トッテナムのイングランド代表右サイドバック、ジェド・スペンスの去就がプレミアリーグ最大の話題の一つとなっている。移籍市場の権威ファブリツィオ・ロマーノが「インテルは条件が変わればオファーを出す準備がある」と報じ、一方でスペンス本人はリバプール行きを強く希望している。さらにマンチェスター・ユナイテッドにも打診があったとされ、三クラブが絡む複雑な争奪模様が展開されている。2026年夏の移籍ウィンドウも終盤に差し掛かる中、スペンスの最終目的地はどこになるのか——最新情報を整理する。
ジェド・スペンス移籍最新情報

Bryan Berlin / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)
現状: トッテナムは売却容認、複数クラブが関心表明
価格交渉: トッテナムの要求額をめぐって各クラブと駆け引き
注目の対決: リバプール、インテル・ミラノ、マンチェスター・ユナイテッドの三つ巴
ファブリツィオ・ロマーノによると、インテルはかつてトッテナムが提示した4500万ユーロという要求額に一度は離脱したものの、「条件が変われば正式オファーを出す準備がある」と報じられている。この「条件が変わる」とは、トッテナムの要求額が下がるか、W杯後のスペンスの評価を踏まえた新たな合意点を見つけることを指すとみられる。
Football365の報道では、スペンス本人が「リバプールに加入したい」とトッテナムに移籍希望を伝え、クラブ間交渉も始まっているとされる。8月7日付の報道ではリバプールがスペンス獲得に向けて「明確な結論」を出したとも伝えられているが、この時点で正式合意には至っていない。
一方でFootball365(2026年8月6日付)は、トッテナムのロベルト・デ・ゼルビ監督の意向に反する形でスペンスがマンチェスター・ユナイテッドに「打診された」とも報じており、エージェント側が複数クラブに選手を売り込んでいる構図が浮かび上がる。
トッテナムとしては、Football365が伝えるように、デ・ゼルビ監督がスペンスの残留を望んでいた時期もあったようだが、最終的に売却を容認する姿勢に転じたとされる。TransfermarktではスペンスのW杯後の市場価値が4000万ユーロ(2026年7月22日更新)と評価されており、トッテナムが4500万ユーロを要求していたとのロマーノの報道とほぼ合致する。
トッテナム側の事情

Steindy (talk) 11:19, 28 November 2009 (UTC) / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)
デ・ゼルビ体制での位置づけ: 監督は当初残留を希望
トッテナムの要求額: 4500万ユーロ(ロマーノ報道)
スペンスの意思: リバプール行きを希望
Football365(2026年7月30日付)によると、デ・ゼルビ監督はスペンスの売却について明確な姿勢を示したとされる。また同メディアは7月22日の報道で、トッテナム関係者がスペンスの価格設定を「insane(非常識)」と評した一方、インテルは一度交渉から離脱したと伝えていた。
トッテナムの契約情報(Transfermarkt)によると、スペンスは2029年6月30日まで契約が残っており、さらに1年延長オプションもついている。昨夏(2025年8月)には契約延長も行われており、クラブが安値での売却を急ぐ必要はない。この契約状況がトッテナムの強気な価格設定の背景にある。
戦術的考察
スペンスの争奪戦を戦術的観点から分析すると、各クラブが彼に求める役割の違いが鮮明になる。
リバプールの場合、アンドニ・アンドニ・イラオラ監督が採用するシステムにおいて、スペンスの持ち味である推進力と高いクロス精度が右サイドでどう機能するかが焦点だ。Transfermarktの試合記録を見ると、スペンスは今季トッテナムでレフトバック(LB)ポジションでの出場が多いことが確認できる——これは本職である右サイドバックだけでなく、左側でも対応できる汎用性の高さを示している。
インテルが関心を持つ理由も理解できる。セリエAの文脈では、スペンスのような走力と縦への推進力を持つ右サイドバックは攻撃的なウィングバックとしての起用が想定される。ロマーノが指摘する「条件次第」という留保は、インテルがスペンスの能力を評価しつつも、4500万ユーロという値段をプレミアリーグのインフレ価格と受け止めていることを示唆する。
マンチェスター・ユナイテッドへの打診は、マイケル・キャリック監督のサイドの補強需要と結びついている可能性があるが、デ・ゼルビ監督の意向に反するとされる打診の経緯が複雑で、エージェント主導の売り込みという色彩が強い。
本職の右サイドバックでありながら左でも起用され、イングランド代表として14キャップを持つスペンスは、どのシステムにもフィットできるフレキシビリティを備えている。この汎用性こそが複数クラブの関心を引く最大の要因だ。
数字で読む
Transfermarktに記録されたスペンスのキャリアスタッツを整理すると、その実力と市場価値の妥当性が見えてくる。
- 総出場数: 287試合、8得点、12アシスト(全コンペティション)
- プレミアリーグ: 59試合出場
- イングランド代表キャップ: 14(ゴールなし)
- 市場価値: 4000万ユーロ(2026年7月22日時点、Transfermarkt)
- トッテナムの要求額: 4500万ユーロ(ロマーノ報道)
- トッテナムの当初取得費用: 最大2000万ポンド(Standard.co.uk過去報道)
- 契約残存期間: 2029年6月まで(オプション含む)
市場価値(4000万ユーロ)とトッテナムの要求額(4500万ユーロ)の差は500万ユーロ。W杯での活躍が評価に織り込まれつつあるとすれば、交渉の余地は十分ある水準だ。インテルが離脱した際の報道では「insane」と表現された価格設定も、W杯後のスペンスの株上昇を考慮すれば、現在の市場価値と大きくかけ離れているわけではない。
編集部の見解
この移籍劇の本質は「選手本人の意思」と「クラブの価格交渉」という二つの軸のせめぎ合いだ。
スペンスがリバプール行きを強く希望しているという報道が正確であれば、最終的な行き先はリバプールになる可能性が最も高いと断言していい。選手本人が移籍先を明示し、クラブ間交渉も始まっているという状況で、インテルやマンチェスター・ユナイテッドが割り込むには、トッテナムの売却価格を上回るオファーを出すしかない。
インテルの「条件次第でオファー」という姿勢は、要するに「今の値段では買えない」という意思表示だ。この状況が動くとすれば、①トッテナムが要求額を下げる、②リバプールが4500万ユーロ近くを提示する、のいずれかだろう。
マンチェスター・ユナイテッドへの打診はデ・ゼルビ監督の意向に反するとされており、仮に実現したとしても、選手本人がリバプールを望んでいる以上、成立の可能性は低い。
トッテナムとしては、2029年まで契約があるスペンスを急いで安売りする理由はない。しかし選手本人が出口を求めている以上、夏のウィンドウ内での解決を模索するのが賢明だ。最終的にはリバプールが若干の値引きを引き出した上で4000万ユーロ前後で合意する、というシナリオが最も現実的な着地点だと見ている。
今後の注目点
まず最優先で見るべきは、リバプールとトッテナムのクラブ間交渉の進展だ。スペンス本人が移籍希望を伝え、交渉が始まっている段階である以上、数日以内に何らかの動きがあってもおかしくない。ファブリツィオ・ロマーノの「インテルは条件次第でオファー準備」という情報が、リバプールへの牽制材料として機能するかどうかも注目点だ。トッテナムがインテルの関心を交渉カードに使えば、リバプールへの要求額引き下げ圧力を弱めることができる。
また、トッテナムの2026-27シーズン開幕戦も注目だ。スペンスが開幕に間に合わない形で移籍交渉が続くのか、それともシーズン開幕後まで引っ張るのか。8月中旬を過ぎれば移籍ウィンドウの終盤となり、交渉のスピードは必然的に上がる。マンチェスター・ユナイテッドへの打診が単なる市場調査なのか、本格的な関心なのかも続報を待ちたい。
情報源
- Djed Spence – Player profile 26/27 – Transfermarkt
- Djed Spence Archives – Football365
- Tottenham reject Brentford bid for Djed Spence as Premier League rivals circle – Evening Standard
- Tottenham hope Genoa loan ends £20m Djed Spence nightmare – Evening Standard
- Djed Spence – Stats – Transfermarkt
