夏の移籍ウィンドウが閉幕し、各クラブは早くも1月に向けた補強計画を動かし始めている。注目は、チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドが同一の中盤ターゲットをめぐって争ってきた構図に、リバプールが「対抗馬」として浮上したとされる報道だ。ボーンマスのアレックス・スコットとアトレティコ・マドリードのパブロ・バリオスという2名のMFをめぐり、プレミアリーグの有力クラブ間でジャニュアリー争奪戦の火種が生まれつつある。
リバプール&チェルシー vs マンU ― 中盤争奪戦の構図

Ardfern / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
注目の競合関係: リバプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドが同じ中盤ターゲットを狙っているとされ、1月ウィンドウに向けた三つ巴の争いが形成されつつある。
チェルシーは夏の移籍ウィンドウでエンツォ・フェルナンデスをマンチェスター・シティに売却したが、その穴を埋める中盤の補強に失敗した。ラミン・カマラ(モナコ)を狙っていたが、モナコが土壇場で売却を拒否し、交渉は決裂した経緯がある。チェルシーは現在、ボーンマスのアレックス・スコット(ボーンマスMF)と€100ミリオン(約1億ユーロ)の価値があると報じられるアトレティコ・マドリードのパブロ・バリオスの両名と改めて結びつけられている(The Standard)。
マンチェスター・ユナイテッドも夏ウィンドウで不満の残る結果となり、ルイス・ホールのニューカッスル残留(5年契約延長で合意と報道)によって左サイドバック補強にも失敗した。マイケル・キャリック監督率いるユナイテッドは1月に改めて動く可能性があり、これらの中盤ターゲットへの関心も報じられている(Sky Sports)。
さらにリバプールが「対抗馬」としてスコットとバリオスへの関心を浮上させているという報道が出ており(90min.com)、アンドニ・イラオラ監督のチームが1月に中盤補強へ動く可能性も現実味を帯びてきた。
チェルシー ― 夏の課題と1月の焦点
チェルシーの中盤再建は今シーズン最大の課題だ。エンツォ・フェルナンデスが抜けた穴を埋めるため、フルアムのサンデル・ベルゲへの打診もあったと報じられているが、最終的には別の選択肢へ動き、カマラ獲得も失敗に終わった。
ハビ・アロンソ監督体制で滑り出したチェルシーは、ブライトン戦の勝利など好スタートの片鱗も見せているが(The Standard)、中盤のクオリティと深さは1月に解決すべき最優先課題として残っている。スコットとバリオスはいずれも異なるプロファイルを持ち、どちらを本命に据えるかは今後の動向次第だ。
戦術的考察
アレックス・スコットとパブロ・バリオスが争奪対象として同時に浮上しているのは、各クラブの戦術的ニーズが異なる方向性を持ちつつも、質の高いボックス・トゥ・ボックス型あるいは中盤の制御力に共通して飢えているからだと読み取れる。
チェルシーの場合、ハビ・アロンソが志向するポゼッション主体の組み立てにおいて、エンツォ・フェルナンデスが担っていた縦パスの配球役と運動量の両立は急務だ。スコットはそのダイナミズムと前向きのプレーが魅力で、アロンソのシステムに組み込む際の適応コストが比較的低い。一方、バリオスの€100ミリオンとされる評価額はチェルシーでさえ容易ではない投資だが、ポジショニングと守備貢献の高さがアロンソの構造的な守備意識と親和性が高い。
リバプールについては、アンドニ・イラオラ監督がスペインでのフットボール哲学を土台に中盤のプレス強度と縦への速さを重視していることが知られており、スコットのエネルギーとボール奪取能力はそのテンプレートに合致する。ユナイテッドのキャリック監督は、中盤の人数不足を補う即戦力を探しており、1月に複数ポジションへの補強を試みるとみられる。三クラブがこれほど似た対象を並行して追っているという構図は、欧州における高品質な中盤の絶対的な希少性を示している。
数字で読む
- パブロ・バリオスの評価額:€100ミリオン(約1億ユーロ)とされる(The Standard)
- チェルシーはエンツォ・フェルナンデスを£125ミリオン(約125億円)でマンシティへ売却したとデッドラインデー報道が伝えている(The Guardian)
- マンシティはデッドラインデーだけで£190ミリオンを投じたと報じられており、チェルシーからのフェルナンデスの売却益がその一端を担った(The Guardian)
- 1月ウィンドウの開幕まで4ヶ月を切った段階で、これだけの大型ターゲットが複数クラブに共有されているケースは近年まれだ
フェルナンデスの移籍収入を踏まえれば、チェルシーにはバリオスの評価額に対応するだけの財政的余地があり、1月の本格参戦は現実的な選択肢だ。一方でリバプールはそれほど潤沢な売却収入を直近で確保しているわけではなく、スコットのような相対的に手の届きやすいターゲットに絞り込む可能性が高い。
編集部の見解
この三つ巴の争奪戦で最終的に動くのはチェルシーだ。理由は明確で、エンツォ・フェルナンデスというリーグ屈指のコンダクターを失ったにもかかわらず、十分な補強ができないまま1月を迎えるのは戦略的失策であり、ハビ・アロンソ体制の長期的な成功に直結する問題だからだ。バリオスは€100ミリオンの壁があるとはいえ、フェルナンデス売却益を活用すれば不可能ではない。むしろスコットを先に確保しておき、バリオスは夏以降に持ち越すという2段階補強戦略が賢明だろう。
リバプールの参入は、アンドニ・イラオラ監督が中盤の質よりも適合する人材を優先するという姿勢の表れだが、チェルシーやユナイテッドと比べてフィナンシャルインセンティブの面で劣る可能性があり、争奪戦をかき回す立場にはなりにくい。ユナイテッドはキャリック体制の下で補強優先順位の整理が完了しておらず、動きが後手に回るリスクがある。結論として、この争奪戦の主役はチェルシーであり、1月の早い段階で動かなければ再び市場に置いていかれる。
今後の注目点
1月ウィンドウの開幕まで4ヶ月を切った今、各クラブの動向を読む上で注目すべき焦点がいくつかある。まずチェルシーがアロンソ体制の下でリーグ戦・欧州戦線にどう適応するか。中盤の穴が試合結果に直接影響するようになれば、1月の補強圧力はさらに高まり、バリオスへの本格交渉が早まる可能性がある。
リバプールについては、アンドニ・イラオラ監督がシーズン序盤のパフォーマンスを踏まえて中盤のどのポジションに緊急性を感じるかが鍵だ。スコット獲得に向けた正式なアプローチの有無が、関心の本気度を測る最初のサインとなる。
マンチェスター・ユナイテッドはルイス・ホールの獲得失敗も踏まえ、1月に攻守両面で複数補強を試みる可能性が高い。中盤の補強と左サイドバックの両立ができるかどうかが、キャリック体制の真価を問う最初の試金石になる。また、アトレティコ・マドリードがバリオスの売却に応じる条件(€100ミリオン以上の提示が必要か否か)も注目点だ。
情報源
- Transfer news LIVE: Arsenal announce new signing; Man Utd done deal; Chelsea in Scott bid; Liverpool latest – The Standard
- Transfer news: Manchester United suffer hammer blow after top target Lewis Hall agrees five-year Newcastle deal – Paper Talk – Sky Sports
- Transfer deadline day: Man City sign Fernández and Ndiaye, Mudryk and Tosin join Spurs – as it happened – The Guardian
- Transfer Rumors: Real Madrid Ready Mac Allister Swap; Barcelona Step Up Haaland Talks – 90min.com