マンチェスター・ユナイテッドが今季のプレミアリーグで苦しいスタートを切るなか、マイケル・キャリック監督の進退をめぐる議論が加熱している。イタリアメディアを中心に、元チェルシー・トッテナム指揮官のアントニオ・コンテをキャリックの後任候補として関心を示しているという報道が複数出ており、ユベントスとACミランも同様にコンテ獲得を狙っているとされる。国際Aマッチウィークを迎えた今、クラブはいかなる決断を下すのか。ファンの視線はキャリック体制の行方とコンテの動向に集まっている。
マイケル・キャリックへの圧力と指揮官の現状

TheSportsDB / Antonio Conte
現状: 今季プレミアリーグで4試合を消化したユナイテッドは、わずか4ポイントという低調な滑り出し。フルアムとのドローに際してキャリックは「自分たちがパッシブだったとは思わない」と反論したが、ゲイリー・ネビルらOBからは厳しい批判が相次いでいる。
INEOSの立場: 移籍情報の第一人者ファブリツィオ・ロマーノは、クラブ共同オーナーのINEOSがキャリックを近い将来解任する計画はないと明言している。国際Aマッチウィーク中に監督交代を実施する可能性は低いとみられているが、次のリーグ再開後に結果が出なければ状況は急変しうる。(Manchester Evening News)
元OBの懸念: 元ユナイテッドのニッキー・バットは「キャリックはもしかすると1月の移籍ウィンドウを迎える前に職を失うかもしれない」と踏み込んだ見方を示した。バットはユナイテッドの前線の補強不足を指摘しており、とりわけ「純粋な9番タイプのストライカーが必要だ」と述べている。(Football365)
アントニオ・コンテ獲得レースの構図

Austin Osuide / Wikimedia Commons (CC BY 2.0)
ユナイテッドの関心: イタリア紙『コリエレ・デッラ・セラ』をはじめとする複数のイタリアメディアは、ユナイテッドがコンテをキャリックの後任候補リストのトップに据えていると報じている。同じくBBC Sportも「コンテをポジション上ユナイテッドの監督候補として注視している」と伝えた。(BBC Sport)
コンテの意向: イタリア紙『コリエレ・デッロ・スポルト』によれば、コンテはユナイテッドからのオファーがあれば検討する意思を持っているとされる。ただし、現時点でユナイテッド側がキャリックを解任する動きも、後任候補に接触している兆候も見られない。コンテはすでにフェネルバフチェとイタリア代表のオファーを断ったとも伝えられており、「適切なプロジェクト」を待っている状態だという。(Manchester Evening News)
ライバルはイタリアの2強: ユベントスとACミランもコンテに強い関心を持っているとされる。MENによれば、両クラブは今季の出だしこそ緩慢だったが直近節では勝利しており、コンテ招聘の緊急性は一時よりやや低下している。それでも、イタリアメディアの報道は止まず、両クラブが最も現実的な選択肢と目されている状況だ。さらにCalciomercatoはユベントス・ミランに加え「別のビッグクラブ」もコンテを狙っていると報じており、争奪戦はより複雑な様相を呈している。(Manchester Evening News / BBC Sport)
コンテの前例: トッテナムはかつてヌーノ・エスピリト・サントを解任した後の11月にコンテをシーズン途中で招聘しており、コンテ自身もシーズン中の就任に実績がある。この先例は、もしユナイテッドが動くとすれば類似のシナリオが十分ありうることを示唆している。
JJガブリエル問題とユナイテッドのスカッド危機
コンテをめぐる報道と並行して、ユナイテッドではアカデミーの至宝、15歳のJJガブリエルの去就も緊迫した展開を見せている。ガブリエルはレアル・マドリー、バルセロナ、そして現在はチェルシーも獲得に関心を示していると報じられており、ユナイテッドは引き留めを図っている。(BBC Sport)
ガブリエルの代替候補として、ユナイテッドはフランスのレンズが擁するポルトガルユース代表MFメジアン・メスルーブ(16歳)への関心が伝えられている。また、パンチット・ジェイ・ボスロイドは「ガブリエルの体格的な特徴やプレースタイルを考えれば、ラ・リーガはより適した環境かもしれない」との見解を示した。(Manchester Evening News)
戦術的考察
アントニオ・コンテが就任した場合、現在のユナイテッドへ何をもたらすかを戦術的観点から考察してみたい。コンテは一貫して3バックまたは3-4-3などの可変システムを基本に据える監督であり、サイドバックではなくウィングバックとして機能できる選手を縦横に走らせることを重視する。この点でユナイテッドの現スカッドがコンテのシステムに適合するかどうかは慎重な評価が必要だ。
もっともコンテの最大の強みは、チームに即座の組織と戦術的規律をもたらす能力にある。現在ユナイテッドが批判されているのは強度不足と守備の脆弱性であり、まさにコンテが得意とする改善領域だ。チェルシーやトッテナムで見せたように、就任初期から守備ブロックを整備し、カウンター一辺倒でも失点を大幅に減らす実績は折り紙付きだ。一方で、コンテが求める「即戦力かつ特定ポジションへの適性」を持つ選手が現スカッドに十分そろっているかは疑問が残る。バットが指摘する「ストライカー不足」は、コンテ体制においても解決を急がなければならない最優先課題となるだろう。
数字で読む
今季のユナイテッドは4試合で4ポイントという成績。ソース内の情報によれば、マンチェスター・ダービーではスコアこそ接戦だったが、エルリング・ハーランドのゴールがVARで誤ってオンサイド判定されたことで敗れるなど、内容と結果が噛み合わない状況が続いている。
コンテ自身の実績として、チェルシーではプレミアリーグ優勝を達成しており、トッテナムでもシーズン途中に就任しながらCL出場圏争いに食い込んだ。現在57歳で、ナポリを退団後は無職状態が続いている。フェネルバフチェとイタリア代表のオファーを断り、あくまで「大型プロジェクト」を待っているという姿勢は、ユナイテッドやユベントス・ミランのような名門クラブへの就任にこそ意欲があることを示唆する。
編集部の見解
現時点でのユナイテッドとコンテをめぐる報道は、あくまで「イタリアメディアが関心を伝えている」レベルにとどまっており、クラブ側の公式な動きはない。しかし、だからといってこのニュースを軽視してはならない。プレミアリーグで4試合4ポイントという数字は、昨季の巻き返しで正式監督の座を勝ち取ったキャリックにとって、致命的な圧力になり得る水準だ。
INEOSが「今すぐ解任する計画はない」という立場を維持しているうちは動かないだろう。だがニッキー・バットの「1月前に職を失うかも」という発言は、クラブのレジェンドたちの間に本物の懸念が広がっていることを示している。筆者の見方では、ユナイテッドが10月〜11月の試合で改善を見せられなければ、INEOSの方針転換は十分ありうる。そのとき最初に名前が浮かぶのはコンテであるべきだ。ただし、ユベントスとミランがより早く動く可能性が高く、ユナイテッドがコンテを本当に欲しいなら決断の先送りは命取りになる。
今後の注目点
最も直近の焦点は、今回の国際Aマッチウィーク明けのプレミアリーグ再開後、ユナイテッドが結果を出せるかどうかだ。連敗やドローが続けば、INEOSの「解任計画なし」という立場は急速に変わる可能性がある。
次に注目すべきはユベントスとACミランの動向だ。両クラブが先にコンテとの接触を本格化させれば、ユナイテッドの選択肢は急速に狭まる。ソースによれば、ユベントスとミランは「今この秋に動く」可能性が最も高いとされており、次のリーグ中断(11月)が一つの分岐点になるとみられている。
また、JJガブリエルの去就は今後数週間で決着する可能性がある。クラブがアカデミーの宝を失えば、チームの将来設計だけでなく現場の士気にも影響が出る。これがキャリック体制への追加的な圧力となるか、注意深く見守る必要がある。さらにユナイテッドが代替候補として探っているとされるメスルーブへの動きが具体化するかも、1月に向けた重要な指標となるだろう。
情報源
- Man United ‘face competition’ for Antonio Conte as Michael Carrick replacement – Manchester Evening News
- Man Utd want manager who won Premier League title with Chelsea to replace Michael Carrick – Football365
- PL title winner reaches decision on replacing Michael Carrick as Man Utd boss – Football365
- Man United told how Max Dowman and Wayne Rooney claim explains JJ Gabriel’s transfer request – Manchester Evening News
- Gossip: Man Utd eye Conte – BBC Sport
- Spurs eye £125m move for Gibbs-White – Monday’s gossip – BBC Sport