夏の移籍市場終盤に向け、トッテナムの右ウィング補強をめぐる動きが急展開を見せている。ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるスパーズが最優先ターゲットとして設定したマンチェスター・シティのサビーニョに対し、シティ側が放出を渋っている構図が明らかになった。交渉が暗礁に乗り上げた場合の代替候補として、チェルシーのポルトガル代表ウィンガー、ペドロ・ネトの名が浮上している。プレミアリーグを代表する攻撃的ウィンガー2人をめぐるこの三角関係は、移籍市場の行方を左右する最重要案件の一つだ。
サビーニョ争奪戦——シティが放出を拒む理由

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トッテナムがマンチェスター・シティに対してサビーニョ獲得交渉を開始したことが確認されている。しかしシティはこの21歳のブラジル人ウィンガーを手放すつもりはなく、ペップ・グアルディオラ監督のお気に入り選手として残留を強く望んでいる。
ESPNの報道によれば、シティはサビーニョ本人が退団を希望する旨を明確に意思表示しなければ、移籍は成立しないとのスタンスを取っている。グアルディオラは通常、移籍を望む選手の前に立ちはだかることはしないが、前提として選手本人が移籍を強く望む必要がある。仮にサビーニョがトッテナム行きを望むと表明した場合、シティは5000万ポンド(約90億円)超の移籍金を要求する意向だという。(ESPN)
シティにとってサビーニョは単なる戦力のひとりではない。リヨンからライアン・シェルキを獲得し、冬にオマル・マルムーシュを加えた攻撃陣の中で、サビーニョは昨シーズン全大会通じて48試合に出場し、3得点を記録した実績を持つ。サビーニョを失えばシティは市場に再び戻り、代替選手を探す必要が生じるため、クラブとしての計算が狂いかねない。現時点でシティは売り手に回る義理はないのだ。
ペドロ・ネト——プランBではなく本物の選択肢

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ファブリツィオ・ロマーノが伝えるところによれば、サビーニョ交渉が不調に終わった場合、トッテナムはチェルシーのペドロ・ネト獲得に動く可能性がある。ただしロマーノはサビーニョが依然としてトッテナムの第一優先ターゲットであることを強調しており、ネトはあくまで代替選択肢として現時点では位置づけられている。
ペドロ・ネトをめぐっては今夏、複数のビッグクラブが関心を示している。football365が報じるところでは、マンチェスター・シティも7000万ポンドとされる評価額でのオファーを準備しているとされ、チェルシーは複数のクラブからのアプローチを受けている状況だ。エンツォ・マレスカ元監督(現シティ監督)がチェルシー時代の教え子であるネトへの関心を持っていることも報じられている。(football365)
チェルシー側もネトを容易に手放す立場にはない。しかしクラブが高額での売却を受け入れる用意があるとすれば、トッテナムにとってはサビーニョ交渉の破談後の現実的な選択肢となり得る。
戦術的考察
デ・ゼルビ監督がなぜこれほどウィンガー補強に注力しているのか、戦術的背景を理解することが重要だ。デ・ゼルビのシステムは本質的に「ポジショナルプレー×ハイプレス」の組み合わせであり、ウィンガーには単なるドリブル突破力だけでなく、前線でのプレス参加、ライン間での受け、そしてゴール前への侵入を複合的にこなせる選手像が求められる。
サビーニョはこの要件を高い次元で満たす。シティでグアルディオラの厳密なポジショナルプレーを学んだことで、スペースの使い方、列の裏への飛び出し、そしてコンパクトな局面での技術的な仕事が身についている。ペドロ・ネトもその高いドリブル成功率と突破力でデ・ゼルビのシステムにフィットしうる資質を持つが、チェルシーでの昨シーズンは一貫性に課題があったことも事実だ。
デ・ゼルビはブライトン時代にも、ウィングの選手に対して単なる点取り屋以上の役割——ビルドアップへの参加、守備時のスライドなど——を求めてきた。その意味でサビーニョはデ・ゼルビのフィロソフィーに「育てられた」選手に最も近いプロフィールを持ち、トッテナムにとってベストフィットであることは間違いない。ネトはよりインスピレーションに依存するタイプであり、システムへの適応に時間がかかる可能性がある。
数字で読む
サビーニョの現在の市場価格はシティが提示する「5000万ポンド超」という金額が一つの基準となる。21歳というプレミアムな年齢、そして昨シーズン全大会48試合出場という稼働率の高さを考えれば、5000万〜6000万ポンドレンジは決して吹っかけた額ではない。
ペドロ・ネトについては、football365が報じるマンチェスター・シティのオファーとして7000万ポンドという数字が伝えられており、こちらはサビーニョより高い評価を受けていることになる。両者の価格差を踏まえれば、トッテナムにとってはサビーニョの方がコスト面でも合理的な選択と言える。ただしサビーニョの移籍が5000万ポンド超であることを考えると、いずれにせよ今夏のスパーズにとって最大規模の支出になることは確実だ。
編集部の見解
今回の構図において、トッテナムが最終的にサビーニョを獲得できる可能性は現時点で高くないと見ている。理由は明確だ——シティには売る動機がなく、選手本人が移籍を望むと表明しなければ交渉は進まないという条件が設定されている。サビーニョ自身がトッテナム行きを強く望んでいるとの情報は現時点では確認されていない。
となれば、デ・ゼルビとトッテナムのフロントはペドロ・ネト獲得に全力を傾けるべきだ。ネトへの関心はシティやバルセロナなど複数クラブからも報じられており、手をこまねいていれば他クラブに先を越される危険がある。確かにネトは昨シーズンの一貫性欠如という懸念材料を抱えているが、デ・ゼルビの戦術的な枠組みの中で才能を引き出せる環境が整えば、その評価を大きく上回るパフォーマンスを見せる可能性は十分にある。トッテナムは「サビーニョを待ちながら何もしない」という最悪のシナリオだけは回避しなければならない。
今後の注目点
最大の焦点は「サビーニョ本人の意思表明」だ。彼がシティ残留を望むならこの交渉はここで終わる。逆にトッテナム行きを望む発言が出れば、5000万ポンド超での移籍に現実味が増す。その動向は今後数日内に明らかになる可能性がある。
一方、ペドロ・ネトに関しては、マンチェスター・シティが7000万ポンドの入札を準備しているとも報じられており、トッテナムが代替案として動き出すならシティとの競合になる。チェルシーがネトを手放す決断をするか否かも重要な変数だ。
プレミアリーグの移籍市場は8月末に閉幕する。残り時間は限られており、デ・ゼルビ体制初シーズンの完成度を左右するウィング補強は「サビーニョでなければネト」という二択に集約されつつある。どちらの交渉も決着がつかないという最悪のシナリオを避けるためにも、トッテナムは早急に方向性を定めるべき局面を迎えている。
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