2026年8月12日(水)にダブリンのクロークパークで予定されているマンチェスター・ユナイテッドとリーズ・ユナイテッドのプレシーズン親善試合が、開催中止の危機に立たされている。さらに、両クラブはストックホルムでの初戦を0-0で引き分けており、マイケル・キャリック監督体制のユナイテッドの再建がいかに容易ではないかを示す内容となった。プレシーズンの行方と新戦力の台頭が同時に注目される、2026-27シーズン開幕直前の重要な局面だ。
クロークパーク対決、開催中止の可能性

Ardfern / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
見どころ: アイルランドの歴史的聖地クロークパーク(収容人数82,000人)で行われる予定の英国勢初の試合
状況: リーズの降格またはコミュニティ・シールド出場によって中止となるリスクあり
条件: リーズがプレミアリーグ残留かつFAコミュニティ・シールドに出場しない場合のみ開催
ユナイテッドがアイルランド共和国へと飛び、メイヌース近郊のカートン・ハウスホテルで練習を実施した。試合主催者は8月12日(水)にリーズとの対戦をクロークパークで開催すると正式に発表している。この会場は2005年まで「外国スポーツ」の開催を禁じていたゲーリック体育協会(GAA)の歴史的ホームであり、英国のクラブが初めてプレーする舞台として注目度は高い。(BBC Sport)
しかし、ユナイテッドに問題がない一方、リーズ側には2つの重大な障害がある。第一に、8月16日のコミュニティ・シールドがカーディフのプリンシパリティ・スタジアムで開催されるため、リーズが出場権を獲得した場合は試合が中止になる。第二に、2026-27シーズンのEFLキャンペーンが8月14〜16日に開幕するため、降格となった場合も同様に中止となる。リーズは公式ウェブサイトで「降格またはコミュニティ・シールド出場が決まった場合、クロークパーク戦は中止となる」と明示し、「交通費の払い戻しは行わない」と発表している。(BBC Sport)
マン・ユナイテッド 0-0 リーズ:ストックホルム親善試合
見どころ: キャリック新体制下での新戦力の初披露
注目の対決: 18歳の新加入DFディエゴ・レオン vs リーズの両WB
新戦力初陣: マテウス・クーニャも初めてユナイテッドのシャツを着用
ストックホルムで行われた両クラブのプレシーズン初戦は0-0のドローに終わった。最大の注目を集めたのは18歳のパラグアイU-20代表、ディエゴ・レオンだ。ルベン・アモリム監督(前体制)がスタメン起用したレオンは、左ウィングバックのカバー役として期待されており、ユナイテッドは彼にファーストチームの背番号30を与え、高評価を受けていた若手イングランド人選手ハリー・アマスをローンに出してポジションを確保するほど重視している。(BBC Sport)
前半終盤には、チド・オビへのデリケートなショートパスで存在感を発揮。一方で、ウィリー・ニョント、ジェイデン・ボーグルのオーバーラップに当初対応に苦しんだ場面もあったが、ルーク・ショーのコーチングを受けながら素早く修正した。カゼミーロのシュートがポスト上部に当たって戻ってきたリバウンドにも積極的に反応するなど、「フレンドリーらしくない」強気の姿勢を見せた。(BBC Sport)
アモリム監督はMUTVに対し、「彼はユナイテッドに来て1〜2週目だ。よくやっていた。パワフルで、素晴らしい選手になる」と評価している。マテウス・クーニャは背番号10をつけてアタッキングMFとして登場。スコアレスドローという結果は、ユナイテッドの復権への道筋が決して平坦ではないことを示す内容だった。
また、ESPN の報道によれば、ラインを超えた強度と組織力を見せたリーズは、この試合を通じてユナイテッドに対し「トップへの道は単純ではない」というメッセージを送った。リーズはその後もウレクサムに3-2で敗れるなど、プレシーズンは混戦模様だ。
戦術的考察
今回のプレシーズンで最も注目すべき戦術的な論点は、マンチェスター・ユナイテッドの3バック(またはウィングバックシステム)における左サイドの整備だ。ルーク・ショーが左サイド中央DFとして起用されており、その外にレオンが左WBとして配置されるという構造が見えてくる。アモリム体制から引き継がれたこのシステムにおいて、レオンは純粋な左WBというよりもサポートキャラクターとして機能している。
問題は、この18歳がプレミアリーグの高強度にどこまで対応できるかだ。ストックホルムの温暖な天候のもとでも息が上がる場面があったとBBCは指摘しており、フィジカル強化が急務であることは明らかだ。ただし、デリケートなタッチと状況判断の速さはすでに一定の水準にある。キャリック監督がこのシステムをそのまま踏襲するか、4バックへの転換を検討するかによって、レオンの役割や将来性も大きく変わってくる。クーニャの背番号10起用はトップ下またはシャドーストライカーとしての起用を示唆しており、前線の流動性を高めるオプションとして機能するはずだ。
数字で読む
- クロークパーク: 収容人数82,000人。英国クラブの試合開催は初めて
- 試合日程: クロークパーク開催予定は8月12日(水)。コミュニティ・シールドは8月16日(日)。EFLシーズン開幕は8月14〜16日
- レオン: 18歳。セロ・ポルテーニョでトップチーム33試合出場後にユナイテッド加入。背番号30を付与
- ストックホルム親善試合: ユナイテッド 0-0 リーズ。スコアレスドロー
- レオンに関する判断: ハリー・アマスをローンに出すという決断は、クラブがいかにレオンを高く評価しているかを示す具体的な証拠だ
- リーズ 2-3 ウレクサム(別戦): プレミアリーグ所属のリーズがチャンピオンシップのウレクサムに敗戦
編集部の見解
クロークパーク開催は、両クラブの対アイルランドマーケット戦略の一環として計画された意欲的な企画だが、現状では「絵に描いた餅」に終わるリスクが高い。リーズのプレミアリーグ残留は今シーズン終盤まで確定しないため、チケットを購入したファンはギリギリまで不確定な状態に置かれる。クラブが「交通費の払い戻しは行わない」と明記している点は、ファンサービスの観点から批判されても仕方ない姿勢だ。
一方、ユナイテッドにとってはこのプレシーズン自体に大きな意義がある。レオンというダイヤの原石の存在は、キャリック体制のユナイテッドがスカウティングの刷新を進めているシグナルだ。ただし、リーズとのスコアレスドローという結果が示すように、今のユナイテッドには攻撃の迫力が決定的に不足している。クーニャがシャドーとして機能するとしても、その前に明確なターゲットストライカーが存在しない限り、システムは機能不全に陥る。プレシーズンの段階でこの課題が露呈していることは、シーズン開幕前に必ず解決しなければならない緊急の問題だ。
今後の注目点
まず最優先で注目すべきは、クロークパーク開催の可否が判明するタイミングだ。リーズの残留・降格が確定するのはプレミアリーグ最終節(時期は未発表)だが、それまでファンは宙吊り状態が続く。8月12日の開催まで時間的猶予は極めて少ない。
次に、ユナイテッドのアメリカツアー(プレミアリーグ・サマーシリーズ)だ。ストックホルムで出場した先発メンバーは前半で交代しており、後半組の選手たちがどのようなパフォーマンスを見せたかも本来なら評価対象となる。キャリック監督がアモリムの3バックシステムを継続するのか、あるいは独自色を打ち出すのかも、このツアーで明らかになるはずだ。
また、レオンがプレミアリーグ開幕に向けてどれだけフィジカルを仕上げてくるかも見逃せない。18歳の即戦力化は難しい賭けだが、クラブとして育成の覚悟を示している以上、開幕スタメンの可能性もゼロではない。そして、ストライカー不在という根本的な課題に対してキャリック体制がどう対処するか、追加補強の有無が今後の最大の焦点となる。
情報源
- Why Man Utd-Leeds at Croke Park may not happen – BBC Sport
- Manchester United 0-0 Leeds: Diego Leon catches eye in friendly draw – BBC Sport
- Leeds show Man United’s route back to the top won’t be simple – ESPN
- Wrexham down another Premier League team as Leeds beaten 3-2 in friendly – ESPN
- Man Utd 0-1 Wrexham: Andrey Santos makes Red Devils debut in opening pre-season loss in Helsinki – Sky Sports