを循環させつつ、ガクポを右サイドに配置するという形が前半は機能不全に陥った。
後半の修正として特徴的だったのが、ガクポを右サイドにより高い位置で張らせ、クロスからイサクに合わせるシンプルな攻撃パターンへの回帰だ。複雑なビルドアップではなく、サイドの個人能力でブロックを崩す判断が功を奏した。守備面ではジェレミー・ジャケとフィルジル・ファン・ダイクのセンターバックコンビが安定したラインを保ち、ボーンマスの前線にほぼ仕事をさせなかった。
ボーンマスの狙いと実行
ボーンマスは5-4-1(守備時)もしくは4-4-2のミッドブロックを採用し、リバプールのビルドアップに対してペナルティエリア前のスペースを圧縮することを優先した。アレックス・スコットとタイラー・アダムスのダブルボランチが中央を塞ぎ、前半はリバプールの縦パスコースをほぼシャットアウトした。
カウンター局面ではエバニルソンの個人突破と、インサイドハーフのポジションに入ったライアンのボールさばきを活用しようとしたが、ファン・ダイクを中心とするリバプールの守備陣を崩すには至らなかった。ジャスティン・クライベルトを欠くなか、起用されたライアン・クリスティがいくつかの好機を得たものの、最後のフィニッシュ精度で差が出た。
ターニングポイント
ガクポの右サイド突破→イサクの決勝ゴール
前半はブロック前で停滞を続けたリバプールだったが、ガクポが右サイドの深い位置まで侵入し、トリュフェールを振り切った上でのグラウンダークロスをイサクが流し込んだシーンが試合最大の分岐点だった。ボーンマス左サイドの守備強度が相対的に低かったことは前半から見受けられており、イラオラが後半にそこを突くよう指示を変えた可能性が高い。
アリソンのエバニルソン阻止
前半のセービングに加え、後半にも決定的なシュートを止めたアリソンの存在がリバプールのクリーンシートを支えた。もし同点に追いつかれていれば試合の展開は大きく変わっていた可能性があり、GKのパフォーマンスもターニングポイントとして挙げることができる。
選手評価
アレクサンダー・イサク(リバプール)
前半はジェームズ・ヒルとアントニオ・シルバのセンターバックコンビに抑え込まれたが、ガクポのクロスに対して動き直してスペースを作り、決定的な一発を叩き込んだ。守備組織の固いチームに対しても「待つ力」を発揮できるFWであることを示した。
ジェレミー・ジャケ(リバプール)
BBCのレーティングで最高評価の8を獲得。早い時間帯に不用意なファウルを犯したものの、その後は落ち着いたカバーリングとボール保持で存在感を示した。フランス代表への招集も控えており、信頼を高める一戦となった。
アリソン(リバプール)
クリーンシート達成の立役者。エバニルソンの前半の足下シュートを足で弾き出した反応セーブが象徴的で、終始落ち着いたプレーでチームを支えた。
コーディ・ガクポ(リバプール)
右サイドに配置されて前半は存在感を欠いたが、後半は積極的な仕掛けで違いを生み出し、決勝ゴールのアシストを記録。試合を変えた選手の一人。
エバニルソン(ボーンマス)
チーム最多のシュートを放ち、アリソンの好セーブにも阻まれた不運な試合。チームがゴールを奪えなかった中で孤軍奮闘したが、最後の精度と連携面で惜しかった。
この結果が意味するもの
リバプールはアウェーでの接戦を制し、第5節で着実に勝ち点3を積み上げた。イラオラ体制の守備の安定性(アリソンを中心としたクリーンシート)と、ガクポ・イサクの縦の崩しという武器が機能することを改めて証明した形だ。一方のボーンマスは組織的な守備ブロックで前半を凌いだものの、一瞬のサイドの崩しで試合を決められてしまった。中位圏での争いを続けるボーンマスにとって、得点力の補強が引き続き課題として浮き彫りになった。
情報源