バイエルン・ミュンヘンのアルフォンソ・デイヴィスが、今季チャンピオンズリーグのグループステージ初戦でゴールを決め、改めてその存在感を世界に示した。デイヴィスの活躍は単なる1得点にとどまらず、カナダ人選手としてブンデスリーガの歴史に名を刻む偉業の達成と重なる形となった。ただでさえ充実のバイエルンにあって、デイヴィスが果たす役割はこのチームの攻撃的野心を象徴している。
バイエルン vs ボーデ/グリムト(UCL グループステージ第1節)

TheSportsDB / Alphonso Davies
見どころ:ブンデスリーガで直前節シャルケ戦が0-0に終わっていたバイエルンにとって、チャンピオンズリーグの初戦は得点感覚を取り戻す絶好の機会だった。
注目の対決:バイエルンの得点力復活と、欧州の大舞台で旋風を起こすノルウェーの雄ボーデ/グリムトとの激突が注目を集めた。
チャンピオンズリーグのグループステージ初戦で、バイエルンはボーデ/グリムトを5-0で下した。試合を動かしたのは、今季プレシーズン中に試合中に2度倒れる”欠場発作”を患ったヤマル・ムジアラ(Jamal Musiala)が後半開始わずか77秒で先制弾を叩き込んだ場面だった。倒れた後でもユーモアと決意を保ち続けたドイツの若きテクニシャンの復帰ゴールはチームに勢いをもたらした。
続く61分にはハリー・ケインがオリセの浮き球を頭で合わせ、ゴールをものにした。これは欧州主要大会における連続8試合連続ゴールという記録を更新するものだ。そして77分、コーナーキックがクリアされたこぼれ球をペナルティエリア外から豪快にハーフボレーで沈めたのがデイヴィスだった。 (ESPN)
さらにミカエル・オリス(Michael Olise)が83分と90+2分に2得点を追加し、ボーデ/グリムトは終了間際に1人退場。バイエルンはフランス代表FWオリスの活躍でCLデビュー戦を5-0の圧勝で飾った。
バイエルン vs エルバーズベルク(ブンデスリーガ第4節)

Wurstendbinder / Wikimedia Commons (CC0)
見どころ:首位グループに位置していた昇格組エルバーズベルクが相手でも、バイエルンは簡単には勝てなかった。61分に同点に追いつかれる苦しい展開となった。
注目の選手:ケインのブンデスリーガ99ゴール到達がかかる一戦。
試合はレンナート・カール(Lennart Karl)の先制点をモーリス・クラッテンマッハー(Maurice Krattenmacher)に追いつかれる展開となったが、72分にパブロビッチのスルーパスを受けたケインが今季初のリーグ戦ゴールを決めて2-1での勝利をもぎ取った。このゴールはブンデスリーガ97試合目での通算99ゴールとなる数字で、ケインのフィニッシャーとしての一貫性をあらためて示す一幕だった。 (ESPN)
戦術的考察
バイエルンの今節(ボーデ/グリムト戦)で特筆すべきは、デイヴィスが純然たる左ウイングバックの枠を超えた攻撃への参加を示した点だ。コーナーキックのこぼれ球をペナルティエリア付近でハーフボレーに持ち込む場面は、単なるサイドバックの選手には到底できない「第3の刺客」としての機能を示している。
ヴィンセント・コンパニ(Vincent Kompany)のバイエルンは、4-3-3あるいは4-2-3-1ベースで両サイドバックの高い位置取りを積極的に使う設計になっている。デイヴィスが左サイドから大外を駆け上がりつつもエリア内のこぼれ球を狙える位置を確保できるのは、ムジアラやルイス・ディアス(Luis Díaz)が内側を走ることでポジションの余地が生まれるためだ。この流動的な連動はコンパニ就任後のバイエルンが体現しようとする「攻撃的多様性」の核心にある。
一方、エルバーズベルク戦での失点は中盤のトランジション守備に隙があることを露呈した。コンパニが72分に行った4枚替えは采配の大胆さを示しつつも、「試合をコントロールしきれていない現実」の裏返しでもある。リーグ序盤の本命争いに向け、守備の安定性はまだ課題として残っている。
数字で読む
今節(ボーデ/グリムト戦)でデイヴィスが記録した得点は、そのままブンデスリーガにおけるカナダ人選手の歴代最多出場記録達成にも絡む節目として語られる。ケインの「97試合99ゴール」という数字は凄まじい。欧州トップリーグで1試合あたり1ゴールに近いペースを維持するストライカーは現代でも数えるほどしかいない。
ボーデ/グリムト戦のゴールラインアップを見ると、ムジアラ・ケイン・デイヴィス・オリス(2得点)という5ゴール全員が異なる選手によるものだった。これはバイエルンの攻撃力が特定の個人に依存せず複数の方向から迸っていることを示す証拠だ。UCL初戦で5-0という結果は、今季の同大会においても早々にバイエルンを優勝候補筆頭に押し上げる説得力を持つ。
エルバーズベルク戦のバイエルンのリーグ通算成績は3勝1引き分け(10ポイント)。CL勝利を加えてもシャルケとの0-0引き分けが唯一の失点ゼロで終わった試合という点は、攻撃力の裏側で守備の精度にばらつきがあることを示している。
編集部の見解
デイヴィスのブンデスリーガ記録達成と今節のゴールは、彼が単なる「足の速いサイドバック」ではなく、現代フットボールにおける万能型アウトサイダーとして完成の域に近づいていることを示す。コンパニ体制のバイエルンでデイヴィスが担う役割は、守備的サイドバックではなく、攻撃の第3・第4の選択肢だ。得点・アシストどちらも期待される選手を左後方に置けることは、バイエルンの攻撃設計に特別なアドバンテージをもたらしている。
ケインがリーグ99ゴールに到達し、UCLでも8試合連続ゴールを記録している今、バイエルンの攻撃陣の充実度はリーグ随一と断言できる。オリスとムジアラが本調子を取り戻せば、今季のバイエルンはブンデスリーガとCL二冠への最有力候補だ。コンパニへの不安視する声は今節の大勝で一旦は封じ込められたが、エルバーズベルクに追いつかれた脆さを克服できなければ、タイトルへの道は油断できない。コンパニは「攻撃を信じる」スタンスを取りつつも、守備の組み直しに着手すべき時期が来ている。
今後の注目点
デイヴィスのゴールで盛り上がりを見せたバイエルンの次の焦点は、今後のUCLグループステージ連戦にある。ボーデ/グリムトに5-0の快勝で初陣を飾った今、次節以降の欧州での戦いでもこのハイスコアリングサッカーが維持できるかが試される。
ケインのブンデスリーガ100ゴール到達も目前だ。97試合で99ゴールという驚異的なペースを考えれば、次のホームゲームでの節目達成が現実的に見えている。ファンはそのシーンを待ちわびており、次戦は大きな注目を集めるだろう。
ムジアラについては、「欠場発作」からの完全復帰という観点で健康状態の推移を注視する必要がある。1試合ごとのコンディション報告が今後の評価を左右する。コンパニが4枚替えの采配で試みているスカッドの横幅活用は、過密日程の中でどの選手を軸に据えるかをさらに明確にしていく過程でもある。デイヴィスを含む攻撃的サイドの選手たちのローテーション運用が今後のバイエルンのパフォーマンスを決定的に左右する。
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