2026年夏の移籍市場が活況を呈するなか、アーセナルがスポルティングCPの主将モルテン・ヒュルマンドの獲得争いに本格参戦したことが明らかになった。先にアプローチをかけていたマンチェスター・ユナイテッドとの競合となり、プレミアリーグ屈指のボランチ争奪戦に発展しつつある。チャンピオンズリーグ準々決勝でスポルティングを下したアーセナルが、対戦で直接目にした選手をターゲットに定めたという構図も興味深い。また、ACミランのラファエル・レオン移籍問題でもアーセナルとユナイテッドが交錯しており、今夏の市場はガナーズと赤い悪魔の直接対決の様相を呈している。
モルテン・ヒュルマンド獲得争い:アーセナル vs マンチェスター・ユナイテッド
焦点:スポルティングCPの不動のキャプテンを巡るプレミアリーグ二強の争奪戦
価格帯:リリース条項は€80m(約7000万ポンド)だが、スポルティングは€60m(約5200万ポンド)での売却に応じる姿勢
現状:ユナイテッドが交渉をリードしているとの見方が強い
デンマーク代表MFのヒュルマンドは今季スポルティングで43試合に出場し、2ゴール・6アシストを記録。守備面では欧州のMFのなかでタックル成功率が95パーセンタイルに達するという際立ったスタッツを誇る。激しいデュエルを制しながらゲームを締める「6番」の役割を高いレベルでこなせるファイター型のアンカーだ。
当初、昨夏にも複数のクラブからの関心があったが、ヒュルマンドは「もう一年スポルティングに残り、2026年に満を持してビッグクラブへ移籍する」という姿勢を表明していた。その約束通り、今夏がリスボン脱出の機となる見通しだ。
CaughtOffsideの報道によれば、アーセナルはCL準々決勝でスポルティングを撃破した直後にヒュルマンドへの問い合わせを行い、チームメイトのイバン・フレスネダやウスマン・ディオマンデにも同時に触手を伸ばしている。情報筋はスポルティングの姿勢をこう語っている(Football365):「アーセナルは最近接触してきた。ユナイテッドも情報収集を続けている。スポルティングはクラブに対して€60mから交渉を始めれば話し合いに応じると意思表示している」。
現時点ではマイケル・キャリック率いるユナイテッドが優位に立つとされるが、アーセナルも追撃体制を整えており、リバプールの動向も気になるところだ。
ラファエル・レオン移籍問題:アーセナルにも打診済み
ACミランの左ウイング、ラファエル・レオンをめぐっては、ユナイテッドへのオファーが先行していたなか、アーセナルにも獲得のチャンスが提示されたことが明らかになった。イタリアの「ガゼッタ・デッロ・スポルト」の報道(Football Italiaを通じて)によれば、レオン側は近週中にアーセナルにもアプローチを行っている(Football365)。
ミランは当初の残留策として新契約締結を目指していたが、レオン本人がポルトガルのメディアに「ACミランで歴史を刻んだことは誇りだが、新たな挑戦を求めている。別のリーグでプレーする準備ができている」と公言したことで、移籍の流れが不可逆的となった。移籍金は€50m前後とされており、複数の関係者によれば夏のウィンドウでの売却に応じる見込みだ。
レオン自身は過去に「ユナイテッドはクリスティアーノ・ロナウドの存在もあって好きなクラブ。アーセナルも好き」と語っており、プレミアリーグへの親和性は高い。ユナイテッドがCL復帰でTransfer予算を積み増した一方、アーセナルもCL決勝進出という結果が財政的後押しとなっている。
戦術的考察
ヒュルマンドがアーセナルに加入した場合、ミケル・アルテタが採用するボールポゼッション主体の4-3-3または4-2-3-1において、インバーテッドウイングをサポートするアンカーとして機能する。デクラン・ライスが攻撃的なポジション取りも担うボックス・トゥ・ボックスMFとして重用されている現状を踏まえると、ヒュルマンドはより純粋な守備的アンカーとしてライスの攻撃参加を解放する役割を担える。
タックル成功率が欧州トップクラスである点は、アルテタが常々求めてきた「プレスの強度と守備の堅牢さを兼ね備えた中盤」の条件に合致する。スポルティングが3-4-3ベースの積極的なハイプレスを採用していることも、アーセナルのスタイルとの相性の良さを示す。
一方でユナイテッドのキャリック体制においては、守備ブロックを安定させる純粋な守備的MFの需要が高く、ヒュルマンドのファイター気質はユナイテッドの戦術的方向性にもフィットする。どちらのクラブも論理的に「欲しい理由」を持っているという意味で、この争奪戦は長引く可能性がある。
レオンについては、アルテタの4-3-3左ウイングのポジションに収まるが、近年のアーセナルにはレアンドロ・トロサールが台頭しており、ベン・ホワイトのインバーテッドフルバック活用とも重複し得る。チェルシーの監督に就任したサビ・アロンソ体制への移行を見据えれば、ポジション競争の再整理が必要になる場面もあるが、レオンの個人打開力はCL制覇を目指すうえで確実に戦力値を引き上げる。
数字で読む
ヒュルマンドの評価額と相場比較
- 提示価格:€60m(約5200万ポンド)=欧州トップアンカーの相場として妥当
- タックル成功率:欧州MF中95パーセンタイル(傑出した守備貢献度)
- 今季出場数:43試合、2ゴール・6アシスト(守備型MFとして攻撃貢献も十分)
- リリース条項:€80m(約7000万ポンド)=欧州基準でも高額だが、交渉ベースは€60mから
比較対象:カゼミーロが2022年にユナイテッドへ移籍した際の移籍金は約7500万ポンド(当時27歳)。ヒュルマンドは25歳と若く、同額以下での獲得は「割安」と評価できる。
レオンの評価額
- 推定移籍金:€50m(約4300万ポンド)
- 今季成績:ミランで主に中央FWとして起用、左ウイングとしても高い評価
- 年齢:26歳(2026年6月時点)でまだキャリアのピークにある
アーセナルの財政状況:CL決勝進出によるプライズマネーと放映権収入の上乗せで、単一案件に6000〜7000万ポンド規模の投資が可能な状態にある。ヒュルマンドとレオンを同時に追う体力はあるが、両方獲得となれば優先順位の峻別が必要だ。
編集部の見解
ヒュルマンド獲得においてアーセナルはユナイテッドに後れを取っているが、それでもこの争奪戦に参加する価値は十分にある。アルテタが長年求めてきた「デュエルで圧倒できる守備的MF」として、ヒュルマンドはライスの攻撃力を最大化する完璧なパートナーになり得る。トーマス・パーティの後継者問題を未解決のまま引きずってきたアーセナルにとって、これ以上の先送りは許されない。ユナイテッドが交渉をリードしているとしても、アーセナルはCL決勝進出のステータスと財政力を武器に積極的に介入すべきだ。
レオン問題については、アーセナルの右ウイングにサカが君臨する現状で、左サイドの補強は確かに急務だ。しかしレオンのプレースタイルはトロサールとかなり重複しており、5200万ポンドのヒュルマンドと4300万ポンドのレオンを同時に追うよりも、中盤の補強を最優先とするべきだ。アルテタがCLを制するために本当に必要なのは攻撃のデプスではなく、中盤の守備的安定性である。ヒュルマンドをユナイテッドに奪われることはアーセナルにとって最悪のシナリオだ。
今後の注目点
最も重要なのは、ユナイテッドがヒュルマンドとの交渉をどこまで進められるかだ。スポルティングは€60mスタートでの交渉を受け入れると表明しており、ユナイテッドが迅速に正式オファーを提示すれば、アーセナルは更に値を吊り上げられた状況で追いかける羽目になる。アーセナルとしては、CL期間中の接触を基礎にして早急に正式交渉テーブルにつくべき局面だ。
レオンについては、本人が「新たなリーグへの挑戦」を表明した以上、ミランは夏のウィンドウ早期に買い手を確定させたい考えだろう。アーセナルとユナイテッドの双方がすでにオファーを受けている段階で、どちらがより良い条件を提示するかが焦点となる。
また、アーセナルはボーンマスのアレックス・スコット(評価額8000万ポンド)、フレスネダ、ディオマンデも並行して追っている。夏ウィンドウのアーセナルの動きは、2026-27シーズンのCL制覇に向けた本気度を測るリトマス試験紙となる。移籍市場の締め切りに向けて、ガナーズが中盤補強を最優先に動くかどうか注目したい。
情報源
- Arsenal make new approach for fiery £52m captain but Man Utd ‘lead race’ – Football365
- Arsenal ‘offered’ hijack for approved Man Utd transfer for Leao after Milan admission – Football365
- Transfer news LIVE: Alvarez to Arsenal done deal; Barcola talks; Spurs’ Tonali bid; Liverpool, Chelsea latest – Evening Standard
