マンチェスター・ユナイテッドを去ったアントワーヌ・マルシャルが、今夏のフリーエージェント市場で注目を集めている。仲介業者がプレミアリーグの複数クラブへの売り込みを進めており、ユナイテッドの”ライバルたち”がその獲得を検討しているとの報道が浮上した。移籍ウィンドウの閉幕が迫るなか、マルシャルの行き先をめぐる動向に大きな関心が寄せられている。
アントワーヌ・マルシャル プレミアリーグ復帰を模索

TheSportsDB / Anthony Martial
見どころ: フリーエージェントのマルシャルを複数クラブが検討。獲得コストゼロのストライカー争奪戦に発展するか。
注目の対決: 前線の戦力が薄いクラブ同士の競合。特にエバートンは「threadbare(手薄)」と評された攻撃陣の補強を急いでいる。
マルシャルは今夏にユナイテッドとの契約が切れてフリーエージェントとなっており、プレミアリーグへの復帰に前向きな姿勢を示していると報じられている。TEAMtalkの報道によれば、代理人・仲介業者がイングランドの複数クラブに対してマルシャルの意向を伝えており、エバートン、リーズ、クリスタル・パレス、ニューカッスル、サンダーランド、スパーズ(トッテナム)の6クラブが打診を受けたとされている。(Manchester Evening News)
このなかで特に名前が挙がっているのがエバートンだ。デビッド・モイーズ監督が率いる同クラブは前線の選手層の薄さが懸念材料となっており、フリー獲得できるマルシャルは費用対効果の面で魅力的な選択肢となりうる。
ただし、これらの打診はあくまで「仲介業者による売り込み」の段階であり、いずれのクラブも具体的な交渉に入ったとの報道は確認されていない。「関心を示した」「打診があった」という伝聞情報にとどまっており、実際の移籍交渉に発展するかどうかは不透明だ。
同時期には、ジャドン・サンチョ、メンフィス・デパイ、ティレル・マラシア、マルシャルら多数の元ユナイテッド選手がフリーエージェントとして市場に残っているとも伝えられており、かつてのユナイテッド選手たちの一斉放出という異例の状況が背景にある。(Manchester Evening News)
ユナイテッドの夏の移籍市場——中盤補強が急務
マルシャルが去る一方で、ユナイテッド自身も夏の移籍市場での活動に苦戦している。7月にはアンドレイ・サントス(チェルシーから4800万ポンド)とユーリ・ティーレマンス(アストン・ビラから3500万ポンド)の2人のMFを素早く確保した。しかしその後は動きが鈍く、ゴールキーパーのカール・ダーロウをフリーで獲得したにとどまっている。
マイケル・キャリック監督は「もっと欲しい、もっと必要だ」と公言しており、左サイドバックの競争選手とともに、中盤3枚目の確保が今ウィンドウ最大の課題となっている。(BBC Sport)
戦術的考察
マルシャルがプレミアリーグで再起を図るなら、どのクラブが最も適した環境を提供できるかという視点が重要だ。
打診を受けたとされるクラブのなかで戦術的な相性という観点から注目されるのはトッテナムだ。ロベルト・デ・ゼルビ監督が指向するポジショナルプレーでは、ライン間で受けて縦に仕掛けられる技術的なアタッカーが求められる。マルシャルの持つボールコントロールと突破力はシステムにはまる可能性がある。一方でデ・ゼルビのサッカーはハイプレスと高い運動量を要求するため、コンディション維持が課題となってきたマルシャルがそのフィジカル要求に応えられるかは未知数だ。
エバートンのモイーズ監督はより堅実なアプローチを好む傾向にあり、マルシャルの個人技で局面を打開する能力は武器になりうる。しかし同クラブは前線の層が薄いとされており、マルシャルへの依存度が高くなるリスクもある。フィットネスが安定しない選手を主力として起用するのは博打と言わざるをえない。
ニューカッスルについては、エディ・ハウ監督のもとですでにアレクサンダー・イサクという世界的なCFを擁しており、マルシャルがその控えに収まるとすればプレータイムの確保が難しくなることも考えられる。
数字で読む
ソースの性質上、マルシャル個人の具体的なスタッツや移籍金相場の数字は確認できないため、今夏の市場全体の動きで判断材料を補う。
ユナイテッドの今夏の主要支出は、サントス4800万ポンド+ティーレマンス3500万ポンドの計約8300万ポンド。それに対してマルシャルはフリーエージェントであり、獲得費用は移籍金ゼロ。選手獲得予算が限られるクラブにとって、年俸のみでトップクラスの攻撃的選手を確保できる点は大きなメリットだ。
また、ユナイテッドから同時に市場に出ている選手の多さも特筆に値する。サンチョ、デパイ、マラシア、マルシャル、そしてトビー・コリアーの去就も流動的とされており、かつての強豪クラブの大規模な人員整理が今夏の特徴のひとつとなっている。
編集部の見解
マルシャルのプレミアリーグ復帰は、リスクとリターンのバランスを冷静に見極める必要がある話題だ。フリーエージェントという条件は確かに魅力的だが、それだけで獲得を正当化するのは危険だ。
ここ数シーズンの傾向を見れば、マルシャルはコンディションの浮き沈みが激しく、フルシーズンを通じて安定したパフォーマンスを提供できるかという疑問はぬぐえない。打診を受けたとされる6クラブのなかで、本当に彼を必要とする緊急性があるのはエバートンだけではないかと見ている。
それ以外のクラブ——ニューカッスルやトッテナムのようなヨーロッパ圏内での戦いを見据えるクラブは、リスクの高い選手を主力級で迎えることに慎重であるべきだ。マルシャルが最後にプレミアリーグで輝いた姿を取り戻せるかどうかは、クラブ選びよりも本人のコンディション管理にかかっている。端的に言えば、彼はまずどこかで結果を出してから「プレミアリーグ復帰」を主張すべき段階にある。
今後の注目点
今夏の移籍ウィンドウの閉幕は目前に迫っており(今日の日付は9月3日)、マルシャルの動向は今後数日以内に大きく動く可能性がある。
特に注目すべきは、打診を受けた6クラブのなかでどこが最初に具体的な交渉へ踏み込むか、そしてウィンドウ終了後に「ポストウィンドウ」移籍(国内FA登録はウィンドウ後でも可能な場合あり)の可能性がどう扱われるかだ。
また、ユナイテッド自身の動向も並行して追う必要がある。キャリック監督が明言した左サイドバックと中盤3枚目の確保がウィンドウ内に実現するか。補強が間に合わない場合、3週間後に控えるエバートン戦およびマンチェスター・シティ戦を迎えるにあたって、現有戦力での対応を迫られる。チャンピオンズリーグとの三連戦の準備という観点でも、残り時間での判断が問われる。
情報源
- Anthony Martial ‘wants Premier League return’ as Man United’s rivals discuss free transfer – Manchester Evening News
- Man United transfer news: Gavi response, Marc Casado offer, Rafael Leao update – Manchester Evening News
- Transfers latest: Bruno staying at Man Utd, Man City eye Fernandez as Rodri replacement – BBC Sport