夏の移籍市場において、コモのクロアチア人MFマルティン・バトゥリナを巡る争奪戦が激化している。マンチェスター・ユナイテッド(監督:マイケル・キャリック)、トッテナム(監督:ロベルト・デ・ゼルビ)、そしてアストン・ヴィラの3クラブがプレミアリーグから名乗りを上げる中、コモ会長ミルワン・スワルソが沈黙を破り、移籍交渉に関する明確な立場を表明した。英国メディアが報じる移籍金の目安は約£68m。売却を急ぐ気配を見せないコモが、いかなる条件なら首を縦に振るのか――その核心に迫る。
マルティン・バトゥリナを巡るプレミアリーグ3クラブの争奪戦

Ministerio de la Producción / Wikimedia Commons (Public domain)
見どころ:ワールドカップでの活躍を経てさらに注目度が高まった23歳のバトゥリナ。コモ会長が「良いオファーなら受け入れる」と発言し、事実上のオークション状態に突入した。
交渉の現状:今夏、アストン・ヴィラはバトゥリナに対して£46.5mのオファーを提示したが、コモに拒否されている。英国メディアの報道によれば、コモ側が設定する移籍金の目安は約£68mとされる。ユナイテッドとトッテナムも関心を持つクラブとして名が挙がっており、争奪戦の構図が明確になってきた。
コモ会長の発言:スワルソ会長はイタリアメディア『カルチョメルカート』を通じて、「オファーがあれば聞く。気に入れば受け入れるが、断ることも恐れない。昨夏はアサン・ディアオへの6000万ユーロのオファーを断り、冬には別選手への4000万ユーロのオファーも拒否した」と語り、強気の姿勢を鮮明にした。(Football365)
バトゥリナ本人の意向:6月上旬に『ガゼッタ・デッロ・スポルト』に語ったバトゥリナは、「セリエAで多くのことを学んだ。コモでの雰囲気は一年を通じて素晴らしく、この環境が特別なシーズンを可能にした」と発言。クラブとの契約は2030年夏まで残っており、コモが初のチャンピオンズリーグ出場を控える中、本人も即座の退団には傾いていない。
ヴィラの追加アプローチの可能性:モーガン・ロジャーズがチェルシーへ£117mで移籍する予定とされており、その穴を埋める補強としてヴィラがバトゥリナへの再アプローチを行う可能性がある。(Football365)
戦術的考察

TheSportsDB / Roko Baturina
バトゥリナの最大の魅力は、その戦術的多様性にある。左ウィング、攻撃的MF、セントラルMF、さらにはセンターフォワードまでこなせるとされており、最も適性が高いのはNo.10のポジションと見られている。この汎用性は、複数のシステムを使いこなす必要があるプレミアリーグのクラブにとって極めて魅力的だ。
トッテナムのロベルト・デ・ゼルビが志向するポジショナルプレーにおいて、バトゥリナのような中盤でテクニカルに動き回れる選手は機能しやすい。デ・ゼルビは選手にインテリジェントな動き出しと局面打開能力を求めるが、バトゥリナはセリエAで「戦術的規律と集中力」を磨いてきたと自ら語っており、この要求に応えられるプロフィールを持つ。
ユナイテッドのキャリック監督にとっても、バトゥリナの攻撃的MFとしての能力は魅力だ。中盤の構成を整えたいユナイテッドにとって、複数ポジションをこなせる選手は戦力の厚みをもたらす。ただし、ユナイテッドにとっての優先順位という観点では、他のポジションに比べて緊急性が低いという見方もある。ヴィラはロジャーズ放出という具体的な補強ニーズがあり、最も動機が強いクラブと言えるだろう。
数字で読む
バトゥリナの移籍を巡る数字の推移は、その市場価値の急上昇を端的に示している。昨夏のコモへの移籍金は£15.6m〜£17mと報じられているが、1シーズンを経ただけで英国メディアの評価は£68mに達した。これは取得コストの約4倍以上に相当する数字だ。
2025-26シーズンの成績としては、全大会通じて34試合に出場し、8ゴール・4アシストを記録。コモが初のチャンピオンズリーグ出場権を獲得した歴史的シーズンの主力として貢献した。
今夏の交渉において、ヴィラの£46.5mオファーは拒否されており、コモが設定する基準は英国メディアの報道通り£68m前後と見るべきだろう。バトゥリナの契約は2030年まで残っており、コモには急いで売却する義務がない。売り手市場の構造が完成しており、最終的な移籍金がさらに上積みされる可能性も十分ある。
編集部の見解
コモ会長スワルソの発言は、「売る気がある」というメッセージと「安易には売らない」という警告を同時に発した巧みな交渉術だ。昨夏のディアオへの6000万ユーロ拒否実績を引き合いに出したのは、単なる強がりではなく根拠ある強硬姿勢だ。コモはチャンピオンズリーグという新たなステージを手に入れ、バトゥリナを引き留める強力な材料を持っている。£68m未満のオファーは受け入れないと見るべきだ。
3クラブの中で最もこの移籍を成立させるべきなのはアストン・ヴィラだ。ロジャーズ放出という明確な穴があり、補強の必然性がある。ユナイテッドとトッテナムはバトゥリナの獲得で恩恵を受けるのは確かだが、優先度という点では現時点でヴィラに劣る。ヴィラが£68m以上の金額を提示できるかどうかが、この移籍の成否を決定づける鍵となる。バトゥリナ本人がコモ残留に前向きである以上、クラブを動かすほどの条件提示が必須であり、£70m超の覚悟がなければ交渉は進まない。
今後の注目点
最も重要な注目点は、ヴィラがロジャーズのチェルシー移籍を確定させた後、バトゥリナへの再オファーを行うかどうかだ。モーガン・ロジャーズの£117m移籍が成立すれば、その資金を原資に£68m超のオファーを提示できる財政的裏付けが生まれる。ヴィラが動けば、ユナイテッドとトッテナムも対応を迫られ、争奪戦がさらに過熱する展開になるだろう。
また、バトゥリナ本人の動向も見逃せない。現時点ではコモ残留に満足しているようだが、プレミアリーグの複数クラブが本格的なアプローチを仕掛けた場合、本人の意向がどう変化するかが交渉を左右する。コモのチャンピオンズリーグ初戦の組み合わせ抽選後、欧州の大舞台への期待感が残留モチベーションをどこまで支えるかも重要なファクターだ。夏の移籍期限が近づくにつれ、£68mの壁を越えられるクラブが現れるかが最大の焦点となる。
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